まずは毎週水曜日の13週間、ブログを読んでいただいた方々に感謝いたします。
小さな文字は自分で書いた文章でも読みにくく、ご迷惑をかけたかもしれませんが写真の方で少しは楽しんでいただけたでしょうか。60日間の滞在中にはいろいろな事が有りブログに書き記したものは、ほんの一部です。初日から事件は勃発していました。城の中には古い絵がいたる所に飾ってありますが、自分のあてがわれた居間にあるベッドの向かいの壁に、男3人がひざまずいている暗い絵が架けられていました。多分この絵が原因と思われます。城に着いた最初の晩に生まれて初めて金縛りに会い、3人の男に囲まれ危うくベッドから引きずりおろされそうになりました。連載の1回目に書きましたが、ペルージャに着くまでには飛行機が嫌い(往復の機内ではほとんど寝ていません)、語学力不足、方向音痴で指定の場所にたどり着けない、忘れ物をしばしばする、などなど旅にはおよそ相応しくないダメオヤジにさまざまな小事件が降りかかり肉体的にも精神的にもかなり疲弊していた上、辿り着いた先が古い城で居間には暗い絵が架かっていたわけですから、金縛りは成るべくしてなった結果だと思います。
日記を読み返してみると遠足の話が多く、いったいイタリアまで何をしに行ったのか糾弾されそうですが、何十年ぶりに書いた声のための作品は自分にとって大きな変化でした。
広大なひまわりやオリーブ畑を越えて吹き渡る微風に、自分の感情が久しぶりに湧き立つ思いでした。また滞在中に水彩でチビテッラ城を何枚か描きました。自己流で拙い絵ですが気分転換にはなるので時々描いています。
このセッションが終わって家族と短い旅行を共にしてローマから帰るとき、空港で3本のバルサミコの瓶を携帯して捕まりました。幸い家内の哀願が通じてこっそり機内に持ち込めましたが、フィレンツェの市場で買った上物が危うく没収されるところでした。今までサラダというものには見向きもしなかったのですが、城での食事時に必ず口にした新鮮な野菜と芳醇な味のバルサミコソースにすっかりハマりました。おかげで帰国してからも野菜サラダを毎日食べるようになったのは、バルサミコが原因かもしれません。この素晴らしいプロジェクトに興味がお有りの方は下記にアクセスして下さい。
チビテッラ・ラニエリ財団のホームページから2008年のカタログを検索していただくと、その年に招かれたフェローのポートレートを見る事が出来ます。
最後まで読んでいただいた方に、心からのお礼を申し上げます。
福士則夫