ファイナル!12/9(日)『現代音楽演奏コンクール“競楽X”本選会』聴衆賞投票も!

「第22回朝日現代音楽賞」選考コンクール

第10回 現代音楽演奏コンクール“競楽X” 本選会

2012年12月9日(日)13:30開場/14:00開演
けやきホール(古賀政男音楽博物館内)
小田急線・千代田線「代々木上原駅」下車徒歩3分

 

現代音楽演奏コンクール“競楽X”本選会

現代音楽演奏コンクール“競楽X”本選会

白井 奈緒美(サクソフォン)Naomi SHIRAI
酒井健治/イニシャルS(2010)

安田 結衣子(ピアノ) Yuiko YASUDA
1. Oliver KNUSSEN/Variations for piano op.24(1989)
2. Pierre BOULEZ/Incises pour piano(1994, Version 2001)

原田 真帆(ヴァイオリン)Maho HARADA
松下功/ヴァイオリン・ソロのための「マントラ」(2001)

佐藤 祐介(ピアノ) Yusuke SATO
1.権代敦彦/無常の鐘 ピアノのための(2009)
2.鈴木純明/”Impromptu” pour piano solo(2007)
3. William BOLCOM/Nine Bagatelles(1996)

—休憩—

木埜下 大祐(フルート) Daiske KINO-SHITA
佐原洸/パラジウム(2012)*ピアノ伴奏付き

マクイーン時田 深山(十七絃箏)Miyama MCQEEN-TOKITA
高橋悠治/橋をわたって(1984)

若林 かをり(フルート/ピッコロ) Kaori WAKABAYASHI
1.若林千春/うつ…原響Ⅰ(2001)
2. Franco DONATONI/NIDI(1979)

演奏順は抽選によるものです。
17:00頃ホール内で結果発表と審査委員長の講評を行います。

 

審査委員
湯浅 譲二 作曲・日本現代音楽協会理事(審査委員長)
上野 信一 打楽器
小泉  浩 フルート・第2回朝日現代音楽賞受賞者
佐藤 紀雄 ギター・第5回朝日現代音楽賞受賞者
高橋 アキ ピアノ

 

あなたも審査員!聴衆賞投票受付!!
当日ご入場時に配布する「聴衆賞投票用紙」に、一番素晴らしい演奏だと感じたファイナリストの氏名を明記の上、ロビーに設置してある投票箱に投票して下さい。

投票用紙配布時間13:30〜14:00
投票受付期間演奏終了後10分間

 

お問合せ:日本現代音楽協会 Tel: 03-3446-3506 E-mail: kyougaku10@jscm.net Web: www.jscm.net

◎主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部) 朝日新聞社
◎助成:一般社団法人私的録音補償金管理協会(sarah) 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)

競楽IX優勝者・ギタリスト山田岳さんより、競楽Xファイナルに寄せて

第9回現代音楽演奏コンクール“競楽IX”第一位
第20回朝日現代音楽賞受賞受賞
山田 岳 Gaku YAMADA

まずはみなさま、競楽本選出場、並びにご入選おめでとうございます。

〈現音・秋の音楽展2012〉では、岡坂慶紀会員(左)のたっての希望で、山田岳さんのギターを想定した新作初演が実現した。

もう前回の競楽から2年も経ったのか、と思うとあっという間だったような、それでも色々あったなあという気持ちです。自分の競楽の思い出といえば(今だから言えるのですが)、僕自身初めての挑戦でまさか本選まで行ける事を想定してなかったものですから本選の日はガッツリとレッスンの仕事を入れてしまって、朝リハーサルしてレッスンに行き、その後本選で演奏、またレッスン、それから結果を聞きに行く、みたいな事になってしまって異様に忙しい一日だったのを覚えています。でも逆に緊張する暇もなかったので、本番は妙に落ち着いて弾けて、まさかのいい結果に結びついたので何が幸いするか分からないですね。(もちろん事前に出来る限りの準備はしましたよ!)

もちろんコンクールですから順位は出てしまいますが、見方を変えればせっかくの公開演奏、しかも日本の現代音楽界を代表する審査員の先生方に演奏を聴いてもらうチャンスでもあると思うのです。なので、みなさんぜひとも楽しんで演奏してくださいね!

僕も当日は聴きに行くので、聴衆としてとっても楽しみにしています。

 

山田岳ギターリサイタル

山田岳ギターリサイタル
2013年1月11日(金)
開場18:30/開演19:00

杉並公会堂小ホール

山根 明季子『毒棘』(2012委嘱新作・初演)

山本 和智『Doldrums』(2012委嘱新作・初演)

木山 光『V.A.S.K』(2012委嘱新作・初演)

細木原 豪紀『委嘱新作』(2012)

久保 摩耶子『破船のごとし』(2012)

足立 智美『どうしてひっぱたいてくれずに、ひっかくわけ?』(2011)

前売:2,000円(学生1,500円)
当日:2,500円(学生2,000円)

ご予約•お問い合わせ:gacchan2001@hotmail.com

競楽VIII優勝者・フルーティスト増本竜士さんより、競楽Xファイナルに寄せて

第8回現代音楽演奏コンクール“競楽VIII”第一位
第18回朝日現代音楽賞受賞受賞
増本 竜士 Ryuji MASUMOTO

第8回現代音楽演奏コンクール“競楽VIII”で第一位を頂いた増本竜士です。

現在ではオーケストラへの賛助出演、ソロや室内楽のコンサートなどに加え、現代音楽協会主催コンサートにも出演させて頂く機会が増えてきました。

記念すべき第十回のコンクールが本年開催され、私が参加した第8回は早くも4年前になってしまいましたが、当時までにフルートの為のレパートリーや、奏法の拡大をテーマに現代音楽に取り組んでいたひとつの集大成としても、またその後の演奏機会を得るきっかけとしてや、自身の力試しとしてもこのコンクールに挑戦したい気持ちを持っておりました。

コンクールが一次、二次と進んでいくにつれ、異種格闘技戦であるかのようなオリジナリティのあるこのコンクールにおいて私が一番大事に考えていた事は「現代作品である楽曲にありったけの表現をのせて演奏表現の世界観を強く押し出す!」事でした。

楽器が違えば、その奏法も表現方法も当然異なるはずなので、単旋律楽器であり音量もそれほど大きくはないフルートの演奏で「どうやって勝ち進んでいけばえーんやろ?」という不安がありました。

〈現音・秋の音楽展2012〉ゲネプロ風景。梶俊男会員(左)とディスカッションして作品を練り上げて行く。

フルートは息を管(くだ)に直接当てて発音をする楽器である事から、洋の東西を問わず太古からフルート式発音原理を持つ楽器は存在しています。

フルートであり横笛である。という楽器の表現力を、多彩な楽曲レパートリーの中から「フルートソロの演奏会として映える選曲を!」と、まずは考えました。

フルートの楽音をストレートに押し出す西洋的なアプローチと、能管や竜笛の様な風音混じりに奏するアプローチ、さらには奏法の拡大による「単旋律楽器での重音奏法」「打楽器的楽音」「自身の声などによる音素材」などが散りばめられている武満、ファーニホウ作品を選びました。

一次には安定したテクニックを見せる事を大事にし、(ファーニホウ作品)二次には東洋的な間合いや音色による色彩感などを用いて独奏による立体的な表現世界観として投影する事を。(武満作品)そして本選ではその両方の楽曲を用いて洗練された「まずは美しい音!」そして超絶技巧などから編み出される狂乱を「爆発的に魅せる!」という心構えで臨みました。

楽器や編成の違いなどもありなかなか手応えの掴みにくい本番ではあったのですが(笑)、大事な事はそれぞれの奏者が楽曲とその表現世界に向き合い、高い集中力とそれぞれの楽器の核となる音素材による多彩な表現に取り組む事だと思います。

新たにどのような演奏が生まれるのか?

多くの興味と興奮を掻き立てられるこのコンクールにたくさんの参加と聴衆賞への投票参加を含めたご来場を強く願っています!

私もコンクールの出番後はすっかり一聴衆として驚愕と感嘆とに酔いしれていました。

同時性のある演奏を堪能し、このコンクール会場からたくさんの未来への可能性と奏者の煌めきが見つかるはず!

参加者の皆さん!それぞれの楽器の可能性や魅力が多面性を以ってホールに響き渡り、自身も悔いのない演奏となるよう全力で頑張って下さいね!!

現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介〜若林 かをり(フルート/ピッコロ)

現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介
若林 かをり(フルート/ピッコロ)Kaori WAKABAYASHI

▼本選演奏曲
若林千春/うつ…原響 I(2001)
Franco DONATONI/NIDI(1979)

 

“競楽X”本選への出場の機会をいただけましたこと、大変嬉しく思っています。
留学という経験を通して、日本にいる頃よりもさらに「私は日本人である」ことを体感し、邦人作品の演奏への興味がより一層強くなったことが、今回、邦人作品の演奏に重点を置いているこのコンクールに挑戦するきっかけとなりました。
本選で演奏させていたく2つの作品は、どちらも私にとってとても魅力的な作品です。
若林千春作品「UTU…原響 Ⅰ 」は、私のそれまで持っていたフルートに対するイメージを変えてしまった作品です。作品の核となる“レ”の音をめぐって、フルートという楽器の新たな可能性を存分に引き出していて、それは同時に、奏者や聞き手の想像/創造力を試されているようにも感じます。
ドナトーニ作品、題名の「NIDI」はイタリア語で「巣」という意味です。まるで鳥たちが巣の中で繰り広げる、ちょっと異常で多動な鳥世界の様子が目に浮かんでくるような作品です。
聴いて下さる皆さまにも、それぞれの作品の魅力を“音”をとおして感じていただけるような演奏ができればと思っています。

◎プロフィール
東京藝術大学音楽学部卒業。(財)ローム・ミュージック・ファンデーションの奨学生として2009年秋より渡仏。2012年ストラスブール音楽院スペシャリゼーション課程(マリオ・カローリクラス)を修了。今年3月、同音楽院において震災メモリアルコンサート『Vers TOHOKU』を企画・開催し、邦人作品と即興演奏によるプログラムは話題を呼んだ。現在、(財)平和堂財団海外留学助成を得て、ルガーノ音楽院に在籍。2009年NHK-FM『名曲リサイタル』出演。http://fluteusagi-kawori.cocolog-nifty.com/

 

▼第一次予選演奏曲
Franco DONATONI/NIDI(1979)

▼第二次予選演奏曲
細川俊夫/垂直の歌 I(1995)
Salvatore SCIARRINO/CANZONA DI RINGRAZIAMENTO(1985)

現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介〜マクイーン時田 深山(十七絃箏)

現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介
マクイーン時田 深山(十七絃箏)Miyama MCQUEEN-TOKITA

▼本選演奏曲
高橋悠治/橋をわたって(1984)

 

私は4年近く前にオーストラリアから東京に引っ越してきました。オーストラリアではほとんど他の箏奏者はいなく、レッスンのために飛行機に乗らないといけない状況でした。東京に来たのは、邦楽の現場で他の奏者とふれあい、日本でしか学べない事や見れないこと、聴けないことに触れて、自分の音楽に磨きをかけるためでした。
日本に来て色々な場で演奏して、その中で箏曲や邦楽専用のコンクールにも出場してきましたが、思ったよりも、海外と同じように日本でも箏は演奏者や作曲者に特別視されていることがまだあるということに気づきました。今回「競楽」のコンクールで、他の西洋楽器と並んで、ただ現代曲を表現する楽器として箏で出場して演奏できることをとてもうれしく思っています。それだけでなく、立派な世代の審査員の先生方に演奏をみていただけるということも、大変貴重な経験だと思っています。
今回本選で演奏させていただく曲《橋をわたって》は、何年も前からオーストラリアで聴いていました。私の師匠の師匠にあたる沢井一恵先生の高橋悠治氏への委嘱作品ばかりのアルバムの中の一曲で、大好きな曲でした。でもその時学生だった私は、まさかこんな爪をつけずに素手で激しく十七絃の曲を私が、しかも日本で演奏する日がくるとは思いませんでした。今でも大好きな《橋をわたって》、精魂込めてお届けしたいと思います。

◎プロフィール
7歳から筝を学び、メルボルンとシドニーで小田村さつきに、東京で沢井一恵に師事。2008年インド映画「The Japanese Wife(日本人の妻)」の音楽で、箏と歌を担当。2008年にモナシュ大学音楽学部及び文学部卒業以来、日本に活動の拠点を移す。NHK邦楽技能者育成会第55期首席卒業。沢井箏曲院教師。現在文部科学省奨学金により、東京芸術大学院音楽研究科所属。第15回賢順記念箏曲コンクール奨励賞受賞。第7回ルーマニア国際音楽コンクール室内楽部門1位・日本ルーマニア音楽協会理事会賞・オーディエンス賞受賞。

 

▼第一次予選演奏曲
高橋悠治/橋をわたって(1984)

▼第二次予選演奏曲
松村禎三/幻想曲(1980)