11月の主催公演(2) アンデパンダン展 第2夜

アンデパンダン展 第2夜

アンデパンダン展 第2夜

▼アンデパンダン展 第2夜
2011年11月9日(水)18:00開場/18:30開演
東京オペラシティリサイタルホール

岡坂慶紀/デュエット(2ヴァイオリン)(2010/初演)
進藤義武・木村眞弓(ヴァイオリン)

浅野藤也/「MELOS」チェロとピアノのための(2011/初演)
鈴木皓也(チェロ)兼重稔宏 (ピアノ)

宮崎 滋/連祷 ―三曲合奏(2009)
金子朋沐枝(尺八)久野木史恵(三絃)池上亜佐佳(箏)

北條直彦/“インタープレイ2”~フルート、ヴァイオリン、ピアノのための~(2011/初演)
増本竜士(フルート)佐藤まどか(ヴァイオリン)松山元(ピアノ)

田口和行/-ade for clarinet solo(2010年度関西圏企画招待作品)
上田希(クラリネット)

赤石直哉/Fantasia IV for Flute and Piano(2011/初演)
丸田悠太(フルート)赤石直哉(ピアノ)

田中範康/「心象風景 I」チェロとピアノのための(2011/初演)
安田謙一郎(チェロ)松山元(ピアノ)

木下牧子/もうひとつの世界(2011/初演)
戸澤哲夫(ヴァイオリン)小野富士(ヴィオラ)藤森亮一(チェロ)藤原亜美(ピアノ)

◎制作:蒲池愛

 

「アンデパンダン展 第1夜」の情報はこちら。

11月の主催公演(1) アンデパンダン展 第1夜

アンデパンダン展 第1夜

アンデパンダン展 第1夜

▼アンデパンダン展 第1夜
2011年11月8日(火)18:00開場/18:30開演
東京オペラシティリサイタルホール

岡田昌大/チェロとチェロのための“念誦”(2009/改訂初演)
朝吹元(チェロ)幾度友恵(ピアノ)

梶 俊男/”relic” for cello(2003)
安田謙一郎(チェロ)

三枝木宏行/Canticum No.5 夢野久作による情景(2011/初演)
田中麻理(ヴォーカル)大須賀かおり(ピアノ)福島喜裕(打楽器)松平敬(ヴォーカル/語り)

下山一二三/「アマルガム 」―尺八とバスクラリネットとピアノのた めの―(2008)
神令(尺八)菊地秀夫(バスクラリネット)神三奈(ピアノ)

坪能克裕/Celestial-Vib(2011/舞台初演)
會田瑞樹(ヴィブラフォン)

仲俣申喜男/De profundis(2011/初演)
小畑朱実(アルト)安田謙一郎(チェロ)山口恭範(打楽器)

松永通温/池、林そして風(2010)
辺見康孝(ヴァイオリン)菊地秀夫(クラリネット)松永加也子(ピアノ)

ロクリアン正岡/クラリネットデュオによる音楽「犬というもの」(2010/初演)
菊地秀夫・内山厚志(クラリネット)

◎制作:赤石直哉

 

「アンデパンダン展 第2夜」の情報はこちら。

ファロス財団国際現代音楽祭レポート(後編) 〜会員:深澤倫子

[前編はこちら]
演奏会場にて〜深澤倫子会員

演奏会場にて〜深澤倫子会員

 

左より、スンジー・ホン、パナヨティス・ココラス、タズル・イザン・タジュディン、今堀拓也、深澤倫子

左より、スンジー・ホン、パナヨティス・ココラス、タズル・イザン・タジュディン、今堀拓也、深澤倫子

注目作品はまず、ロシアのドミトリ・コウリャンスキのヴォーカル・トリオのための新作Voice-offで、特殊奏法を駆使する彼の 作品らしく、声に限らず口腔の様々な音を取り入れていた。地元キプロスの音楽監督エヴィス・サムーティスはオノマトペと題した作品だが、オノマトペよりはシラブルの差異に重きを置いた作品。いずれにせよ言葉の意味を削いで発音の音響のみで構成した意欲作である。

他にもディミトリ・パパゲオルギュ、デメトリス・エコノムといったキプロスの作曲家の作品は、ドイツ風の(というよりラッヘンマン風の)特殊奏法を駆使した音響を重視する作品が目立った。対してその他の国々の作曲家はそこまでドイツ風ばかりに偏らず、例えば和音の構成の変化に着目した作品なども決して少なくはなかった。特に韓国のスンジー・ホンは大胆に調性音階を取り入れつつ、タイトルのBisbiglioという名の通りビスビリャンドを多用し、クリスタルのような透明感のある響きを作り出していた。また日本でも現音作曲新人賞や武満徹作曲賞、武生国際音楽祭ゲストなどですっかりおなじみの、マレーシアのタズル・イザン・タジュディンは全曲目の中でも特に異彩を放っており、ガムランにヒントを得たという実に独特な音楽であった。

左より、今堀拓也、メインゲストのジョシュア・ファインバーグ、音楽監督エヴィス・サムーティス

左より、今堀拓也、メインゲストのジョシュア・ファインバーグ、音楽監督エヴィス・サムーティス

今回のメインの招待作曲家はアメリカのジョシュア・ファインバーグで、微分音を駆使した難曲トリオは、単に彼の得意とするスペクトル音楽だけにとどまらない風格を感じさせるものだった。実は彼のレクチャーによるキプロスの若手作曲家のコンサートというのが2日目にあったのだが、その日だけは時差ボケがピークに達してとてもコンサートに行ける体力が余っておらず、聴きに行けなかったのが残念である。

今堀拓也の作品は、フルート、クラリネット、ピアノのトリオで、Moscow Contemporary Music Ensembleによる演奏。本人は満足した出来ということである。特殊奏法はわずかしか用いられていない代わりに微分音を多く取り入れており、題名のVines(蔓)という絡み合った感じが良く現れていた。ちなみに Vinesは蔓植物全体と言うよりはブドウの木という意味が強いらしく、キプロスではドルマというブドウの葉の挽肉包み焼きが名物だそうで、彼は皆とレストランに入っては、題名にちなんでしきりにドルマを勧められていた。もっともこの蔓というのは、私がこの夏いっしょうけんめい育てたベランダの朝顔からインスピレーションを得たのだそうだ。

最終日にはMoscow Contemporary Music Ensembleのディレクター、ヴィクトリア・コシュノヴァ女史によるレクチャーがあった。ロシアの現代音楽の現状を英語で説明し、主にドミトリ・コウ リャンスキとその周辺の若手作曲家の活動についての話だった。

私たちはその最終日の午後、エヴィスに連れられて海辺の街プロタラスで海水浴を楽しんだ。何よりも素晴らしいオーガナイザーでありインヴァイターであったエヴィスに心からの感謝を表したい。

左より、オーナーのガロ氏、料理人氏、音楽監督エヴィス・サムーティス、キプロスの作曲家アンドレアス・ツィアルタス。コンサート終了後バックヤードでパーティーが行われた

左より、オーナーのガロ氏、料理人氏、音楽監督エヴィス・サムーティス、キプロスの作曲家アンドレアス・ツィアルタス。コンサート終了後バックヤードでパーティーが行われた

「チビテッラ日記」に続くイタリア企画とは…

世界に開く窓〜古往今来

世界に開く窓〜古往今来

昨年、第27回現音作曲新人賞を受賞した山本哲也です。

早いもので受賞からあっという間に1年経ってしまいました。今年の募集は三重奏なので、編成も作風もバラエティーに富んだ演奏会になるのではないかと期待しています。どのような曲が出てくるのか、また審査員の先生方がどのような判断をなさるのか、一聴衆として非常に楽しみです。

さて、昨年の受賞作であるコントラバスとハープのための《誤謬》は、3月に開催されたイタリア・ミラノの現代音楽祭〈Festival 5 Giornate〉において招待作品として上演され、私も現地に行き、音楽祭に参加してきました。そのレポートは大変遅ればせながら近々現音のウェブサイトで数回に渡って連載させて頂く予定です。

それからもう一つ近況報告と致しまして、今週末30日(日)に大学の芸術祭において個展演奏会を開催します。今年7月に完成したばかりの新校舎を使用しての初めての個展、ぜひ多くの皆さまにお聴きいただきたく思っております。

 

山本哲也個展チラシ

山本哲也個展チラシ

▼山本哲也作曲作品個展
2011年10月30日(日)14:00開演
国立音楽大学新1号館合唱スタジオ
入場無料

【プログラム】
・チャラサックス for Saxophone Quartet (2009)
・スライドホイッスル三重奏曲 (2011)
・NTER-KINESIS for Violin and Piano (2010)
・罪と撥 for Snare Drum solo (2011)
・10.5の小品 for Violin and VIola (2011・初演)
・オーバーチュアークラリネット八重奏のための (2010)
・Silent Bird … Oct.10 for Contralto Clarinet solo (2009)
・Universal Study for Clarinet Sextet (2010)
・Degradations’ Study for Bass Clarinet and Piano (2010)
・Psychedelic Study for Clarinet solo (2011・初演)

詳細はこちらをご覧ください。

福士則夫のチビテッラ日記〜第13回最終回〜

●第13回最終回「さようなら」

テントの下、最後の晩餐

テントの下、最後の晩餐

ディレクターのダーナ、お世話になりました

ディレクターのダーナ、お世話になりました

7月25日(金)は卒業式。このセッションは60日間4期に分かれていて、4月に始まり10月末まで延べ毎年30人ほどの芸術家が招聘され我々は2期目に当たる。時期としては4期の中で最も良い季節かもしれない。城の鐘の音を合図にディレクターであるダーナの家の庭先で城のスタッフも全員参加するレセプションが始まる。

夕食後はスカラベオと呼ばれている3階の談話室で証書を受け取るのだがその後に3~5分のプレゼンがある。こんな話は佐藤聰明君から聞いていないが今年から始まった儀式なのだろうか。仕方がないので出来たての合唱作品の下書きを見せ、城をスケッチした絵を見せ、最後にデーヴィー直伝のなんでも顔に貼り付ける芸当で腕時計を使ってマジシャンもどきにオデコに貼り付けたらこれが受けた、何が幸いするかわからない。

26日はベスとデーヴィーの奥さんとクラリネット二重奏のミニコンサートがあり、夕食前の演奏を夕食後と聞きちがえて残念がったら、デーヴィーが動画で一部をメールしてくれた。夕食後、ダーラと奥さんの幸江さんを招待する。日本から持参したカキピーとサキイカはどちらもダーラが好物らしく、どんどん食べて無くなっていくのが気持ちよかった。結局は食べる機会のなかったチキンラーメン、サトウのレンジで温める米と、レトルトカレーのこくまろ、醤油、ソースを彼らにプレゼント。ダーラは日本食も車も大好きでもちろんスカイラインGTRも知っていたが、彼が現在住んでいるベルリンでは最低速度225キロの道路もあるとか。思わず聞き直したのであるがカード一枚で簡単に車が借りられるので今度一緒に走ろうという話しに食指が動く。近々沖縄でダーラのインスタレーションが行われるそうで日本での再会を約する。

ゲストのそれぞれが奥さんや旦那を迎えてパーティーで盛り上がった翌日は彼らとの別れである。この小さな町から続けて次の招待地に向かう猛者もいる。フランス語で度々話しかけてくれたジェシカも去り今日はジョーとの別れ。彼女の詩はエルトン・ジョンも歌っていてイギリスではかなり著名な詩人らしい。図書館員と思われる物知りの旦那共々避暑地に移動するとかで途中までディエゴの車に同乗し、駅で別れる時に自分のCDを記念に渡す。素敵な声で「鱒」を歌ってくれたジョー、さようなら。

ペルージャの町に戻り自分も1か月半前に降り立ったバス停にカミさんと長女を出迎える。別れと再会が重なる一日であった。城に戻る車窓は金色に輝き、ところどころに干し草が綺麗に丸くまかれて丘の斜面にポツポツと止まっている。明日もきっと天気に違いない。

暮れ行くチビテッラ城

暮れ行くチビテッラ城

★次回は編集後記を特別掲載!

全13回に亘る「福士則夫のチビテッラ日記」をご愛読下さりありがとうございました! 次回は特別企画として、執筆を終えた福士則夫会員による編集後記をお届けします。なんとイタリア滞在中に福士会員自ら描いた水彩画も登場!

更新は11月2日(水)です。お楽しみに!