★須藤英子(ピアニスト/第14回朝日現代音楽賞受賞者)
普段、楽譜を凝視しながら演奏することが普通になっている私にとって、今回のワークショップは「視ること」から「聴くこと」へ、もう一度意識を向け直す良い機会になりました。
子供から大人まで、またアマチュアからプロまで、年齢や音楽歴に関わらず、相手の音を「聴いて」反応していく集団即興的な在り方は、とてもクリエイティブな場でもありました。
大作曲家の先生方が、童心に戻られて演奏されるお茶目なお姿(!)を拝見できたのも、今回のワークショップならではの特典だった気がします。貴重な体験をさせていただき、どうもありがとうございました。
倉内直子《Where We Are-for Piccolo and Toy Piano》
演奏:間部令子(ピッコロ)須藤英子(トイピアノ)
録音:2014年2月28日 東京オペラシティリサイタルホール
〈現代の音楽展2014—触発と対話〉「協創の未来~“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル」
★中川俊郎(作曲家/日本現代音楽協会副会長)
私が同じグループになった方々は、ピアノの須藤英子さんは言わずもがな、藝大の学生さん二人、アマチュアオーケストラでかなり演奏経験を積まれたオーボエ奏者の方など、筋金入りの若い人たちで、自分で楽器を持ち寄っていらしたものですから、最初から最後まで圧倒されました!
大学生の彼らにビックリしたのは、ワークショップの最初に、参加者全員で輪になって拍手廻しをした時からでした。反応時間が普通速くても一人0.3秒ぐらいなのに彼らは同じ時間で三人通過していましたから、3倍の速さです! その彼らと同じグループになって音楽づくりをすることに…(笑)。脳の瞬間的な情報処理能力と、いろいろなものを「急に」受け入れる能力ともしかしたら…何かのつながりがあるのか、と思いました。