〈現代の音楽展2015〉第1夜「世界に開く窓 百留敬雄ヴァイオリンリサイタル」2月3日(火)東京オペラシティリサイタルホールで開催

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〈現代の音楽展2015—演奏家と創造の現在〉第1夜
世界で活躍する日本人音楽家シリーズvol.3
世界に開く窓 百留敬雄ヴァイオリンリサイタル
制作:国際部・福井 とも子

2015年23日(火)18:30開場/19:00開演|東京オペラシティリサイタルホール

世界各地で出会う日本人音楽家の中には、そこでの信頼を得て、確かなる存在感を放っている人達が少なからずいる。素晴らしい活躍をしているのに、その情報がなかなか日本に伝わって来ないのは、とても残念なことである。数年前にそういう音楽家達を、謂わば逆輸入のような形で紹介してみようと始まったのがこのシリーズ。第3回目となる今回は、ベルギーを拠点に活動を続ける若手ヴァイオリニスト、百留敬雄を紹介する。2003年19歳でオランダに渡り、以来ずっと在欧し研鑽を積んできた。彼もまた数カ国語を操り、言葉の壁というストレスもなく、ボーダレスに飛び回っている。通常のヴァイオリンに加えて、5弦ヴァイオリンが扱えるという強みもある。国籍を問わず、様々な作曲家や作品について常にアンテナを張り、情報通である百留に、これまで同様、今回も旬な情報を提供してもらうことになっている。百留が選んだのは、日本でも人気の高い作曲家ジョルジュ・アペルギス(ギリシャ出身)のエレクトロニクス作品と、百留の技を熟知するオランダ時代からの旧友、マテウ・マロンドラ(スペイン出身)のサブハーモニクスを伴った作品、そしてさらにロシアの中堅として注目を集めているドミトリー・クルリャンツキー。クルリャンツキーは、まだ日本ではあまり知られていないが、ガウデアムス作曲賞等の受賞によりヨーロッパでの認知度が高まった。ノイズを構造化しながら強いインパクトを与える作風は、ロシアの若手作曲家達にも大きな影響を及ぼしているものと思われる。ここに参戦する日本の作曲家は、日本現代音楽協会会員の佐井孝彰三枝木宏行、そして徳永崇。佐井と三枝木(エレクトロニクスを伴った作品)は百留のために書いた新作、徳永は5弦ヴァイオリンの為に改作した作品である。さらに今回は一般公募を行い、この演奏会のための新作を募集した。選ばれたのは、若手作曲家として、このところ活躍目覚ましい黒田崇宏である。これら日本人の作品が、百留によって、また世界のどこかで再演されるであろうことも、この企画の狙いの1つである。

日本現代音楽協会 国際部長:福井とも子

 

ジョルジュ・アペルギス
The only line*
作曲2008年/日本初演

ドミトリー・クルリャンツキー
prePositions
作曲2008年/日本初演

マテウ・マロンドラ
Apposition II (figures of disorder)
作曲2014年/日本初演

黒田 崇宏
Two bows
作曲2014年/世界初演

佐井 孝彰
巡礼 II 〜独奏ヴァイオリンのために
作曲2014年/世界初演

三枝木 宏行
Mirage un paysage lyrique d’après Edogawa Rampo – 江戸川乱歩に拠る叙情的風景*
作曲2014年/世界初演

徳永 崇
How to embroider Ib
作曲2014年/世界初演

※演奏順は変更となる場合があります。

演奏:百留 敬雄(ヴァイオリン) 有馬 純寿(エレクトロニクス)*

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■チケット(全自由席)
前売一般 2,500円
前売学生 1,500円
当  日 3,000円(一般学生共通)
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00
03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00
東京オペラシティビル3F

東京文化会館チケットサービス
[電話受付]10:00-19:00
03-5685-0650
[インターネット受付]
http://www.t-bunka.jp/ticket/

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2015(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

1hyakutome_ura百留 敬雄  Takao HYAKUTOME, violin
北海道札幌市出身。4歳で村山英孝氏のもとでヴァイオリンの演奏を始め、後に市川映子女史、水野佐知香教授に師事する。オランダのマーストリヒト音楽院を経て、ベルギーの王立アントワープ音楽院修士課程を最優秀の成績で卒業。同音楽院でヴァイオリンと室内楽をディルク・ヴェルエルスト教授に、作曲をヴィム・ヘンデリックス教授に師事。在学中はロビー・ラカトシュ氏の楽団の一員としてヨーロッパ各地で演奏し、ジプシーやクレズマーの音楽、ジャズなどに親しむ。ヨーロッパ各地のコンクールで優勝・上位入賞し、現在はベルギーを中心にソロまたはシャンダクション、イクトゥス、ディスコードワークショップなどの現代音楽アンサンブルの一員として活動中。また、ヴァイオリンの特殊奏法の研究・レクチャーも行い、多くの作曲家から高く評価されている。1910年、トリノ、エドアルド・マルケッティのヴァイオリン、並びに2010年、コンコード、ジョン・ジョーダン作のエレキ5弦ヴァイオリンを使用。

有馬 純寿 Sumihisa ARIMA, electronics
1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、現代音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開。ソリストや室内アンサンブルのメンバーとして多くの国内外の現代音楽祭に参加し、300を超える作品の音響技術や演奏を手がけ高い評価を得ている。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。2012年より国内外の現代音楽シーンで活躍する演奏家たちと現代音楽アンサンブル「東京現音計画」をスタート、その第1回公演が第13回佐治敬三賞を受賞した。現在、帝塚山学院大学人間科学部准教授。

 

 

▼現代の音楽展2015 日程

2/15(日)18:00
西川竜太の啓く現代合唱の世界〜第21回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会
浜離宮朝日ホール 音楽ホール

2/22(日)16:00
平田英治サクソフォンリサイタル〜Focus on saxophone!
ドルチェ楽器大阪 アーティストサロン

3/10(火)19:00
上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会
渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

〈現代の音楽展2015〉第2夜「西川竜太の啓く現代合唱の世界〜第21回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会」2月15日(日)浜離宮朝日ホールで開催

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〈現代の音楽展2015—演奏家と創造の現在〉第2夜
西川竜太の啓く現代合唱の世界〜第21回朝現代音楽賞受賞記念演奏会
制作:松尾 祐孝

2015年215日(日)17:30開場/18:00開演|浜離宮朝日ホール 音楽ホール

 

▼ヴォクスマー
福士 則夫
「霧とカムイ」 for 12 voice a cappèlla mixed chorus
作曲2014年/委嘱初演

▼女声合唱団 暁
松平 頼曉
A person has let the “Kelly” out of the bottle
作曲2014年/委嘱初演 詩:松井茂

横島 浩
Belle de jour 昼顔
作曲2013年/初演

▼混声合唱団 空(くう)
湯浅 譲二
プロジェクション― 混声のための
作曲2014年/委嘱初演

▼男声合唱団クール・ゼフィール
山本 裕之
失われたテキストを求めてⅠ
作曲2009年/改定2013年

▼成蹊大学混声合唱団
神長 貞行
「DIGITAL BOX 2 」 for Mixed Chorus
作曲2014年

※演奏順は変更となる場合があります。

指揮:西川 竜太

 

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■チケット(全自由席)
一般 3,000円
学生 1,000円
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京文化会館チケットサービス
[電話受付]10:00-19:00
03-5685-0650
[インターネット受付]
http://www.t-bunka.jp/ticket/

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2015(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【共催】朝日新聞社
【助成】公益財団法人三菱UFJ信託芸術文化財団 公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

西川 竜太  Ryuta NISHIKAWA, conductor
1972年生。アジア音楽祭2010にて、7カ国の作曲家の8作品の世界・日本初演を指揮。2011~14年、湯浅譲二・松平頼暁「合唱作品による個展」を企画・指揮。「秋吉台の夏2013」現代音楽セミナー&フェスティバルに招聘講師・演奏家として参加。芸大在学中、声楽科有志と共に、1人1パート編成の声楽アンサンブル「Vox humanaヴォクスマーナ」を創設し、指揮者に就任。男声合唱団クール・ゼフィール、混声合唱団 空(くう)、女声合唱団 暁 の指揮者。成蹊大学混声合唱団常任指揮者。宮城県中新田縄文太鼓(三善晃作曲)伝承会合唱指導。都立総合芸術高校音楽科講師(合唱)。音楽の新しい時代の創造を目指し、作曲家と協力して、これまでに100におよぶ作品を初演している。2012年、第21回朝日現代音楽賞受賞。http://ryutanishikawa.wix.com/ryutanishikawa

 

 

▼現代の音楽展2015 日程

2/3(火)19:00
世界に開く窓 百留敬雄ヴァイオリンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

2/22(日)16:00
平田英治サクソフォンリサイタル〜Focus on saxophone!
ドルチェ楽器大阪 アーティストサロン

3/10(火)19:00
上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会
渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

〈現代の音楽展2015〉第3夜「平田英治サクソフォンリサイタル〜Focus on saxophone!」2月22日(日)ドルチェ楽器大阪 アーティストサロンで開催

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〈現代の音楽展2015—演奏家と創造の現在〉第3夜
平田英治サクソフォンリサイタル〜Focus on saxophone!
制作:南川 弥生

2015年222日(日)15:30開場/16:00開演|ドルチェ楽器大阪 アーティストサロン

 

田口 雅英
テナーサキソフォンの為の「黒い慟哭」
作曲2014年/初演

諸橋 玲子
Wind  for alto saxophone
作曲2014年/初演

近藤 浩平
海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼 作品121
(サクソフォンの為のヴァージョン)
作曲2014年/初演(日本現代音楽協会会員募集作品)

南川 弥生
瓢〜2本のサクソフォンのための〜
作曲2014年/初演

—休憩—

中村 典子
聲愈
作曲2014年/初演

大慈弥 恵麻
Nasobema 1
作曲2012年/改訂2014年/改訂初演

宇野 文夫
即興曲 サックスとピアノのための
作曲2014年/初演

※演奏順は変更となる場合があります。

 

演奏:平田 英治(サクソフォン) 篠原 康浩(サクソフォン) 厚地 えり奈(ピアノ)

 

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■チケット(全自由席)
一般 2,000円
学生 1,000円
※未就学児はご入場になれません。

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2015(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会 大阪音楽大学 NPO法人国際音楽協会 公益財団法人神戸市民文化振興財団

 

平田 英治  Eiji HIRATA, saxophone
大阪音楽大学卒業。赤松二郎氏に師事。フランス国立ボルドー音楽院に留学しJ・M・ロンデックス氏に師事、金メダルを得て卒業。ワールド・サクソフォン・コングレス(ニュルンベルグ、神奈川)に出演。帰国後は現代音楽を中心にリサイタル、アンサンブル活動の他、国内外の作曲家の新作初演を多数行う。元大フィルフルート奏者高橋成典氏と「フルートとサックス展」を開催、国際的フルート奏者、カミラ・ホイテンガ氏と全作新作初演の演奏会「第3回フルートとサックス展」で共演。「平田英治サクソフォン・アンサンブル」を主宰し、各地で演奏活動を展開している。関西室内楽協会、日本演奏連盟会員他。NPO法人国際音楽協会理事。第9回中国音楽コンクール合奏部門で中国民族楽器、西洋楽器アンサンブル「アンサンブル紫楽坊」のメンバーとして金賞、兵庫県知事賞受賞。

 

 

▼現代の音楽展2015 日程

2/3(火)19:00
世界に開く窓 百留敬雄ヴァイオリンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

2/15(日)18:00
西川竜太の啓く現代合唱の世界〜第21回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会
浜離宮朝日ホール 音楽ホール

3/10(火)19:00
上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会
渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

〈現代の音楽展2015〉第4夜「上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会」3月10日(火)渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホールで開催

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〈現代の音楽展2015—演奏家と創造の現在〉第4夜
上野信一&フォニックス・レフレクション奏会
制作:佐藤 昌弘

2015年310日(火)18:30開場/19:00開演|渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

 

倉内 直子
解放—4人の打楽器奏者のための
作曲2014年/初演

佐藤 昌弘
Nocturne pour Clarinette et Vibraphone
作曲2015年/初演

松尾 祐孝
PHONO no.10 – a Rhapsody for Percussion solo <π>
作曲2011年

森田 泰之進
たうないさい
作曲2015年/初演

郭元
“Mists” for 6 Percussion Players
作曲2012年/日本初演

楊暁忠
“Cloud Cluster” for 5 Percussion Players
作曲2012年/日本初

※演奏順は変更となる場合があります。

演奏:上野 信一(打楽器)

フォニックス・レフレクション
荻原 松美・小俣 由美子・峯崎 圭輔・新野 将之・悪原 至・大場 俊(打楽器)

板倉 康明(クラリネット)

 

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■チケット(全自由席)
一般 3,000円
学生 1,000円
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京文化会館チケットサービス
[電話受付]10:00-19:00
03-5685-0650
[インターネット受付]
http://www.t-bunka.jp/ticket/

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2015(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
【協賛】株式会社ヤマハミュージックジャパン 株式会社ヤマハミュージックリテイリング銀座店 株式会社コマキ楽器
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

上野信一&フォニックス・レフレクション  Shiniti Uéno & PHONIX-Réflexion, percussion
マルチ・パーカッショニスト上野信一が国内外で広く活躍するソリストたちと1988年に結成したパーカッション・グループ。ほぼ毎年コンサートを行ない、最近では2009年には全作品西村朗作曲作品によるコンサート「西村朗 パーカッションの宇宙」、安倍圭子との共演、2010年には全曲ネボイシャ・ジヴコビッチ作曲によるコンサート「打楽器魂」、2011年にはジヴコビッチ本人をゲストに迎えた「打楽器魂2011」を行なった。2013年には西村朗のオペラ「バカヴァッド・ギーター」をサントリーホールにて世界初演。2013年、クロアチア国際打楽器フェスティヴバルに出演。2014年、ルーマニア・ブカレスト、で開催されたルーマニア国際打楽器フェスティバルに出演し、その模様はルーマニア・ラジオ放送協会から国際配信され、絶賛される。等、国際的に活動を拡大している。彼らのCDは『ウィッシュ』『ケチャ』『ヤントラ・西村朗パーカッションの宇宙』『打楽器魂・N.J.ジヴコヴィッチ作品集』が、<ムジカ・ヴィバンテ>からリリースされている。また、「Phonix Marimba Orchestra」を<ALM>レコードで収録、発売を予定している。

 

 

▼現代の音楽展2015 日程

2/3(火)19:00
世界に開く窓 百留敬雄ヴァイオリンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

2/15(日)18:00
西川竜太の啓く現代合唱の世界〜第21回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会
浜離宮朝日ホール 音楽ホール

2/22(日)16:00
平田英治サクソフォンリサイタル〜Focus on saxophone!
ドルチェ楽器大阪 アーティストサロン

“競楽XI”聴衆賞受賞の言葉〜望月豪(マンドリン)

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“競楽XI”聴衆賞受賞

望月 豪(マンドリン)

今回、初めての「現代音楽演奏コンクール“競楽”」への参加でしたが、得るものはとても多く、参加して良かったと心から感じています。本選にて、他の素晴らしいファイナリストの方々の演奏を(楽屋や舞台袖、客席にて)聴きながらそこの一員となれたことをとても光栄に思いました。さらには「聴衆賞」というお土産までいただいて感謝の気持ちでいっぱいです。

マンドリンという楽器はクラシック音楽の中でも言ってしまえばマイナーな楽器であり、楽曲の数も限られています。全体数もさることながら、今回出演されていた多くの楽器と比べても、名曲と呼ばれるような作品は歴史の中で数えるほどです。それがマンドリンの置かれていた過去の事実であり、今でもマンドリンが現代音楽を含むクラシック音楽の中に登場する機会は非常に限られています。

数年前、マンドリンのコンクール(大阪国際マンドリンコンクール)において1位を受賞した際に、私が自分に定めた次の目標はその状況を変えていくことでした。内輪に向きがちなマンドリンの業界を外に開いていく、外に繋いでいく、それを自分の使命と思って演奏活動をしていこうと決めました。

現代音楽に本格的に取り組み始めたのはそれからでした。「きっとマンドリンに素敵な曲を書いてくれる」そう思わせて下さる作曲家の方々への委嘱を始め、気付けば関わった委嘱や初演の数は50になろうとしています。もちろん、再演にも積極的に取り組んできました。

楽器の歴史を辿っていくと、ある時代にその楽器の為の楽曲が大量に書かれ、そこから数々の名作が生まれている、ということを聞いたことがあります。その背景には優れた作曲家の存在があるのはもちろんですが、同時に熱心な奏者や指導者がいるという事実があります。私はマンドリンにとって、今がその時だと思っています。そしてそこに微力ながらも自分も貢献出来たらと願っています。そういった意味で今回のこの「競楽XI」への参加はある意味で自然の決断であり、ここで色々な方々にマンドリンを知っていただけたことは私にとってとても大きな意味を持つことでした。これはあくまで通過点、もしくは一つの転機であることを意識して、今後も作曲家や他の楽器の奏者の方々との縁を大事にしながら未来に繋げていければと思います。10年経って、クラシックの演奏会にマンドリンがもっと頻繁に、自然に使われる時代が来るよう願ってこれからも活動を続けていきます。

最後にこの場をお借りして、投票して下さった皆様、競楽関係者の皆様、これまでお世話になりました皆様に心より御礼申し上げます。特に、この競楽の為に素敵な楽曲を下さった川上統さん、田口和行さん、お二人の力なくしてはありえなかった結果だと思っております。また、これまで様々な現代曲を一緒に演奏してきたマンドリンオーケストラ「リベルテ」のメンバー、そして指揮者・ピアニストとして長年サポート下さっている鷹羽弘晃さんに心より感謝の意を表します。

 

▼望月 豪(もちづき ごう)
2009年、第5回大阪国際マンドリンコンクール(マンドリン独奏部門)にて、日本人として初の第1位受賞の他、マンドリン演奏・指揮において複数の入賞経験を持つ。これまでにリサイタルを東京/大阪/パリにて開催、20を超える演奏会での協奏曲のソリストを務め、管弦楽での賛助出演や、多くの新作初演にも携わる。CDは自身が指揮・独奏を務めた「協奏曲集 四季」や「Tzigane 望月豪マンドリンリサイタル」等。片岡道子、越智敬、池谷淳子氏に師事。