現音レクチャーシリーズ「エレクトロニクスを知る(1)」講師:有馬純寿 3月5日開催!

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日本現代音楽協会主催
レクチャーシリーズ エレクトロニクスを知る(1)

日時:2016年3月5日(土)18:30
会場:きゅりあん4F第1特別講習室 JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線、大井町駅 徒歩約1分

講師:有馬純寿

 

第1回 入門編

<1. 音響技術の基礎知識>
マイクの種類や曲に応じた使い方、スピーカーの特性や再生チャンネル数、ミキサーの各部の機能や具体的な活用法、実際のコンサートでの 使用のポイントなど音響機器の基礎 的な知識を解説します。

<2. 各種エフェクトや音響加工の実例>
ディレイやリング・モジュレーターといった、電子音楽の初期から現在に至るまで使用されている音響加工法から、最近のコンピュータ を使用したリアルタイムの音響処理までを、 実際に音を聴きながら紹介していきます。

 

第2回は既存の楽曲を用い、初期から現在に至るまでの電子音響の使用法について迫る予定です。

 

受講料:800円(事前予約推奨)
お問い合わせ:日本現代音楽協会
電話:03-3446-3506 E-mail: gen-on1930(a)jscm.net

Facebookページで参加予約

 

有馬純寿(ありますみひさ)プロフィール
1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、現代音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開。ソリストや東京シンフォニ エッタなどの室内アンサンブルのメンバーとして多くの国内外の現代音楽祭に参加し、300を超える作品の音響技術や演奏を手がけ高い評価を得ている。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。2012年より国内外の現代音楽シーンで活躍する演奏家たちと現代音楽アンサンブル「東京現音計画」をスタート、その第1回公演が第13回佐治敬三賞を受賞した。現在、帝塚山学院大学人間科学部准教授。京都市立芸術大学非常勤講師。

Web版 NEW COMPOSER Vol.5

webcomposer

Vol.5  2016.1.19

 お待たせいたしました。Web版『NEW COMPOSER』第5号をお送りいたします。
第5号では〈現音・秋の音楽展2015〉アンデパンダンのレポート、そして2月に開催される「現代の音楽展2016」についてお伝えします。
リアルタイムに更新できるのがWeb版『NEW COMPOSER』の良いところですので、それぞれの演奏会が近づくにつれ、更に記事が更新、増殖していくかも知れません。時々チェックして頂ければ幸いです。
どうぞご覧下さい。

NEW COMPOSER編集室長 山内雅弘

—– C O N T E N T S —–

現音作曲新人賞の講評

現音作曲新人賞本選会を聴いて 

                     審査員長 金子仁美 

 

 第32回現音作曲新人賞本選会は、2015年11月3日に渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホールで開催されました。厳正なる審査の結果、新人賞に川合清裕さん、富樫賞受賞に見澤ゆかりさん、入選に引地誠さん、増田健太さんが選ばれました。おめでとうございます。

 

 今回の課題は、弦楽四重奏と設定されました。何世紀を超えて、多くの作曲家たちがアプローチしてきたこの厳格な編成に、21世紀に生きる新しい世代がどのように挑むか、大きな関心と期待が寄せられました。

 応募は37作品。本年の審査員は山本裕之、鈴木純明両氏と金子仁美の3名で、全応募作品の事前の予見を経て、9月某日、現音事務局からの立会人同席のもと、譜面審査を行いました。譜面審査は、予見を含め、全て名前を伏せて実施されました。審査会では、第一段階としてまず全37作品のそれぞれについて、議論をしました。次に、第二段階として作品の完成度と技術的な質を、第三段階として本選で演奏が可能であるかという点を中心に審査しました。これらすべての段階を通して、作品の個性、表現力について精査することで、一回切りの点数による審査ではなく、何度も議論を重ね、多角的に譜面を見ることに重点を置き、そして最終の段階で投票を行いました。その結果本選に選ばれたのが4作品でした。演奏順に一言ずつコメントを書かせていただきます。

 

引地誠さんの『超流動 -superfluidity-』は、超流動という液体の「不思議な現象」を「弦楽四重奏という厳格な室内楽の編成を通して音楽で具現化することに意義を感じ」(プログラムノートより)、液体の動きの現象を音と音の関係や、音の動きで表現した作品で、細部にまで神経を行き届かせたエクリチュールが曲全体の構築を確かなものにしていました。曲冒頭は聴衆を作品に引き込む力がありましたので、曲全体を通して超流動がより一層多様な形態で表出されると、作品のコンセプトがより明確になったかもしれません。

 

見澤ゆかりさんの『ジャングル – ソナタ~ワルトシュタインへのオマージュ~』は、弦楽器からのさまざまなノイズの探求が印象的な作品ですが、ただノイズを使用したのでなく、人間にとってノイズとはいかなるものなのか、その意味や在り方にも思考を巡らせ、「ソナタ」という伝統的な形式にノイズを落とし入れた点でもユニークな試みでした。「ワルトシュタインへのオマージュのソナタ」ですから見澤さんの計画通りなのだろうとは思いますが、ノイズによる提示部の反復は聴き手にはいささか長かったとも考えられます。

 

川合清裕さんの『アンフォルムII~弦楽四重奏のために~』は、タイトルでもある「アンフォルム」を「〈形態的同一性を成立させない、しかし不定形(アンフォルム)の観念のもと類似している〉という文言に集約できるのではないか、と考えて」構成された作品とプログラムノートにありますが、形式面や音の扱いなどで古典的な色合いが強い中で、音の重ね合わせ方や形状が決して奇抜でない中から独創性を生んでおり、「未聴感」とも言える固有の響きを作り出しているのに耳を奪われました。古典的スタイルを生かすのが川合さんの狙いと解釈した上で、今後は未聴的部分が増すことを大いに期待します。

 

増田建太さんの『史実の花』は、楽器法を駆使した作品で、弦楽四重奏という編成の枠を広げようとする意気込みが譜面からも音からも伝わりました。プログラムノートに「この作品は表面的な性格の開拓ではなく、古来の営みから出る、まるで気付かれない地中の泥のようなある種の気配の表現なのです」と描かれているように、これらの実験的楽器法から奏でられる音は、気付かれずに眠る何かを表現しようとする静かな貪欲さによるものでした。次の展開を期待していたところで作品が閉じられた感があり、もう少し続きを聴きたい欲求が残りました。

 

 本選後の挨拶でもお伝えさせていただきましたが、4作品それぞれが全く違うアプローチで「弦楽四重奏」に挑んでおり、それぞれ完成度も高く、どの作品も魅力がありました。白熱した審査会となったことをご報告します。

 

 なお、演奏は、引地、川合作品を、クァルテット・レオーネの佐原敦子さん(第1ヴァイオリン)、小杉結さん(第2ヴァイオリン)阿部哲さん(ヴィオラ)、豊田庄吾さん(チェロ)が、見澤、増田作品を、甲斐史子さん(第1ヴァイオリン)、松岡麻衣子さん(第2ヴァイオリン)、般若佳子さん(ヴィオラ)、宮坂拡志さん(チェロ) のクァルテットがお引き受け下さいました。演奏の皆様の新曲に向かう真摯な態度のおかげで、作品それぞれの特徴が十分に引き出されました。本選会が、素晴らしい演奏会となったのも演奏の皆様の熱心な取り組みがあってのことです。この場をお借りし、関係者を代表して、お礼申し上げます。

 

 21世紀、弦楽四重奏という歴史ある編成で、日本から新しい表現の発信が出来たことを大変嬉しく思います。

〈現代の音楽展2016〉高橋アキを迎えて 2月6日7日の2日間に渡って公開レッスン、レクチャー、シンポジウム、コンサート開催!

第1夜

シューベルト、コンテンポラリー、高橋アキ—
シューベルトの音楽に共振したピアノ作品の初演と、
公開レッスン、レクチャー、シンポジウムからなる2日間。

 

東京オペラシティリサイタルホール (京王新線「初台駅」直結)

 

■第1日:2016年26日[]13:30開場|14:00開演

高橋アキ・公開レッスン
シューベルト/即興曲集D.935・第1番へ短調
┗受講者:栗田桃子(国立音大・院1)

松平頼曉/Allotropy 作曲1970年
┗受講者:川村恵里佳(東京音大・院2)

湯浅譲二/内触覚的宇宙II・トランスフィギュレーション 作曲1986年
┗受講者:鈴木友裕(桐朋学園大・学2)

現代音楽協会名誉会員によるレクチャー
松平頼曉「自作ピアノ曲を語る」
湯浅譲二「ピアノ曲の作曲とは」

高橋アキ&佐藤祐介 ピアノミニリサイタル
赤石直哉/Moment Musical for Piano 作曲2015年初演
シューベルト/人生の嵐 [連弾]
中川俊郎/“シューベルト・ファンタジー”ファンタジー [連弾]作曲2015年初演

 

■第2日:2016年27[日]13:30開場|14:00開演

公開レッスン成果発表
2月6日の公開レッスン受講者より1名の演奏

シンポジウム「シューベルトとコンテンポラリー」
パネリスト:近藤譲沼野雄司松平敬

第23回朝日現代音楽賞受賞記念 高橋アキピアノリサイタル
ベリオ/ Wasserklavie 作曲1965年
浅野藤也/祈り〜ピアノのための〜 作曲2015年初演
北爪やよひ/ÉNEK XI for Pianist〜そのときどきの〜 作曲2015年初演
松平頼曉/Allotropy 作曲1970年
湯浅譲二/内触覚的宇宙II・トランスフィギュレーション 作曲1986年
シューベルト/ピアノソナタ第21番変ロ長調D.960

 

制作:佐藤昌弘・露木正登

 

■チケット(全自由席)

第1日一般 1,500円
第2日一般 3,500円
学生通し券 2,500円

※学生券は日本現代音楽協会のみ取扱。
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00 03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00 東京オペラシティビル3F

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00 03-3446-3506
[メール受付] gendai2016(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人花王芸術・科学財団、公益財団法人ロームミュージックファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会、一般社団法人日本音楽作家団体協議会

 

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シューベルト、コンテンポラリー、高橋アキ—

2013年度に第23回朝日現代音楽賞を受賞したピアニスト・高橋アキ氏は、1968年のデビュー以来、現代音楽のスペシャリストとして、日本のみならず世界の現代音楽界を牽引し続けている演奏家である。近年は、ロマン派初期作曲家・シューベルト作品の演奏にも非常に意欲的で好評を博している。 当企画は、レクチャーと公開レッスンを中心とした第1日と、高橋アキ・ピアノリサイタルをメインとした第2日の連日2公演よりなる。両日の公演を通して、19世紀初頭のシューベルトのピアノ作品を現在進行形の音楽と捉え、20世紀後半から21世紀のコンテンポラリーのピアノ音楽と同列に置いてリンクさせることにより、クラシック音楽に新しい光をあてると共に、クラシック作品に素材を求めた新しい音楽作品創造の可能性を企図しており、現音会員作曲家による、シューベルトの音楽に共振したピアノ新作(独奏3曲、連弾1曲)が初演される。 このように、時代を超越して多角的にピアノ音楽を魅せることにより、現代音楽ファンのみならず、クラシックのピアノ音楽ファンにも広くアピールする。(制作:佐藤昌弘・露木正登)

 

Profile:たかはし・あき  鎌倉生まれ。東京芸術大学付属高校、同大学を経て同大学院修了。大学院1年の時、武満徹作品を弾いてデビュー。透明な響き、音色の柔軟な感受性をもって現代曲を演奏し、鮮烈な衝撃を与えた。1970年初リサイタルを開催。72年にはじめてヨーロッパに渡り、ベルリン芸術週間、パリ秋の芸術祭などでリサイタルを開き好評を博す。その後も毎年、海外の主要音楽祭から招待され続けている。72年現代音楽の演奏グループ「サウンド・スペース・アーク」を結成。以後19年間活発な演奏活動を行った。73年には昭和48年度芸術祭優秀賞を、内外の現代作品20曲を収録した『高橋アキの世界』(東芝、3枚組レコード)により受賞。 75年より『エリック・サティ連続演奏会』(12回)を企画構成の秋山邦晴とともに開催、「サティ再発見」の大きな契機となった。『エリック・サティピアノ全集』(全音楽譜)全13巻を校訂、またCD8枚に及ぶ『エリック・サティピアノ音楽全集』(東芝EMI)をリリース。 80年作曲家モートン・フェルドマンの招きにより、ニューヨーク州立大学バッファロー校の現代音楽センターのメンバーになり、その後もアーティスト・イン・レジデンスとしてニューヨークを始めアメリカ各地で演奏活動を行い、84年にはカリフォルニア芸術大学客員教授を務めた。83年第1回中島健蔵賞を受賞。83年から15年間、企画構成・演奏を続けた横浜での『高橋アキ”新しい耳”シリーズ』でも多数のソロまたはアンサンブル作品の委嘱初演、また日本初演を行った。1986年には第1回京都音楽賞・実践部門賞を受賞。 レコーディングにも意欲的に取り組んでおり、数多くのCDをリリースしている。ケージ、武満徹、ライリー、ジェフスキー、坂本龍一等現代音楽を代表する世界の作曲家たちに、ビートルズ・ナンバーを主題とする作品を委嘱した『ハイパー・ビートルズ』シリーズ(東芝EMI)をみずから企画制作・演奏し、CD4枚を完成。その1枚は英米でも発売され、ニューヨーク・タイムズ紙で、1990年ベストCDに選ばれた。 2002年から<ピアノ・ドラマティック>シリーズを東京の浜離宮朝日ホールで開始。その成果により2003年第21回中島健蔵賞を受賞。2006年春にはベルリンの“メルツムジーク”音楽祭にピアニスト・イン・レジデンスとして招かれ、5回のコンサートを行った。また秋のニューヨークでのフェルドマン作品によるリサイタルが、ニューヨーク・タイムズ紙で2006年度のベスト・コンサートの1つに選ばれた。2008年には2月ケネディ・センターでのリサイタル他、世界各地で公演。 CD「シューベルト・ピアノソナタ集」(カメラータ・トウキョウ)と「モートン・フェルドマン・トリオ」コンサートの演奏により、平成19年度(第58回)芸術選奨文部科学大臣賞を、またCD「危険な夜 高橋アキ・プレイズ・ジョン・ケージ」(カメラータ・トウキョウ)により平成20年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞。平成23年秋の紫綬褒章を受章。 著書に「パルランドー私のピアノ人生ー」(春秋社、 2013)がある。

お詫びと訂正

『現音・秋の音楽展2015』のプログラム冊子P17のロクリアン正岡会員の曲目解説に編集ミスがありました。正しくは下記の赤字の通りです。作曲者並びにご迷惑をおかけした皆様にお詫びして訂正致します。

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ロクリアン正岡
念仏楽曲「時を貫く“南無阿弥陀仏”」
作曲2015 年/初演

Locrian MASAOKA
“Namu Amida Butsu that transcends
through time”
2015, premiere

高浜虚子に
「去年今年(こぞことし)貫く棒の 如きもの」
という有名な俳句がある。
私は、「時間が貫く」のではないと思う。
この世に生きる者にとって、時間は全現象共通の軌道のようなものだが、生の呪縛から解放されて望めば、時間は無限とか永遠があるからこそ生じるその影のようなものに過ぎない。
「時間が暦を貫いて行く様」と言えば表象しやすいが、そんな甘いものではない。
同様に、「音楽は時間芸術」と言われ、「一貫性のある音楽」という褒め言葉もあるが、これもまだまだ甘い。究極の音楽は、時空に先立つ阿弥陀仏と人間との一体性から直接に齎されるものである筈だ。
が、仏教の信者の方々が日々唱えておられる言語念仏「南無阿弥陀仏」が、このように音楽と統合されることは果たして可能か。いや、そもそも是か非か?はたまた、信者の方にとって、それはどうでもよいことか、あるいは切実な問題か?
なお、本会のウェブサイトに本題の引用俳句部分の徹底的分析を核とした、週刊誌仕立てでいささか狂気の匂いもする哲学的論考を掲げた。3 万字近い型破りなものだが、これほど“はた迷惑なほどに”音楽の仮面をはぎ取ってみせたものを私は知らない。人間が書いたものとはいえ、この世やご自分に退屈されている方々をも目覚めさせる勢いのこの文章、是非ご覧になられますよう!
あの、小保方晴子、中川俊郎の両天才も「まな板の上の鯉」のごとし。

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※訂正版はこちらです。