競楽XII本選出場者紹介〜西村薫(クラリネット)

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▼本選演奏曲
北爪 道夫/Shadows IV(1977)
Michael JARRELL/Assonance(1983/1998)

 

この度は競楽の本選に出場できることを嬉しく思います。予選では上手くいかない部分もあったので、本選では満足のいく演奏が出来るよう、より良い準備をして臨みたいと思います。

本選では北爪道夫氏とミカエル・ジャレル氏の作品を演奏します。

北爪氏の《Shadows IV》は各音の長さが厳密なリズムで描かれておらず、譜面が視覚的に印象的です。題名の”影”が変化したり揺れたりする様が、譜面からイメージされてきます。また、独特の倍音や強弱の広さ等、クラリネットの特性が存分に生かされている部分も聴きどころです。

ジャレル氏の《Assonance》は私が留学中に学んだ中でも特に思い入れのある作品で、合宿先のアルプスのペンションで毎日練習した日々を今でも思い出します。題名は韻を踏むと言うような意味があり、モチーフが繰り返し出てきたり、少し変形して出てきます。また、スラップタンギングや息混じりの音や重音奏法など様々な特殊奏法がバランス良く使われています。難曲ではありますが、作品、そしてクラリネットの魅力が伝われば幸いです。

◎プロフィール

東京音楽大学卒業。ヤマハ管楽器新人演奏会に出演。渡仏し野村財団の奨学金を得ながら、オーベルヴィリエ・ラ・クールヌヴ地方音楽院などで研鑽を積む。クラリネットを三木薫、内山洋、A.ダミアン、M.ヴェルヴェル、J.コント、即興音楽をP.パニエの各氏に師事。また、即興ダンスや電子音楽も学ぶ。アンサンブル・アルテルナンスの現代音楽アトリエに参加。帰国後はオーケストラへの賛助出演、Tokyo Ensemnable Factoryでの活動等をしている。練馬区演奏家協会会員。

 

▼予選演奏曲
Bruno MANTOVANI/Bug(1999)

競楽XII本選出場者紹介〜鈴木あや(フルート)

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▼本選演奏曲
福島 和夫/冥 (1962)
Ian CLARKE/The Great Train Race (c foot version) (2010)
多久 潤一朗/虹(2009)

 

私が現代曲が好きになったのは、3つの作品に出会ったことがきっかけです。

武満徹の《ヴォイス》。
I.クラーク 氏の作品。
多久潤一朗 氏の《虹》。

音楽を超えた総合芸術的な曲。特殊奏法を、彩色的で描写的に、ごく自然に使用し、美しく面白い曲。現代曲の多様性とフルートの大きな可能性をこの楽曲によって知り、気持ちが高揚したのを覚えています。今回、憧れであった本コンクールにエントリーするに際し、私に大きな影響を与えた作品を選曲しました。

福島和夫の《冥》は、学生時代に師から勧められた当時、私にはこれを表現するイメージが出来ませんでした。

作者の言葉『弔笛 。笛の音は比世と彼世、ふたつの世ながらに響くという。《冥》くらい。ふかい。遠い。とおざかる。黙して思う。宇宙的無意識。』

特に難しい特殊奏法等は無いのですが、この曲には宇宙的広がりがあります。彼世にいる大切な人達に呼び掛けられたら。この曲に出会って数年が経った、今現在の自分の弔笛が表現できたらと思っております。

◎プロフィール

日本大学芸術学部卒業、同大学芸術学研究科博士前期課程音楽芸術専攻卒業。2013年ヤマハ新人演奏会、大学院修了演奏会、第7回ドルチェ楽器デビューコンサートに出演。フルートの特殊奏法の歴史と奏者から見た記譜法についての修士副論文が「THE FLUTE vol.143」(アルソ出版)で紹介される。これまでにフルートを高木綾子、故・立花千春、白戸美帆、室内楽を庄司知史、ソルフェージュを峰村信一、作曲を峰村澄子の各氏に師事。

 

▼予選演奏曲
武満徹/Voice(1971)

競楽XII本選出場者紹介〜古川玄一郎(打楽器)

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▼本選演奏曲
Karlheinz STOCKHAUSEN/ZYKLUS für einen Schlagzeuger Nr. 9(1959)
Matthieu BENIGNO, Alexandre ESPERET, Antoine NOYER/
Ceci N’Est Pas Une Balle(2012)

 

カールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007)はドイツの作曲家。
《ツィクルス》は1959年ダルムシュタット国際現代音楽祭で初演される。
音たちは作曲者により注意深く管理されているが、演奏者、聴者から想像することを決して奪わない。

「これはボールではない」は2012年にアレクサンドル・エスペレ等3人の若いフランス人打楽器奏者の視座によりかかれた。
表現媒体としての打楽器の在り方を問うた作品。
演奏とは?音楽とは?芸術とは?

最も根源的な楽器である打楽器は、我々のプリミティヴな感情の表出に相応しい。

◎プロフィール
洗足学園音楽大学を首席にて卒業。同大学大学院修士課程修了。20世紀以降の音楽を得意分野とし、日本現代音楽協会主催の「現代の音楽展」等で国内外の作品の初演に参加する他、コンテンポラリーダンス、映像、写真、絵画、朗読等とのインスタレーションアートにも積極的に取り組む。劇団四季「異国の丘」、ミュージカル「テイクフライト」(宮本亜門)、舞台「から騒ぎ」(蜷川幸雄)他の打楽器を担当。洗足学園音楽大学講師。

 

▼予選演奏曲
池辺晋一郎/モノヴァランス IV マリンバ等のために(1975)

競楽XII本選出場者紹介〜井上ハルカ(サクソフォン)

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▼本選演奏曲
Stefano GERVASONI/Phanes II(2009-10/2013)
棚田 文紀/Mysterious Morning III(1996)

 

パリ留学中からずっと出場したいと思っていた競楽への出場が叶い、この度本選で演奏できることをとても嬉しく思っています。

鼓膜を様々に刺激する音が生み出す感じたことの無い感覚、魔法のような時間に魅了されてから、現代音楽作品に意欲的に取り組むようになりました。
今回本選で取り上げるのは、どちらもパリ国立高等音楽院にて大変お世話になった二人の先生の作品です。ステファノ・ジェルヴァゾーニ先生の《Phanes II》は、蝶の羽ばたきのような繊細さの中に、綿密なポリフォニーが書かれた作品です。棚田文紀先生の《Mysterious Morning III》は私が8年前に始めて本格的に取り組んだ現代音楽作品であり、サクソフォンの国際コンクールでも頻繁に取り上げられています。当時は演奏するのに必死だった記憶がありますが、今回は当時とは全く違ったアプローチの仕方を楽しみながら取り組むことができました。これらの作品の持つ魅力を感じていただければ幸いです。

◎プロフィール

ESA音楽学院、リヨン地方音楽院を経てパリ国立高等音楽院サクソフォン科、第三高等課程DAI現代音楽クラスを修了。ブーローニュ・ビヤンクール現代音楽コンクール2014にて審査員特別賞(部門最高位)を受賞。2012年度から2014年度までヤマハ留学奨学生。Mayer財団、ADAMI財団奨学生。サクソフォンを前田昌宏、ジャン=ドニ・ミシャ、クロード・ドゥラングルの各氏に、室内楽と現代音楽をイェンス・マクマナマ、へ=スン・カンの各氏に師事。ESA音楽学院講師。

 

▼予選演奏曲
坂田直樹/Tilt-Shift(2015)

競楽XII本選出場者紹介〜井上仁美(マリンバ)

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▼本選演奏曲
三木 稔 /マリンバの時(1968)
Ivan TREVINO/Electric Thoughts(2014)

 

コンサート楽器としての歴史が浅い打楽器にとって「現代音楽」は馴染みの深いジャンルです。そんな「現代音楽」に真正面から向き合い、楽譜を正確に、尚且つ自分なりに読み込むことの大切さを教えてくれる「競楽」で、本選に出場できますこと、心より嬉しく思います。

《マリンバの時》(三木稔)は世界的に有名なマリンバのための作品です。日本を代表するマリンバ奏者安倍圭子氏のために書かれ、ガムランの音列やリズムに影響を受けています。三木氏はマリンバの音を持続させるための「トレモロ奏法」が過剰であることを嫌い、この作品でも最低限しか使われていません。

《Electric Thoughts》(Ivan Trevino)はマリンバとCDのために書かれた作品です。電子音は伴奏としてバランスを保ちマリンバの響きを強化しており、シンプルながら美しい作品です。

マリンバという楽器の魅力を多面的に皆様にお伝えできたらと思っています。

◎プロフィール

3歳よりピアノ、13歳より打楽器を始める。東京芸術大学卒業、同大学院を修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞を受賞。これまでに、マリンバ・打楽器を藤本隆文、故岡田眞理子、神谷百子、石井喜久子の各氏に師事。2012年、第7回安倍圭子国際マリンバアカデミーを受講、選抜者によるプレミアムコンサートに出演。2014年、万里の長城杯入賞。多数の新曲初演を始め幅広い分野で演奏活動を行う他、アウトリーチ活動や吹奏楽部の指導なども精力的に行う。また、音楽療法を学び演奏活動に生かす研究を重ねている。

 

▼予選演奏曲
三善晃/リップル 独奏マリンバのための(1999)