競楽XII本選出場者紹介〜鈴木真希子(ハープ)

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▼本選演奏曲
Betsy JOLAS/TRANCHE pour harpe seule(1968)
棚田 文紀/Mysterious Morning I pour harpe solo(1995)
Luciano BERIO/Sequenza II per arpa sola(1963)

 

競楽の本選会にて演奏する機会をいただき、大変嬉しく思います。

本選会では恩師F.ピエールへの委嘱2作品と、パリを拠点にご活躍中の棚田文紀氏の作品を演奏致します。
1曲目《TRANCHE》は、エトフェと呼ばれる響きを止める奏法がいかされた作品です。エトフェによりフレーズは刹那に消え去りますが、幾重にも溶け合った儚いフレーズは、まるで長い吐息のように豊かな時間を描きます。
2曲目《Mysterious Morning I 》は、ハープらしさが際立った作品です。朝の風が吹き抜けるような心地よさ、そして美しくも魅惑的なハープの世界を表現したいと思います。
3曲目《Sequenza II 》は、ベリオと親交の深かった恩師、二人で創り上げたというこの作品は、現代音楽におけるハープ奏法のもととなる特殊奏法とハープの多くの可能性を示しています。

紀元前3000年頃に原型があったとされるハープ。長い歴史を経て、この現代まで繋がった響きをお楽しみください。

◎プロフィール

洗足学園音楽大学卒業。パリ・エコール・ノルマル音楽院高等演奏課程を満場一致で卒業。パリ国立地方音楽院を満場一致で卒業。クレ・ドール国際コンクールにて1位。留学中アンターコンテンポランのアトリエに在籍。これまでに信国恵子、杉山敦子、F.ピエール、G.プチ・ヴォルタ氏に、現代音楽をB.シルベスター、J-Mコッケ、F.カンブルラン氏に師事。

 

▼予選演奏曲
Raymond MURRAY CHAFER/The Crown of Ariadne for solo harp with percussion(1979)より1、2、3、4楽章

第33回現音作曲新人賞入選者発表

2016年11月25日(金)午後5時より、第33回現音作曲新人賞の譜面審査を行いました(作品募集テーマ:邦絃楽器)。
全18作の応募の中から、山本裕之審査員長、新垣隆・福井とも子審査員による厳正な審査の結果、新人賞候補作品(入選作)に下記の4作が選ばれました。
2017年3月3日(金)渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホールにて行われる〈現代の音楽展2017〉「邦楽・絃楽プロジェクト」内の第1部「第33回現音作曲新人賞本選会」に於いて、演奏審査により新人賞受賞作を決定します(開演時間未定)。

 

■入選作(作曲者名五十音順に表記)

池田 萠(Moe IKEDA)
《硝子妄想(と、その解決)》地歌三味線(中棹三味線、歌唱を含む)
1986年石川県生まれ。愛知県立芸術大学作曲専攻卒業。IAMASメディア表現研究科修了。作曲を小林聡、寺井尚行、三輪眞弘他の各氏に師事。

伊藤 彰(Akira ITO)
《好奇心ドリブン》ギター、ヴィオラ、二十絃箏
1991年福岡県生まれ。国立音楽大学音楽文化デザイン学科卒業。同大学院後期博士課程在籍中。作曲を菊池幸夫、北爪道夫、川島素晴の各氏に師事。

原島拓也(Takuya HARASHIMA)
《極彩ドロップ No.2》中棹三味線、十七絃箏、フルート
1993年生まれ。現在桐朋学園大学作曲専攻研究生。作曲を山内雅弘、山根明季子、金子仁美の各氏に師事。

増田建太(Kenta MASUDA)
《樹に窓を見る》十三絃箏、クラリネット
1990年生まれ。大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻音楽コース作曲専攻卒業、同大学院修了。物部一郎、北川文雄、猿谷紀郎の各氏に師事。

競楽XII本選出場者紹介〜中山加琳(ヴァイオリン)

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▼本選演奏曲
藤倉 大/Samarasa for violin(2010/new version 2014)
Pierre BOULEZ/Anthèmes 1 pour violon seul(1992)

 

この度、競楽本選会に出場させていただけること、大変嬉しく、光栄に思っております。

藤倉大氏の作品名「Samarasa」には、氏によると、サンスクリット語で「心の平衡(mind at rest)」という意味が込められています。一音ごとの弦の移動や普段使われないポジションによって、その不自然さがメロディに美しい揺れを引き起こします。不自然な運動によって、生みだされる音楽からは、不安や焦りの感情も見え隠れします。エネルギーをふつふつとため、後半、一気に激しさを増し、爆発したあとは静かに落ち着いて、遠くに消えて行ってしまいます。その心の様を表したいと思っています。

今年(2016)に亡くなられたブーレーズ氏の「Anthèmes 1」は、メニューイン国際コンクールのために書かれた技巧的に難しい曲ですが、瞑想的であったり、急にアップテンポになったり、不規則なリズムになったりと、パッセージやテンポがコロコロと変わって、あたかもフランス語の詩や会話のように聞こえます。まるで誰かが何か言いたいことがあるのに、言いかけては途中でやめて、別の人が割って入ってくる、そんな風にせわしなく場面が変わって進んでいくようなイメージを膨らませてくれる作品です。

作曲家の込めた想いやメッセージが皆様に届きますように。

◎プロフィール

桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。ドイツ国立フォルクヴァング芸術大学演奏家修士課程を最優秀の成績で卒業後、現代音楽科(同大学修士課程)へと進む。石井志都子、Jacek Klimkiewicz, Günter Steinke, Hannah Weirichの各氏に師事。第16回Luigi Nono国際コンクール第1位、第4回Maria Grazia Vivaldi国際コンクール第1位、第9回大阪国際音楽コンクール第2位。現在ドイツ拠点の現代音楽アンサンブルEnsemble CRUSHの一員としてソロ、アンサンブルで活躍中。http://ensemble-crush.com/

 

▼予選演奏曲
Salvatore SCIARRINO/Sei Capricci Per Violino(1976)
Adriana HÖLSZKY/Klangwaben-Signale für Violine Solo(1993)

競楽XII本選出場者紹介〜永野雅晴(打楽器)

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▼本選演奏曲
北爪 道夫 /サイド・バイ・サイド(1989)
Casey CARGELOSI/Tap Oratory(2015)

 

今回は《サイドバイサイド》と《Tap Oratory》という2曲を演奏させていただきます。

《サイドバイサイド》は音符の長さの違いを楽しむ曲です。もともと《打楽器とオーケストラのためのサイド・バイ・サイド 》という曲があり、そこからソロパーカッションの部分を抜き出したもので、使う楽器や反復回数などが細かく指定されておらず、そう行った意味でなかなか自由度の高い曲です。

《Tap Oratory》という曲は予め用意された電子音楽と小太鼓のための曲で、私史上初めてとなる機械との共演です! こちらの曲はどこを叩くか、どこで回すか、どこで取るかなど細かな指示がたくさんあり、小太鼓1台だけでも色々なことができるんだと、楽器の持つ可能性を再確認することの出来た曲でありました。

一方はお硬く、もう一方はチャラいです。楽しんでいただけたらと思います。

◎プロフィール

愛媛県出身。東京芸術大学卒。現在東京芸術大学修士2年。東京芸術大学卒業時に同声会賞受賞。その年の同声会新人演奏会に出演。Italy percussion competitionスネアドラム部門第2位。林英哲風雲の会としてヨーロッパツアーに参加。祝祭大劇場や楽友協会、またベルリンフィルハーモニーなど、12ヶ所でソリストとして和太鼓を演奏する。これまでに、中山航介、杉山智恵子、藤本隆文、安江佐和子、宮崎泰二郎、林英哲の各氏に師事。

 

▼予選演奏曲
Casey CANGELOSI/Meditation no.1(2011)

競楽XII本選出場者紹介〜西村薫(クラリネット)

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▼本選演奏曲
北爪 道夫/Shadows IV(1977)
Michael JARRELL/Assonance(1983/1998)

 

この度は競楽の本選に出場できることを嬉しく思います。予選では上手くいかない部分もあったので、本選では満足のいく演奏が出来るよう、より良い準備をして臨みたいと思います。

本選では北爪道夫氏とミカエル・ジャレル氏の作品を演奏します。

北爪氏の《Shadows IV》は各音の長さが厳密なリズムで描かれておらず、譜面が視覚的に印象的です。題名の”影”が変化したり揺れたりする様が、譜面からイメージされてきます。また、独特の倍音や強弱の広さ等、クラリネットの特性が存分に生かされている部分も聴きどころです。

ジャレル氏の《Assonance》は私が留学中に学んだ中でも特に思い入れのある作品で、合宿先のアルプスのペンションで毎日練習した日々を今でも思い出します。題名は韻を踏むと言うような意味があり、モチーフが繰り返し出てきたり、少し変形して出てきます。また、スラップタンギングや息混じりの音や重音奏法など様々な特殊奏法がバランス良く使われています。難曲ではありますが、作品、そしてクラリネットの魅力が伝われば幸いです。

◎プロフィール

東京音楽大学卒業。ヤマハ管楽器新人演奏会に出演。渡仏し野村財団の奨学金を得ながら、オーベルヴィリエ・ラ・クールヌヴ地方音楽院などで研鑽を積む。クラリネットを三木薫、内山洋、A.ダミアン、M.ヴェルヴェル、J.コント、即興音楽をP.パニエの各氏に師事。また、即興ダンスや電子音楽も学ぶ。アンサンブル・アルテルナンスの現代音楽アトリエに参加。帰国後はオーケストラへの賛助出演、Tokyo Ensemnable Factoryでの活動等をしている。練馬区演奏家協会会員。

 

▼予選演奏曲
Bruno MANTOVANI/Bug(1999)