2011年度国際交流基金賞受賞記念コンサート

打楽器合奏の雄、メキシコの打楽器アンサンブル=タンブッコが、このほど国際交流基金賞を受賞することになり、急遽来日が決定、受賞記念コンサートが来る10月8日(金)に開催されます。

2005年<セルバンティーノ国際芸術祭>委嘱作品で、タンブッコがメキシコで初演した作品、松尾祐孝<SOUND SOUND IV>や、三木稔<マリンバ・スピリチュアル>の他、様々な国や分野の
作品がプログラミングされています。

<ISCM世界音楽の日々1993メキシコ大会>での鮮烈な演奏以来、世界的に注目され、アメリカのグラミー賞にも何度もノミネートされているTAMBUCOの演奏に、期待が高まります。

チラシはこちら

▼2011年度 国際交流基金賞受賞記念コンサート
~TAMBUCO PERCUSSION ENSEMBLE~

10月7日(金)19:00開演
トッパンホール

●曲目
松尾祐孝/<SOUND SOUND IV>~尺八、二十絃箏、打楽器の為に~
(2005/セルバンティーノ国際芸術祭委嘱作品日本初演)
三木稔/マリンバ・スピリチュアル(1983-84)他

出演:Tambuco Percussion Ensemble
リカルド・カシャルド アルフレッド・フリンカス
ミゲル・ゴンザレス ラウル・トゥドン
共演:三橋貴風(尺八) 吉村七重(二十絃箏)

◎全自由席2500円(学生1500円)

トッパンホールチケットセンター
TEL 03-5840-2222
http://www.toppanhall.com

e+(イープラス)
http://eplus.jp

福士則夫のチビテッラ日記〜第8回〜

●第8回「陶器の町デルータと城壁の町モントーネ」

7月11日(金)、今日は朝9時に出発し、わが町ウンブリッチッドからそれほど遠くない陶器の町デルータに遠足。途中SANTUARIO教会に寄る。ジェシカの説明によると16、7世紀、人が事故や若くして亡くなった折、そのことを陶板に描いて教会に奉納し祈る伝統があるとか。壁、柱一面に当時の陶板がそのままじかに貼り付けてあるのだが、1900年代に入ると交通事故の絵など、かなり生々しい描写になる。

いたる所に貼り付けられた陶版画

いたる所に貼り付けられた陶版画

絵付けの前の鶏型のピッチャー

絵付け前の鶏型のピッチャー

ここから5分もかからぬデルータの街に入ると、何処を見回しても陶器の店しかない。毎晩われわれの食卓の上におかれる鶏型のピッチャーはデルータ産だそうで、ほとんどの連中が買ってはお互いの品物を見せ合っていた。今日の遠足は午前中の早い時間に設定されていて、昼食は城でというスケジュールだったので途中ウンブリチッドのスーパーを横目に見るだけで車は城へ。食物に関して敏感に反応する三人の作曲家は示し合わせて夕方ベスの運転で、あらためてスーパーへ買出しに行く。

今回の滞在中最も緊張した1時間

一つ一つ手書きをしている職人は若い女の人が多い

12日夕食後に隣町モントーネで行われている映画が話題になり車でドライヴ。此処も古い歴史を城砦の壁が物語っていて何層にも色が変わって積み重なっているのは幾多の戦いがあった事を示しているのだろうか。この、さほど大きくもない町のごく小さな広場で行われる野外映写会にピーター・ロードが来て彼の短いアニメを6本楽しんだが、その後に見たアフガンの少女の映画は辛かった。アフガン社会における女性の位置と貧困とテロ抗争を子供の視線で表現しているのだが、これがまだ今も現実なのが重い。いつも明るくて身体の大きなジェシカも沈んでいた。

13日は待ちに待ったメールがようやく復旧したのは幸いだが160通以上の着信メールをチェックする事になり、浮世離れした世界に溶け込んでしまっている自分を思い知らされる。

★次回第9回「いよいよ出番」予告

15日(火)、運命のプレゼンテーション当日、ディエゴがウンブリチッドの駅まで通訳の藤谷奈穂美さんを迎えに行くので車に同乗する。13:38到着の一両編成の電車はイタリアにしては珍しくオンタイムで到着。彼女は城の近くのペンションをインターネット予約したそうで興味がてらそこまで付き合うが、ウンブリアの丘を一望する素晴らしい眺めではあるものの、プール付き100ユーロはチト高いのではないだろうか?…

更新は9月28日(水)です。お楽しみに!

福士則夫のチビテッラ日記〜第7回〜

●第7回「スーパーマーケットを横目に」

7月2日(水)、車で1時間ほど駆けスポレートという古い城がある街に出掛けた。ここにも美しいカテドラルがあるが辿り着くまでかなりの急勾配。さらに丘の頂上に古い要塞があり30度を越す炎天下で地獄の責め苦であったが、我々の世話をしてくれるインターンの二人の若い女性、タラとブリアナは城砦の突端まで走っていってワーワーキャーキャーさすがに世代が違う。

Rocca Albornoziana

Rocca Albornoziana

音楽祭が行われている城の中庭

音楽祭が行われている城の中庭

かなり剥落した壁画のある回廊の中庭ではコンサートが毎晩行われているそうである。スポレートの町はジャン・カルロ・メノッティが始めた音楽祭で有名らしく音楽だけでなく絵画、演劇、映画、ダンスなどが7月13日まで毎日行われている。2階の回廊には古い水道橋のフレスコ画が描かれていたが、城塞の裏手を散策すると絵のままの14世紀に建造された石造りのローマ水道橋の景観が眼下に広がっていたのは感動ものだった。今や名画はルーブルに行かなくても東京で鑑賞する事も出来るわけで、様々な国宝級の美術品が空を飛び交っている時代であるが、そこにわざわざ足を運ばなければ立ち合えない人間の偉業を目の当たりにして思わず暑さを忘れる。大通りから横道に入った角の小さなレストランで昼食。オリーブオイルをかけて焼いたパンと鱒とデザートにゴルゴンゾーラ。隣に座ったダーラと全て半分ずつ。おいしうそに焼けた鱒が来た時、シューベルトの「鱒」を口ずさんだら一つ隣のジョーが美声で一緒に歌ってくれた。この街もロマネスクとルネッサンス様式が重なったカテドラルがあるが、その中室を飾っているドームの絵画はスペッロの教会と比べると時代が下っているせいか装飾的で、というよりも教条的でどうにも好きになれない。

城塞の裏手にあるローマ水道

城塞の裏手にあるローマ水道

帰路は急いでいたのか、タラが運転するフィアットはわが町ウンブリチッドにあるスーパーマーケットCOOPに寄らず城へとまっしぐら。明日の朝パンがないのにー!!部屋に戻って今度の買出しはいつ、と早速辞書で確認。3日(木)は中国人のインスタレーション作家、モモのプレゼンテーション、香港で活躍中とか。内容は蟻を扱った映像である。砂糖に群がって動いている蟻と、掃除機から出したダストがズームアップしていくと固まった蟻の集団になっていて、その真逆がメッセージとしてかなり面白かった。

音楽作品でもマクロ側からミクロ側へズームすると同じ音響素材が変容していく事象、そのプロセスを観察するアイディアは作曲上でも有効かもしれない。自分の気持ちが彼女に伝えられず歯がゆかった。

★次回第8回「陶器の町デルータと城壁の町モントーネ」予告

7月11日(金)、今日は朝9時に出発し、わが町ウンブリッチッドからそれほど遠くない陶器の町デルータに遠足。途中SANTUARIO教会に寄る。ジェシカの説明によると16、7世紀、人が事故や若くして亡くなった折、そのことを陶板に描いて教会に奉納し祈る伝統があるとか…

更新は9月21日(水)です。お楽しみに!

ISCM韓国支部より作曲コンクールのお知らせ

ISCM韓国支部より作曲コンクールのお知らせが届きましたので要項を掲載致します。

LEE Sang-geun Competition要項

「ROSCO10周年記念リサイタル」を聴いて

正会員:深澤倫子

ROSCO 10周年リサイタルチラシ

ROSCO 10周年リサイタルチラシ

私が初めてROSCOの演奏を聴いたのは、2006年のデュオコンサートの時だった。

その時、かなり難しい作品もあったと思うが、音をごまかす事なく、また書いてある楽譜を必死で追った感じもなく、サラッとしっかりとした演奏の印象があった。

そして、この度改めてROSCOの演奏の質の高さを再認識した。さらに磨きがかかり、しなやかさと瞬発力を兼ね備えた演奏で、各作品の特徴を引出し、最後まで飽きる事なく楽しめた。

作品の持つ強いエネルギーが、お2人の演奏を通して所々に溢れ、それが彼女達の可憐な風貌とコントラストを作り、作品がより一層魅力的になったのは言うまでもない。

さらに10年後、20年後のROSCOの演奏会が今から楽しみだ。(2011年8月8日/東京オペラシティリサイタルホール)

 

ROSCO(ロスコ):甲斐史子(かいふみこ/ヴァイオリン)大須賀かおり(おおすがかおり/ピアノ)
桐朋学園大学在学中より活動をはじめ、2001年8月デュオを結成。2002年、日本現代音楽協会主催による「第5回現代音楽演奏コンクール“競楽V”」優勝。第12回朝日現代音楽賞受賞。2003年〈現音・秋の音楽展2003〉において受賞記念リサイタルを開催。http://www18.ocn.ne.jp/~rosco/