「アレ」を「あの場所」で「あんな衣装」で…山本裕之 無伴奏モノ・オペラ《想像風景》

アレやアレやアレ

アレやアレやアレ

みなさま、初めまして! 山本裕之さん作曲の無伴奏モノ・オペラ《想像風景》のパフォーマンスをします、池田萠と申します。

この作品の第1回目の練習の日、演奏し始めてから間もなく山本さんからこんなひとこと。

「あ、そこは歌う感じじゃないから」

…そうなんですか??えーー…。(久しぶりに発声練習なんかもしてたのに、ちょっとがっかり)

ということでこの《想像風景》、「オペラ」というものの、歌うわけではなく(歌う箇所も少々ありますが)、具体的な物語があるわけでもなく、でもテキストはあり、でもそのテキストには意味があるような無いような? そしてパフォーマーは、左手に私物のアレを持ち、右手に山本さんからの借り物のアレを持ち、あの場所あんな衣装あんなことやらされます。「アレ」や「あの」は当日までの秘密、ということで…。

そしてこの作品の上演のためには、数々の「ある準備」が必要になります。その準備のために、プロデューサーの福井さんや現音のスタッフの方、そして山本さんがあっちへこっちへと動いてくださっています。ある人は警察署へ出向き、ある人は某企業へ交渉に、またある人は体力作り(!)などなど、本当に大変です(ありがとうございます!!)。

この作品に関しては、そのあたりが「訳あり!?」の理由のひとつでしょうか。しかし、楽譜から読み取ることの出来る最終形態にいい意味で振れ幅のある、大変魅力的な作品だと思うので、いろいろなタイプのパフォーマ ーの方の演奏を聴いてみたいですし、私自身もまたどこかで是非やりたいと思っています。

また、来年の5月末から6月頭にかけて、名古屋と石川県でソロ・リサイタルを行います。自作を含む音楽パフォーマンス作品を中心に、プログラムを構成中です。詳細が確定次第、ブログでお知らせいたしますので、ぜひチェックしてみてください。

いけだもえの日記(ときどき)※本当にときどき、です。(笑)

ではまた、11月24日にオペラシティリサイタルホールで!

 

池田 萠 photo: 吉本和樹

池田 萠 photo: 吉本和樹

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第2部] 世界に開く窓〜訳あり!?
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

山本 裕之/無伴奏モノ・オペラ《想像風景》 [作曲2000年] 池田 萠(パフォーマンス)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

新人賞ファイナリスト紹介〜その3〜旭井翔一

旧東京音楽学校奏楽堂

国の重要文化財にも指定されている、旧東京音楽学校奏楽堂

御覧の皆様はじめまして。今回演奏していただくことになりました旭井翔一と申します。普段はただのひきこもりなのでとても驚いています。

《水曜日の夢》についてですが、この作品は6つのセクションによって構成され、更に大きく2つに分けられます(前、後編3つずつ)。それぞれ非常に独特な響きで、聞いていて楽しめるよう心がけました。しかしそのぶん奏者への負担は相当なものです。

今回演奏してくださる多久潤一朗さん、上畠善男さん、永田由貴さんには既にリハーサルで2度お会いしましたが、とても真摯に対応していただき、経験不足の私をカバーし、更に良い演奏にするために様々な提案をしてくださったりと、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

さて本番は一体どのような演奏になるのでしょうか、とても楽しみです。

あとタイトルについてですが、作曲時期に見ていた私の好きな旅番組のタイトルを引用したりしたものなので特に意味はありません。

公演一週間前の17日(木)には、旧東京音楽学校奏楽堂にて東京藝術大学作曲科の上位成績者による演奏会がありました。とても良い演奏会でした。ちなみに私の作品は演奏されていません…

24日にこのフラストレーションを発散できればと思います。

 

 

 

 

 

 

●旭井翔一(あさいしょういち)1988年福井県生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科に在籍中。野平一郎、土田英介、徳永崇、篠田昌伸の各氏に師事。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

旭井 翔一/水曜日の夢 [作曲2011年/初演]
多久 潤一朗(フルート) 上畠 善男(オーボエ) 永田 由貴(コントラバス)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

現音 バイクを手配、次は何をやる!? 松平頼曉《What’s next?》

東京オペラシティリサイタルホールのステージにバイクが登場!
そりゃなかなか上演出来なくて「訳あり!?」とも言われますよね…。

どうも、TT事務局員です。現音ブログでは時々執筆していましたが、リニューアルサイトでは初めてですね。

さて、11月24日(木)に上演する松平頼曉会員のシアターピース《What’s next?》では「ノイズメーカー」と名付けられたパフォーマー2人が、様々な物をステージに持ち込んで、いろーーーんな音を出します。その「様々な物」のひとつがバイクという訳です(ね「訳あり」でしょう?)。

そのバイクですが、どうやって手配し、どうやってホールに入れようか…と頭を抱えていたところ、音楽評論家の石塚潤一さんが救いの手を差し伸べて下さいました! なんと、ご近所のお知り合いの方がバイクを提供して下さると言うのです!

そこでお邪魔したのが都内にある桜井重雄様宅。工務店を営んでらっしゃるというお宅の玄関先まで行ってみると、ガレージに鎮座するネオクラシックな青いバイクと、赤く重厚なボディのハーレー!!

上がヒロ桜井さん、下が平川準さん所有のバイク

上がヒロ桜井さん、下が平川準さん所有のバイク

ジャジャン!これです!

青い方は桜井重雄さんのご子息、ヒロ桜井さん所有。元々はバイクショップのショー用に作られたモデルだそうですが、今はヒロさんの手によってカスタム仕様に。コンパクトボディながら250CCというスペックで、聴かせて頂いたエンジン音もクールでカッコいい!

一方の赤いハーレーは、桜井さんのご近所に在住の平川準さん所有のもの。900CCの圧巻の存在感。こちらのエンジン音はやはりズシリと重く、とは言うものの、荒々しいというよりは気品が有る感じでした。

ヒロさんのバイクのエンジン音がトランペットなら、平川さんのハーレーはバストロンボーン、そんな感じでしょうか。エンジンやマフラーの素材・形状によってこんなにも音が違うのかと、まさに楽器と同じですね。

バイクを見せて頂いた後、重雄さんの秘密の部屋(?)に通して頂きました。なんとそこは重雄さんの趣味、コレクション、夢が詰まった空間でした! ここではとても紹介しきれないので、別の訪問者のレポートをリンクさせて頂きます!

重雄さんは4〜5歳頃にして模型ボートにはまり、中学生の頃にはラジコンボートで全日本チャンピオンになったお方! そんなモーターお父さんの影響を受けないでか!息子ヒロさんもまたラジコンボートや自動車の全日本プロドリフト選手権「D1」でご活躍、レースの写真も飾ってありました。(6位入賞の大会記事PRS13型も

「こんな部屋あったんだ。近くに住んでるのに知らなかったよ」と平川さん。平川さんはご自身が画家、奥様がオルガン奏者という芸術一家。只今渋谷の「Gallery mu」で個展の真っ最中という忙しい中、快くこの企画に協力して下さった事に感謝です。

この日はヒロさんにクラシックギターを教えてらっしゃる、西野ギター製作所(埼玉県所沢市)の西野雅人さんもお見えでした。現代音楽関係者が訪問するということで、感心を持っていらして下さったそうです。嬉しい限りですね。

最後に集合写真。さて、この面々でお送りする十数年ぶりの《What’s next?》はどのような上演になるのでしょうか!? 皆様是非その目と耳でお確かめ下さい!

左から西野雅人さん、ヒロ桜井さん、桜井重雄さん、松平頼曉、福井とも子、平川準さん、石塚潤一さん

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第2部] 世界に開く窓〜訳あり!?
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

松平 頼曉/What’s next? [作曲1967-1971年] メリ・ニクラ(ソプラノ) 多井 智紀・福井 とも子(パフォーマンス)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

新人賞ファイナリスト紹介〜その2〜松浦伸吾

松浦伸吾《霧中の紅》スコア

松浦伸吾《霧中の紅》スコア

第28回現音作曲新人賞の候補作品にノミネートされております、松浦伸吾と申します。拙作《霧中の紅》の初演の機会を与えて頂いたことを、心から嬉しく思っております。書きたいものを素直に書いた作品ですので、その喜びも非常に大きい。

先日、東京の幡ヶ谷において初リハーサルが行われました。今回の編成は三重奏。演奏者同士の対話または呼応というものが至極重要な要素となるこの編成において、作曲者としての私がその初演のために成すべきことというのは、実はほとんど無いのかもしれない。演奏者それぞれが、靄がかったようなこの作品の実体を何とか掴もうと挑んでくださっていました。その作業の後に、三者による濃密なアンサンブルが現れるのでしょう。

本選会まで一週間弱でしょうか。演奏家の皆様に委ね、“音楽”が豊かに表出されることを祈りつつ、初演の時を待つことができれば、と思います。

 

 

 

 

松浦伸吾(まつうらしんご)1979年生まれ。大阪音楽大学音楽学部作曲学科を経て同大学大学院音楽研究科作曲専攻修了。近藤圭、久保洋子の各氏に師事。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

松浦 伸吾/霧中の紅 [作曲2011年/初演]
竹内 弦・星野 沙織(ヴァイオリン) 兼重 稔宏(ピアノ)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
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新人賞ファイナリスト紹介〜その1〜酒井信明

「現音作曲新人賞本選会」間近!! 本日から連載でファイナリストの皆さんを紹介していきます。初回の本日は、なななんと…!

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左からfl多久潤一朗、bsn福井弘康、酒井信明、vn星野沙織

作曲の酒井です。このたび、作曲新人賞にて《Nana》を演奏していただくことになりました。二回目のリハーサルが終わった時点でこの文章を書いています。

自分の作品(新作)を実際に音にしてもらうというのは、おそろしいことに十年ぶりぐらいですね。自分の作品が演奏されないことにすっかり慣れきってしまっているので、最近は実際の演奏をあまり考慮せず、楽譜を書くことを楽しみに作曲する今日この頃です。

なかでもこの作品はとくにアイデアの提示や、譜づらの見た目にこだわって書いたもので、演奏?なにそれ、おいしいの?の感なくんばあらず、です。それでも演奏してもらわなくてはならないのですから、あまり容易な仕事ではないところを真剣に取り組んで頂いて、リハーサルは有意義な時間を過ごさせていただいています。音楽をつくるのは演奏なので、私の作品を作っていただいている感じです。

この”Nana”という作品は本質的な意味での旋律をひとつのテーマとした純音楽で、フーガやソナタなどと同様、あまり言葉での解説を必要としない音楽ではないかと思います。実際の演奏に、音に触れ、楽しんで頂ければ幸いです。

 

 

 

 

酒井信明(さかいのぶあき)1976年兵庫県生まれ。大阪芸術大学音楽学科、京都市立芸術大学音楽学部作曲専攻を卒業。松永通温中村典子の各氏に師事。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

酒井信明/Nana [作曲2008年/初演]
多久潤一朗(ピッコロ) 星野沙織(ヴァイオリン) 福井弘康(バスーン)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
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