お、これは譜読みに時間がかかりそうだな…ピアノ兼重稔宏/第28回現音作曲新人賞本選会

アイルランド、ダブリンにて。撮影:兼重稔宏

アイルランド、ダブリンにて。撮影:兼重稔宏

新人賞の本選会にて松浦伸吾さんの作品《霧中の紅》でピアノを演奏させて頂きます、兼重稔宏です。

まず初めにスコアを初めに見たときの印象は正直「お、これは譜読みに時間がかかりそうだな・・・」という、非常にネガティブなもの(失礼!)でしたが、アンデパンダン展で浅野藤也さんの作品を演奏し終えゆっくりと読み進めるに連れて、響の変容の中にある動きや静寂、色彩の変化がとても面白く感じられました。

とはいえ難解な作品なので、とても不安な気持ちで初合わせに向かったのですが作曲者の松浦さんのお話を伺ってからは彼のこの作品に対する姿勢がとても率直に伝わるとともに、ヴァイオリンのお二人(竹内弦さん、星野沙織さん)との対話に重きを置けるということで24日に演奏させて頂くのがとても楽しみです。

私事ながら、今後の予定と致しましては新日本フィルハーモニー交響楽団の室内楽シリーズや先輩のチェリストである内田佳宏さんのリサイタルなどで演奏させて頂きます。

室内楽シリーズ新日本フィルハーモニー交響楽団室内楽シリーズ
11月30日(水)19:15開演 会場:すみだトリフォニーホール 小ホール
ドヴォルジャーク/ピアノ五重奏曲 イ長調 op.81
ブラームス/弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 op.18

内田佳宏チェロリサイタル
12月11日(日)14:00開演  会場:青山音楽堂バロックザール
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007 プーランク/チェロソナタ
内田佳宏/新作 ブラームス/ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調op.108

 

アイルランド、ダブリンにて。撮影:兼重稔宏

よく見るとかわいい「非常口」のピクトグラムが。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

★一般券2,000円(当日券3,000円)学生券はなんと1,000円!
▼お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

新人賞ファイナリスト紹介〜その4〜渋谷由香

渋谷由香作品リハーサル風景

渋谷由香《不均等音列による6つの風景2》只今チューニング中! 左からvn竹内弦、vc多井智紀

渋谷由香です。早いもので、まだまだ先と思っていた本選会まであと数日となりました。

今回の作品《不均等音律による6つの風景2(Six Landscapes in Unequal Temperament 2)》ですが、これはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための作品です。三楽器とも演奏する時に、調弦を変えなければならないのですが、今日は調弦音が実際にどのようになっているか、少しご紹介したいと思います。

通常であれば、

ヴァイオリン G-D-A-E
ヴィオラ   C-G-D-A
チェロ    C-G-D-A

のところ、今回はこのような調弦になっています。

ヴァイオリン As -C-Gis-E
ヴィオラ   C-Gis-Cis-A
チェロ    Des-A-Des-A

さらに・・・実をいうと、これらの音の高さはいわゆる平均律の音の高さとは違う音高になっています(なので、チェロはオクターブで反復しているように見えますが全然オクターブではありません・・・)。

弦楽トリオときいて思い起こされるような音色の世界とは、少し違った音の世界ですが、けれど、旋律楽器としての特色をより強調できる調弦になっていると思っています。皆様、是非足をお運びください。

個人的には、第2部の演奏会、一体何が起こるのだろうと今からドキドキです。「訳あり」って何がですか?!?!と頭の中がモクモクです・・・

 

 

 

 

 

 

●渋谷由香(しぶやゆか)1981年生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。現在同大学院博士後期課程に在籍中。第19回京都芸術祭新人賞受賞。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

渋谷 由香/Six Landscapes in Unequal Temperament 2 [作曲2011年/初演]
竹内 弦(ヴァイオリン) 藤原 歌花(ヴィオラ) 多井 智紀(チェロ)

★一般券2,000円(当日券3,000円)学生券はなんと1,000円!
▼お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
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G.アペルギス本人とのセッションで生まれた新アクションも。民俗打楽器「ザルブ」を演奏/畑中明香

ザルブ

アペルギス作品で演奏する打楽器「ザルブ(トンバック)」

世界に開く窓〜訳あり?に出演させて頂く打楽器の畑中明香です。

日本現代音楽協会主催のコンサートと聞いて大変懐かしく思いました。まだ学生の頃、日本現代音楽協会主催「第4回現代音楽演奏コンクール“競楽IV”」に挑戦し、第2位入賞という結果を残す事ができました。この結果は、卒業後も音楽を続けていけるか不安で悩んでいた自分にとって希望となり、またこうして年月を経て演奏させて頂く機会を与えられて、とても感謝しています。

今回のアペルギスの作品はダルムシュタット現代音楽際で、作曲家に何度も練習につきあってもらい、多少楽譜上にないアクションも加えられていますが全て彼とのセッションの中で生まれたものです。こうして作曲家と一緒に創れる所が現代音楽の面白みでもあります。彼の得意とする“言葉遊び”と“蓄積されていくリズム”の魅力を楽しんで頂けるように演奏したいと思います。

 

畑中明香

畑中明香

●畑中明香(はたなかあすか/打楽器)
同志社女子大学学芸学部音楽学科及び専修課程修了。「第4回現代音楽演奏コンクール“競楽IV”」第2位。ドイツ国立カールスルーエ音楽大学を最優秀賞を得て修了。ドイツ連邦文化財団より奨学金を得てEnsemble Modern Akademieのメンバーとしても活動した。2006年ダルムシュタット現代音楽際にてクラーニヒシュタイナー音楽賞受賞。打楽器アンサンブル“シュレーゲル”・“中村功と仲間たち”各メンバー、相愛大学非常勤講師。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第2部] 世界に開く窓〜訳あり!?
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

ジョルジュ・アペルギス(ギリシャ)/Le corps à corps [作曲1978年] 畑中 明香(ザルブ)

★一般券2,000円(当日券3,000円)学生券はなんと1,000円!
▼お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

「アレ」を「あの場所」で「あんな衣装」で…山本裕之 無伴奏モノ・オペラ《想像風景》

アレやアレやアレ

アレやアレやアレ

みなさま、初めまして! 山本裕之さん作曲の無伴奏モノ・オペラ《想像風景》のパフォーマンスをします、池田萠と申します。

この作品の第1回目の練習の日、演奏し始めてから間もなく山本さんからこんなひとこと。

「あ、そこは歌う感じじゃないから」

…そうなんですか??えーー…。(久しぶりに発声練習なんかもしてたのに、ちょっとがっかり)

ということでこの《想像風景》、「オペラ」というものの、歌うわけではなく(歌う箇所も少々ありますが)、具体的な物語があるわけでもなく、でもテキストはあり、でもそのテキストには意味があるような無いような? そしてパフォーマーは、左手に私物のアレを持ち、右手に山本さんからの借り物のアレを持ち、あの場所あんな衣装あんなことやらされます。「アレ」や「あの」は当日までの秘密、ということで…。

そしてこの作品の上演のためには、数々の「ある準備」が必要になります。その準備のために、プロデューサーの福井さんや現音のスタッフの方、そして山本さんがあっちへこっちへと動いてくださっています。ある人は警察署へ出向き、ある人は某企業へ交渉に、またある人は体力作り(!)などなど、本当に大変です(ありがとうございます!!)。

この作品に関しては、そのあたりが「訳あり!?」の理由のひとつでしょうか。しかし、楽譜から読み取ることの出来る最終形態にいい意味で振れ幅のある、大変魅力的な作品だと思うので、いろいろなタイプのパフォーマ ーの方の演奏を聴いてみたいですし、私自身もまたどこかで是非やりたいと思っています。

また、来年の5月末から6月頭にかけて、名古屋と石川県でソロ・リサイタルを行います。自作を含む音楽パフォーマンス作品を中心に、プログラムを構成中です。詳細が確定次第、ブログでお知らせいたしますので、ぜひチェックしてみてください。

いけだもえの日記(ときどき)※本当にときどき、です。(笑)

ではまた、11月24日にオペラシティリサイタルホールで!

 

池田 萠 photo: 吉本和樹

池田 萠 photo: 吉本和樹

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第2部] 世界に開く窓〜訳あり!?
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

山本 裕之/無伴奏モノ・オペラ《想像風景》 [作曲2000年] 池田 萠(パフォーマンス)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net

新人賞ファイナリスト紹介〜その3〜旭井翔一

旧東京音楽学校奏楽堂

国の重要文化財にも指定されている、旧東京音楽学校奏楽堂

御覧の皆様はじめまして。今回演奏していただくことになりました旭井翔一と申します。普段はただのひきこもりなのでとても驚いています。

《水曜日の夢》についてですが、この作品は6つのセクションによって構成され、更に大きく2つに分けられます(前、後編3つずつ)。それぞれ非常に独特な響きで、聞いていて楽しめるよう心がけました。しかしそのぶん奏者への負担は相当なものです。

今回演奏してくださる多久潤一朗さん、上畠善男さん、永田由貴さんには既にリハーサルで2度お会いしましたが、とても真摯に対応していただき、経験不足の私をカバーし、更に良い演奏にするために様々な提案をしてくださったりと、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

さて本番は一体どのような演奏になるのでしょうか、とても楽しみです。

あとタイトルについてですが、作曲時期に見ていた私の好きな旅番組のタイトルを引用したりしたものなので特に意味はありません。

公演一週間前の17日(木)には、旧東京音楽学校奏楽堂にて東京藝術大学作曲科の上位成績者による演奏会がありました。とても良い演奏会でした。ちなみに私の作品は演奏されていません…

24日にこのフラストレーションを発散できればと思います。

 

 

 

 

 

 

●旭井翔一(あさいしょういち)1988年福井県生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科に在籍中。野平一郎、土田英介、徳永崇、篠田昌伸の各氏に師事。

▼現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」
[第1部] 第28回現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

旭井 翔一/水曜日の夢 [作曲2011年/初演]
多久 潤一朗(フルート) 上畠 善男(オーボエ) 永田 由貴(コントラバス)

★一般券2,000円はケットぴあで販売中(当日券は3,000円)
★学生券はなんと1,000円!お申し込みは下記まで。
電話:03-3446-3506
電子メール:80th (a) jscm.net