JSCMユースチェンバーオケで初演した作品がフィンランドで再演〜橋本信会員

2010年11月30日(火)めぐろパーシモンホール大ホール「室内オーケストラの新地平」で初演した橋本信会員の《Sky and Bay》がフィンランドで再演されることとなり、橋本会員も現地のコンサートに参加しました。

コンサートホール事務所

コンサートホール事務所

セイナヨキ駅前

セイナヨキ駅前

2011年10月13日フィンランド セイナヨキ市管弦楽団の定期演奏会にて野津如弘さんの指揮により、小林聡(日本現代音楽協会会員)《ハープ協奏曲第2番》、 佐久間たかひろ《Phenomena Ⅱ》、 橋本信《sky and bay》、あとはラベル2曲のプログラムで行われました。現代音楽は初めてという若い演奏家もいらっしゃいましたが、指揮の野津さんがよくまとめてくださったので本番はいい演奏になったと感じております。

また、このコンサートは「日本のための演奏会」という副題がついており、入場料3,500円の内1,000円は日本の震災のためにあてられましたことをご報告いたします。

航空券をとるのが遅れイスタンブール経由(トルコ航空のトランジットホテルで一泊空港で2時間待たされる10分ほどのホテルなのに———)

この時点でまだセイナヨキのホテルがどこか確認がとれず、とにかくセイナヨキへ行けば何とかなるか〜と全く根拠のない確信(?)で現地に到着。ここでノートパソコンを開くと宿泊先のホテルの名前が書かれたメールが入っており力が抜けると同時にやっぱり何とかなるもんだと妙に納得する私でした。そんなこんなでセイナヨキの町に着いた次第であります。気温は摂氏3度やはり寒いでした。

リハーサル風景

リハーサル風景

ここで、指揮者の野津さん、作曲家の小林さんと無事合流いたしました。セイナヨキはヘルシンキから電車で3時間30分ぐらい北へ行ったところにある街です。建築家のアルバ・アアルトの設計した教会、図書館等があり、現地でお会いした谷口ひろゆきさんにご同行いただきセイナヨキの町をぶらぶらいたしました。谷口さんはフィンランドに30年ほど生活をされシベリウス協会の会員ということもあり、野津さんもそうなのですが、日本とフィンランドの文化交流に貢献されてます。また音楽に関係するツアーガイドもされております。

演奏会当日はお客様は少なかったのですが、とても暖かい感じの演奏会でした。また、小林さんの曲を演奏されたリリーマルレーンさんはとてもいいハーピストでした。私たち日本人の3作品とラベルを2曲というプログラムで無事終了いたしました。
翌日、地元の新聞に写真入り(写真の大きさに驚き)で掲載されましたので、みんなで証拠品(?)を買い求めた次第です。

新聞の記事

新聞の記事

 

ホールロビー

ホールロビー

海外で演奏された事は初めての経験でしたが、演奏会が終わりロビーにおりましたところ、お客様のおひとりから「いい音楽でした」と言ってくださったことはものすごくうれしかったです。
無事演奏会も終わり、ヘルシンキに移動し野津さん、小林さん、私は多いに飲んだ次第であります(セイナヨキでも飲んでおりましたが———)。

 

報告:橋本 信(作曲家/日本現代音楽協会会員)

現音後援企画「篠原眞電子音楽作品演奏会」〜名誉会員:篠原眞

篠原眞チラシ表篠原眞電子音楽作品演奏会
2012年1月8日(日)16:30開場/17:00開演
門仲天井ホール
東京都江東区門前仲町1-20-3 8F tel: 03-3641-8275

▼入場料
前売り・予約2,500円 当日2,800円 アートキッチン会員2,200円

▼program
Visions I 〈幻影 I〉(1965, 4ch)
Mémoires 〈追憶〉(1966, 4ch)
Personnage 〈人物〉(1968-73, 3ch/パントマイム)
Broadcasting 〈ラジオ放送〉(1974, 2ch)
To Rain and Wind B for 21-string koto and electronics 〈雨と風に B〉(2008, 日本初演)
City Visit 〈都市訪問〉(1971-79, 4ch/2chスライド)

音響:有馬純寿、
二十絃:菊地奈緒子
パントマイム:小島屋万助

篠原眞チラシ裏ご予約:門仲天井ホール 03-3641-8275
平日(火曜休館)13時〜17時
monteninfo@gmail.com

ご予約・お問い合せ:篠原眞演奏会実行委員会
shinohara0108@40nen.jp

後援:日本現代音楽協会、日本作曲家協議会、先端芸術音楽創作学会

企画・制作:篠原眞演奏会実行委員会(有馬純寿、石塚潤一、川崎弘二)

 

深澤舞*ボストン便り(8)

クリスマスマーケット

クリスマスマーケット

ボストンも街中がクリスマスモードになって賑わっています。来週あたりからお天気予報に雪マークが出始めました。いよいよまた零下の世界がやってきます。

間があいてしまいましたが、またバークリー音楽院の続きを書かせて頂きます。(※前回の文章ははこちら

 

4. Project Band
入学試験のオーディションは、 奨学金の選考も兼ねられています。そして、奨学金を受け取る学生さんは、実技で学校に還元することが求められます。例えば学内のオーディションの伴奏やバックバンドでの演奏、学校主催のコンサートに積極的に出演することなど。そして、Project Bandのメンバーとなることも、そのひとつです。自作曲(編曲)作品を録音して提出する授業課題も多いのですが、自分で友人を集めて演奏してもらう以外に、このProject Bandに予約を入れて演奏してもらうことができます。日替わりで弦楽四重奏、小編成のバンド、ビッグバンドなど様々な編成のグループが待機していて、録音はMusic Engineeringを専攻している学生さん、指揮と進行は先生がして下さいます。2時間の枠の中で毎回10作品ほどが演奏・録音されるのですが、試験期間前は20作品近くなることも!普段は1度さっと通してから録音なのですが、混んでいるともうぶっつけ本番ですので、いかに初見でハイレベルな演奏を録音してもらえるか、提出するスコアとパート譜の完成度や、自分の希望を演奏者に伝えるコミュニケーション能力も問われます。
ボストンに来る前に留学していたイギリスの音楽院では、年間の作曲スケジュールがしっかり決まっており、作品が仕上がる時期になると、初演されるコンサートとリハーサルの日程、演奏者が学校から伝えられました。指定された日時にリハーサル室に行き、顔合わせと音出しが始まるのですが、リハーサルには先生も同席していらして、リハーサルの進め方などにアドバイスを下さいます。初対面の演奏者の方達と、限られた時間内でいかに濃密なリハーサルを進めるか、試行錯誤の連続でした。バークリーのProject Bandと形は異なりますが、こうして初演して下さったイギリスの学生さん達も、音楽院から選抜されていたり、自主的に初演に関わる登録をしていたりしていて、かなり多くの演奏専攻の学生さんが作曲科生の新作初演に携わるようになっている、興味深いシステムでした。

バークリーのメディアセンター

バークリーのメディアセンター

5. コンピューター
イギリスの作曲科の学生さんは、Sibelius(イギリスではFinaleよりもSibeliusの方が主流でした)を使いこなせていて、大学の課程でそうした音楽ソフトをしっかり勉強してきているようでした。(当時8人の同級生のうち、手書きの譜面を提出しているのは私だけで、「自筆譜だ!」と驚かれました) バークリーでは、入学すると全員MacBookと指定の音楽ソフトを購入し、Music Technologyという授業で、Finale、GarageBand、Logic、Reasonなどのソフトや、録音・編集などについての基礎的なことを学びます。アメリカの学生さんもやはり、早くから様々なソフトに慣れ親しんでいるようでした。

6. 学校生活
いくつかの建物に分かれた校舎で、夕方までは授業やレッスンが行われ、その後は0時に閉まるまで練習やセッションの予約で部屋は満杯です。図書室やコンピュータールームも遅くまで開いていて、夜の静かな図書室によくお世話になりました。帰りがけに階段を下りていくと、踊り場でゴスペルのグループが練習をしていて、そのレベルの高さに驚き、しばし階段の陰に座って聴き入ったものでした。学生さん同士でバンドやグループを組んでの活動もたくさんあり、卒業後そのまま世界的に活躍することになるグループも出てきます。ジャズはもちろんのこと、教会音楽、ゴスペル、出身地ごとにアフリカ、アジア、インドなど自国の民族音楽、オーケストラもクラシック、ジャズ、ゲーム音楽、ミュージカルなど様々です。中でも、Rhythm Of The Universeという、90カ国の学生さん達が集まっての大きなプロジェクトがあり、シンフォニーホールでの演奏会でも大成功を収めていました。今日はその映像をご紹介させて頂きます。

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もうすぐ水面が凍ります

もうすぐ水面が凍ります

次回は、年が明けてきっと一面雪となったボストンから、授業内容のことなど引き続き書かせて頂きます。少し早いですが、今年も遠方より、寄稿という形で現音に参加させて頂きありがとうございました。どうぞ皆さま暖かくなさって、素敵なクリスマスと新年をお迎えください♪

(2011.12.10. Mai Fukasawa)

▼バックナンバー
ボストン便り(7)
ボストン便り(6) 
ボストン便り(1〜5) 

「会員80人のワンアタック素材による80周年記念作品」松平頼曉・中川俊郎インタヴュ

日本現代音楽協会創立80周年記念「新しい音楽のカタチ 軌跡と未来 2daysコンサート」音楽祭の最終公演で、現音会員80人のワンアタック素材を使用したピアノ曲を初演します。企画・作曲は松平頼曉会員、ピアノ演奏は中川俊郎会員。

1930年(昭和5年)の現音創立時の会員や、歴代委員長(現在の会長職)の作品から松平会員がワンアタック素材を取り出し、更に現会員のワンアタック素材を加えて、合計80アタックを使用して80周年記念作品に仕上げました。

その作品の魅力や、作曲、演奏の際の裏話等を、松平、中川両会員にインタビューしました。

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出演:松平頼曉(日本現代音楽協会理事、元委員長/国際現代音楽協会名誉会員)
中川俊郎(日本現代音楽協会理事、広報部長)
佐藤昌弘(日本現代音楽協会理事、事務局長)

 

★日本現代音楽協会会員80人のワンアタック素材による80周年記念作品[作曲2011年/初演]
企画・作曲:松平頼曉 ピアノ:中川俊郎

▼現会員より
浅野藤也 荒尾岳児 池田 悟 伊藤高明 植野洋美 宇野文夫 遠藤雅夫 大慈弥恵麻 大政直人 奥田美穂 門脇 治 蒲池 愛 神長貞行 北爪道夫 北爪やよひ 国枝春恵 久保 禎 倉内直子 くりもとようこ 糀場富美子 神津 裕 小島有利子 近藤春恵 三枝木宏行 佐藤 眞 佐藤昌弘 篠原 眞 白澤道夫 高嶋みどり 田口雅英 田丸彩和子 坪能克裕 露木正登 伴谷晃二 中川俊郎 中村典子 二宮 毅 萩 京子 橋本 信 久田典子 深澤倫子 福井とも子 福士則夫 福田 陽 藤井喬梓 藤原嘉文 増本伎共子 松尾祐孝 松平頼曉 松永通温 峰村澄子 宮木朝子 宮崎 滋 森垣桂一 森田泰之進 安良岡章夫 山本純ノ介 湯浅譲二

▼1930年創立年時の会員より
池 譲 石井五郎 伊藤 昇 江藤 輝 大木正夫 太田 忠 清瀬保二 小松 清 近藤柏次郎 斎藤 剛(太計雄) 菅原明朗 露木次男 橋本國彦 松平頼則 箕作秋吉 山本直忠

▼ISCM音楽祭に日本支部推薦として初入選 小船幸次郎

▼元委員長より 安部幸明 入野義朗 佐藤敏直 高田三郎 廣瀬量平

現代音楽をお茶の間へ!かつてない(!?)現代音楽の楽しいインターネット番組!

現音UST Vol.1

2011年11月24日(木)18時から行われた「第28回現音作曲新人賞本選会」のVTRを、審査員のスタジオトークを交えてオンエア。

出演:中川俊郎(司会/日本現代音楽協会広報部長)、山本裕之(第28回現音作曲新人賞審査員)
佐藤昌弘(日本現代音楽協会事務局長)

現音・特別音楽展2011「世界に開く窓〜古往今来」第1部:現音作曲新人賞本選会
2011年11月24日(木)17:30開場/18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

旭井 翔一/水曜日の夢 [作曲2011年/初演]
多久 潤一朗(フルート) 上畠 善男(オーボエ) 永田 由貴(コントラバス)

渋谷 由香/不均等音律による6つの風景2[作曲2011年/初演]
竹内 弦(ヴァイオリン) 藤原 歌花(ヴィオラ) 多井 智紀(チェロ)

酒井 信明/Nana [作曲2008年/初演]
多久 潤一朗(ピッコロ) 星野 沙織(ヴァイオリン) 福井 弘康(バスーン)

松浦 伸吾/霧中の紅 [作曲2011年/初演]
竹内 弦・星野 沙織(ヴァイオリン) 兼重 稔宏(ピアノ)

審査員長:近藤 譲 審査員:野平 一郎山本 裕之

 

★本選会の模様は日本現代音楽協会facebookページにて掲載中。
第28回現音作曲新人賞のプレスリリース
「第28回現音作曲新人賞本選会」レポート(会員:坪能克裕)