第29回現音作曲新人賞に黒田崇宏さん【日本現代音楽協会プレスリリース11/16】

後列左から、佐藤昌弘制作担当、佐藤眞審査員長、坪能克裕審査員(日本現代音楽協会会長)、福士則夫審査員、冨樫敏子、前列左より、伊藤巧真、白岩優拓、黒田崇宏(現音作曲新人賞)、佐原洸、野川晴義、平川加恵

講評を述べる佐藤眞審査員長

日本現代音楽協会(会長:坪能克裕)は、2012年11月15日(木)19:00より、東京オペラシティリサイタルホールに於いて〈扉—未知なる創造へ 現音・秋の音楽展2012〉「第29回現音作曲新人賞本選会」(審査員長:佐藤眞、審査員:坪能克裕、福士則夫)を開催し、譜面審査会において入選した6作品の演奏審査を行いました。
厳正な審査の結果、黒田崇宏(くろだ・たかひろ/富山県出身/1989年5月2日生まれ)さんの《我々は前へ進むことしかできない》が2012年度「第29回現音作曲新人賞」に選ばれました。
演奏、審査に続いて表彰式が行なわれ、坪能克裕日本現代音楽協会会長より、賞状と賞金15万円が授与されました。
「富樫賞」は佐原洸(さはら・こう)さんの《Hydrargentum》と平川加恵(ひらかわ・かえ)さんの《3人の奏者のための組曲》の2曲が選ばれました(賞金10万円を分割授与)。
また聴衆賞には平川加恵さんの同作が選ばれました。
なお、来年度の「第30回現音作曲新人賞」は、審査員長に末吉保雄、審査員は、藤井喬梓、名倉明子で、テーマは「日本語を歌う」です。歌唱者1名と楽器奏者1名によって演奏される声楽曲を募集します。募集要項は2011年1月に当協会ウェブサイトで発表します。

黒田崇宏(左)坪能克裕(右)

※ 「富樫賞」…審査員が今後に期待する新人に贈る審査員特別賞。2005年度、音楽評論家であり、日本現代音楽協会賛助会員でもあった故・富樫康さんの業績を讃え、ご遺族の篤志により日本現代音楽協会が設立しました。

※応募総数49作。一次審査:2012年7月2日(月)18時〜日本現代音楽協会事務所

 

第29回現音作曲新人賞本選会結果
2012年11月15日[木]19時00分開演 東京オペラシティリサイタルホール

■第29回現音作曲新人賞
賞状、賞金15万円、現音入会資格の認定
黒田 崇宏(Takahiro KURODA)
《我々は前へ進むことしか出来ない》(2012)[編成:A-Fl, Vn, Db]

■富樫賞(賞状、賞金10万円)
佐原 洸(Kou SAHARA)
《Hydrargentum》(2012)[編成:Fl, Cl, Vn]
平川 加恵(Kae HIRAKAWA)
《3人の奏者のための組曲》(2012)[編成:Cl(B-Cl), Vn, Pf]

■聴衆賞(賞状)
平川 加恵(Kae HIRAKAWA)
《3人の奏者のための組曲》(2012)[編成:Cl(B-Cl), Vn, Pf]

■入選(表彰状)
伊藤 巧真(Takuma ITO)
《静寂の技法》(2012)[編成:Fl]
野川 晴義(Haruyoshi NOGAWA)
《トルソ—フルートソロの為に》(2012)[編成:Fl]
白岩 優拓(Masahiro SHIRAIWA)
《緊張の糸を紡ぐ日々〜アルトフルート奏者のための〜》(2012)[編成:A-Fl]

※入選者は本選演奏順に記載してあります。全作新作初演。

〈現音・秋の音楽展2012〉第29回現音作曲新人賞本選会

 

第29回現音作曲新人賞本選会

第29回現音作曲新人賞本選会

扉—未知なる創造へ〈現音・秋の音楽展2012〉
第29回現音作曲新人賞本選会

2012年11月15日木18:30開場/19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール

▼第一部 第29回現音作曲新人賞本選会

伊藤 巧真/静寂の技法
増本 竜士(フルート)

黒田 崇宏/我々は前へ進むことしか出来ない
多久 潤一郎(アルトフルート) 甲斐 史子(ヴァイオリン) 溝入 敬三(コントラバス)

佐原  洸/Hydrargentum
増本 竜士(フルート) 鈴木 生子(クラリネット) 甲斐 史子(ヴァイオリン)

白岩 優拓/緊張の糸を紡ぐ日々〜アルトフルート奏者のための〜
多久 潤一郎(アルトフルート)

野川 晴義/トルソ—フルートソロの為に
多久 潤一郎(フルート)

平川 加恵/3人の奏者のための組曲
鈴木 生子(クラリネット) 甲斐 史子(ヴァイオリン) 大須賀 かおり(ピアノ)

※五十音順/全曲2012年作曲・初演

【審査員】 佐藤眞(審査員長) 坪能克裕 福士則夫

演奏終了後結果発表および表彰式 来場者による“聴衆賞”投票実施

 

▼第二部 招待上演〈現音・特別音楽展2011〉

「宮本妥子パーカッションリサイタル 閾 -しきい- を越えて」 入選作
富田 さやか/雨乞い[作曲2011年]
宮本 妥子(打楽器) 會田 瑞樹(ヴィブラフォン)

 

チケット:一般2,000円/学生1,000円(全自由席)

電子チケットぴあ Pコード177-074
電話:0570-02-9999 携帯サイト:http://pia.jp/t/ ウェブサイト:http://t.pia.jp/

日本現代音楽協会
電話:03-3446-3506 E-mail:aki2012(a)jscm.net ウェブサイト:www.jscm.net

主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:一般社団法人私的録音補償金管理協会(SARAH) 一般社団法人日本音楽著作権協会 公益財団法人ロームミュージックファンデーション

〈現音・秋の音楽展2012〉アンデパンダン展(全2夜)

アンデパンダン展 第1夜

アンデパンダン展 第1夜

現代日本の作曲家の作品コレクション2012

扉—未知なる創造へ〈現音・秋の音楽展2012〉
アンデパンダン展 第1夜

2012年11月6日[火]18:00開場/18:30開演
東京オペラシティリサイタルホール

高原 宏文/西方幻影[作曲2012年/初演]
高原 聰子(笙)

金田 潮兒/吟詠・II~独奏チェロの為の~[作曲2010年]
竹本 聖子(チェロ)

岡坂 慶紀/ギターのための組曲[作曲2012年/初演]
山田 岳(ギター)

梶 俊男/asperity[作曲2012年/初演]
増本 竜士(フルート)

露木 正登/デュオ・コンチェルタンテ~ホルンとピアノのための[作曲2012年/初演]
福川 伸陽(ホルン) 及川 夕美(ピアノ)

遠藤 雅夫/〈線の自画像〉マンドリンとキーボードのための[作曲1998年/改訂2011年]
横田 綾子(マンドリン) 遠藤 雅夫(ピアノ)

ロクリアン正岡/音楽による二つの問いかけ:(1)「悪霊かな?」 (2)「善霊かな?」[作曲2012年/初演]
金沢 青児(テノール) 福留 和大(テノール) 鈴木 生子(クラリネット)
甲斐 史子(ヴァイオリン) 竹本 聖子(チェロ) 大須賀 かおり(ピアノ)
齋藤 純一郎(指揮)

大谷 千正/オペラ=コミック「二人のマルグリート」(全2幕4場)より「第1幕・第1場“出会い”」[作曲2012年/初演]
猪村 浩之(ガブリエル・フォーレ/テノール) 江原 実(カミーユ・サン=サーンス/バリトン)
吉田 恭子(アディーラ・マディソン/ソプラノ) 山崎 浩美(マルグリート・H/ソプラノ)
河野 めぐみ(マルグリート・L(エル)/メゾ=ソプラノ) 奥谷 恭代(ピアノ)
森 和幸(指揮)

◎制作:佐藤昌弘

 

 

アンデパンダン展 第2夜

アンデパンダン展 第2夜

現代日本の作曲家の作品コレクション2012

扉—未知なる創造へ〈現音・秋の音楽展2012〉
アンデパンダン展 第2夜

2012年11月7日水18:00開場/18:30開演
東京オペラシティリサイタルホール

内本 喜夫/チェロ協奏曲[作曲1994年/改訂2012年/改訂初演]
翠川 敬基(チェロ)

三枝木 宏行/無伴奏ヴィオラのための音楽[作曲2012年/初演]
辺見 康孝(ヴィオラ)

佐井 孝彰/Fantasia Ⅱ 〜ピアノのために[作曲2012年/初演]
松永 加也子(ピアノ)

赤石 直哉/Torso Kafkaesque for Violin and Piano[作曲2012年/初演]
越智 久美子(ヴァイオリン) 赤石 直哉(ピアノ)

山本 繁司/彫琢された音達Ⅰ・Ⅱ~ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための[作曲2012年/初演]
佐藤 まどか(ヴァイオリン) 岡 さおり(ヴィオラ) 松本 ゆり子(チェロ)

浅野 藤也/オーボエとピアノの為の音楽[作曲2012年/初演]
上畠 善男(オーボエ) 松永 加也子(ピアノ)

近藤 浩平/ヴィオラとピアノの為のソナタ「2月の森」作品120[作曲2011年]
飛澤 浩人(ヴィオラ) 飛澤 直子(ピアノ)

田中 範康/「音の情景」 Vn, Vc, Pf のための[作曲2012年/初演]
松山 元(ピアノ) 佐藤 まどか(ヴァイオリン) 松本 ゆり子(チェロ)

◎制作:佐藤昌弘

 

 

チケット:1公演につき4,000円(全自由席)

電子チケットぴあ Pコード177-074
電話:0570-02-9999 携帯サイト:http://pia.jp/t/ ウェブサイト:http://t.pia.jp/

日本現代音楽協会
電話:03-3446-3506 E-mail:aki2012(a)jscm.net ウェブサイト:www.jscm.net

主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会 公益財団法人ロームミュージックファンデーション

深澤舞*ボストン便り(10)

ファームマーケットに秋野菜が並びます

早いもので、あっという間に夏を通りぬけ、清々しい風に落ち葉と秋の香りが混じり始めました。Berklee音楽院も秋学期が始まったようで、久しぶりに校舎の前を通ると、新学期独特の賑わいと共に、新校舎の工事も始まっていました。今回は、Film Scoringのコース前半の専攻授業について、いくつか書かせて頂きます。

8. 授業内容―Film Scoring
基礎科目を終えると、皆それぞれ専攻科目の授業へと進みます。こうした授業は専攻生しか受講できないので、5〜10人ほどの少人数でゼミのように行われます。

◆Introduction to Film Scoring
その名の通り、アメリカでの映画音楽に関する基本的なことを学びます。映画やテレビ番組がどのように企画、制作されるのか、音楽面だけでなく、ビジネス面での予算、契約のことなどもテーマとなりました。この授業の先生は、現役でハリウッド映画の音楽制作にも携わっていらして、ポロリと聞かせて下さる裏話も貴重でした。

◆Computer/Synthesis Applications for Film Scoring
この授業では、Digital Performerというソフトでの打ち込み、編集、映像とのリンクなどの基礎的なことを学んでいきます。Film Scoring学科専用のラボがあり、授業以外の時間帯は予約制で機材やソフトを使用できるので、課題提出前などは、皆で夜まであれこれと助け合いながら課題の準備もした、思い出深い空間です。

◆Analysis of Dramatic Scoring
映画音楽を毎週分析し(中でもヒッチコックの映画がよく取り上げられました)、同じ映像に音楽をつけたり、与えられたテーマや素材をもとに小品を書いていきます。Digital Performerの授業と同学期に受講することになっており、打ち込みの音源と楽譜を毎週提出するので、ソフトの良い訓練にもなりました。

◆Video Game/Interactive Music
ビデオやウェブサイトの音楽を重点的に学ぶ授業でした。先生も受講生も、音楽だけでなく映像の制作にも詳しく、初めて聞く用語が毎週飛び交いました。Film Scoring科を卒業した後、こうした方面に進む学生さんも多く、確かにこれからどんどん需要が広がりそうな世界、授業も珍しく大人数の人気講座でした。

授業では、出された作品や意見についてよくディスカッションをするのですが、幅広い世代のクラス仲間で飛び交う意見は、いつもカラフルで清々しい刺激に満ちたものでした。また、’Keep it Simple!’ ‘Blieve in yourself!’・・授業や即興のセッションなど、あらゆる場面で先生方が皆に繰り返し伝えて下さったこの二つのフレーズが、Berkleeでの合言葉のように繰り返し思い起こされます。

タングルウッド音楽祭

タングルウッド音楽祭

そして先月末、ボストン5年目にして初めて、タングルウッド音楽祭に行ってきました。1歳の息子も一緒ですので、外の芝生席を予約。ボストンからは車で3時間ほどのドライブです。森に広がる広大な敷地(ボストン交響楽団に寄贈された、21エーカーもの別荘地です!)がそのまま音楽祭の会場となっており、今回訪れたコンサートはThe Serge Koussevitzky Music Shedというホールだったのですが、同じ敷地内にあるセイジ・オザワホールも外から見ることができました。開演は20時半でしたが、夕方にはもうかなりの人が到着していて、各々持参したピクニックシートやテーブルに早めの夕食を広げてワインで乾杯していたり、敷地内をのんびり散策していたり ・・楽しそうに駆けまわる子供たちの姿も印象深く、未来の音楽家や聴衆の種がこのようにも蒔かれていくのだと実感を新たにします。この日はあいにく雨が降ったりやんだりだったのですが、開演する頃には森を優しく覆う霧となりました。プログラムはアンドレ・プレヴィンの委嘱作品、ヨーヨー・マ独奏のエルガーのチェロ協奏曲、そして、ショスタコーヴィチの交響曲第5番。最後の1音の余韻が霧に溶け、葉擦れの音に包まれていく瞬間を、その場にいる全ての人々が聴き届けた深い、深い静けさ・・音楽と自然の魔法に満ちた、素晴らしい体験でした。
ボストン交響楽団のサイトで、音楽祭のコンサートの録音を聴けるようになっています。

タングルウッド音楽祭

タングルウッド音楽祭

そろそろハロウィーンに向けて、大きなカボチャが店頭に並び始めました。カフェの看板には、温かいアップルサイダーやパンプキンパイの文字が美味しそうに並んでいます。 日本もこれから美しい秋の季節、今から紅葉のニュースが楽しみです。

(2012.3.27. Mai Fukasawa)

▼バックナンバー
ボストン便り(9)
ボストン便り(8)
ボストン便り(7)
ボストン便り(6) 
ボストン便り(1〜5) 

日本財団アジア・フェローシップ(APIフェローシップ)2013-2014年度フェロー募集

インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイのいずれかで実施するプロジェクトや専門活動を助成(1か月―12か月/2013年7月1日以降に開始し、2014年7月31日までに終了するもの)

申請締切:2012年8月31日

HP:(プログラム全体):http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/api/index.html
    (募集に関して):http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/api/about/index.html

下の方のページから、PDFの募集要項、PDFかMSワード形式の申請書類がダウンロードできます。