〈現代の音楽展2014〉第3夜「世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル」3月6日(木)東京オペラシティリサイタルホールで開催

世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル
〈現代の音楽展2014—触発と対話〉第3夜
現音人材育成シリーズ2013
世界で活躍する日本人音楽家シリーズvol.2
世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル
制作:国際部・福井 とも子

2014年36日(木)18:30開場/19:00開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

海外で活躍する日本人演奏家は、もはや少なくはない。言葉や習慣の違いを乗り越え、徐々に周りの信頼を得るということ、そして演奏家として、ずっとそこに居続けるということは、決して容易なことではない。けれど、その厳しい環境の中で、輝いている日本人音楽家たちに、行く先々で出会う。彼らの多くは、日本でも演奏活動を行いたいと思いながら、なかなか実現できないでいるという。ならば…と、日本現代音楽協会・国際部は、彼らとのコラボレーションを始めることにした。「世界で活躍する日本人音楽家シリーズ」、第2回目となる今回は、ベルリン在住のホルン奏者山内亜希を紹介したいと思う。普段は、とてもシャイで控えめな人だけれど、度重なる打ち合わせでは、厳しく、頑固な面が、垣間見えた。しかし、それは全て、ホルンでソロリサイタルをするということを見据えてのこだわりと、覚悟であったのだと、企画を進める中で納得した。しかもこれだけ新作が並ぶホルンリサイタルである。奏者の負担は相当なものだろう。さらに、ホルンの作品を探し始めて、その選択肢の少なさにも愕然とした。このシリーズでは、演奏家が推薦する、海外の若手作曲家を紹介してもらうことになっているのだが、残念ながら、紹介したい作曲家たちの誰も、ホルンの作品を書いていないことが判明した。聴き応えのあるプログラムにするために、悩みに悩んで、山内が今回選んだ海外作品は、ジャチント・シェルシ(ホルンソロ)とジェラール・グリゼー(2ホルン)の作品である。日本現代音楽協会のメンバーからは、内本喜夫木山光(ISCM入選者招待作品)露木正登森田泰之進湯浅譲二の新作。湯浅の新作は、山内の強っての希望で実現した。ホルンというだけで、海外でも尻込みをする作曲家が多い中、これだけの新作が集まることに、山内は驚きと感動を覚えたという。これら全てタイプの異なる難曲を、一夜で如何に吹ききるのか? 是非とも、多くの方に来ていただき、一緒に体験したいと思う。共演者日比野美穂(ホルン)、池谷順子(ピアノ)も、ベルリン在住の、山内の信頼する演奏家たちである。また今回は、音楽学者・長木誠司氏に「現代の音楽とホルン」というレクチャーをしていただくことになった。貴重な機会を、新作とともに、どうかお聴き逃しのないよう!

日本現代音楽協会 国際部長:福井とも子

 

内本 喜夫
Shout ホルンとピアノの為の
作曲2013年/世界初演

露木 正登
カプリッチョ〜ホルン独奏のための
作曲2013年/世界初演

森田 泰之進
twitty twister
作曲2013年/世界初演

ジェラール・グリゼー
失われた一致 ―2本のホルンのための5つのミニアチュール より
作曲1987年/日本初演

木山 光(ISCM入選作曲家招待作品)
Viele Japaner sehen ihre Nation nicht als Täter, sondern als Opfer des Kriegs
Aki Yamauchi und Yoriko Ikeya gewidmet Doppel Konzert für Horn und Klavier
作曲2013年/世界初演

●レクチャー「現代の音楽とホルン」講師:長木誠司

ジャチント・シェルシ
4つの小品 より
作曲1956年/日本初演

湯浅 譲二
Horn Locus
作曲2014年/世界初演

演奏:山内 亜希(ホルン)日比野 美穂(ホルン)池谷 順子(ピアノ)

※演奏順は変更となる場合があります。

 

■チケット(全自由席)
前売一般 2,500円
当日一般 3,000円
学  生 1,500円
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00
03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00
東京オペラシティビル3F

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2014@jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人花王芸術・科学財団 公益財団法人ロームミュージックファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

山内 亜希 Aki YAMAUCHI, horn
世界に開く窓 山内亜希リサイタル(ウラ)武蔵野音楽大学を卒業後、ヴュルツブルク音楽大学、バーゼル音楽院大学院に留学。オーケストラディプロム及びコンサートディプロムを最優秀の成績で取得。在学中、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーに所属し、ペーター ・エトヴェシュ、ヘルムート・ラッヘンマン、ハイナー・ゲッペルスらと共同作業を行う。また、バーゼル音楽院にて、現代音楽をレパートリーとする木管五重奏を結成し、オルフェウス・コンチェルト賞(チューリッヒ)を受賞。現在、古楽器による演奏にも力を注ぎ、バッハ音楽祭、ヘンデル音楽祭をはじめ、ポール・マクリーシュ、クリストファー・ホグウッドのプロジェクトなどに出演する。一方、2008年からは、現代音楽アンサンブルであるワーク・イン・プログレス・ベルリンのメンバーとなり、アール・ブラウン《Indice》(室内楽版)、アンリー・プスールのオペラ《君たちのファウスト》(完全版)を世界初演する。また、マイケル・エドワード・エジャートン作曲《クラリネットとホルンのためのA Holy Person Falls into the Nile as a Pelican》ヨーロッパ初演では、ホルンの様々な特殊奏法を駆使し、好評を博した。これまでにホルンを、須山芳博、ゴットフリード・ ランゲンシュタイン、シャオ・ミン・ハン、ナチュラルホルンをクリスティアン・フリードリヒ・ダルマン各氏に師事。

 

池谷 順子 Yoriko IKEYA, piano
桐朋学園高校、大学にて三浦浩教授に師事。78年渡独、ベルリン芸術大学にて、エーリッヒ・アンドレアス教授、クラウス・ヘルヴィッヒ教授、ジョルジュ・シェボック教授に師事。87年演奏家国家試験に首席で合格。88年より、ベルリン芸術大学専任講師。マリア・カナルス・コンクール、ガウデアムス現代音楽コンクール入賞、1991年ブリュッセルにおける現代音楽コンクール“ニュー・ミュージック・フォー・ニュー・ピアニスト”優勝。CD制作、200曲を超える初演を行っている。

日比野 美穂 Miho HIBINO, horn
愛知県出身。12歳でホルンを始める。名古屋市立菊里高等学校音楽科を経て、東京芸術大学音楽学部卒業。ホルンをこれまでに近藤敬、村上哲、守山光三、日高剛、西條貴人に師事。在学中から、国内各地のオーケストラにエキストラとして出演。2011年、オーケストラアカデミー生としてPMFに参加。現在ベルリン芸術大学にて、クリスティアン・フリードリヒ・ダルマン氏に師事。

長木 誠司 Seiji CHOKI, musicologist
東京大学文学部美学藝術学科卒業後、東京藝術大学大学院博士課程修了。博士(音楽学)。1986-88年、ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学生としてドイツのボンに留学。2005年度は文部科学省の派遣でベルリン自由大学の招聘研究員として在外研修。オペラおよび現代の音楽を多方面より研究。東京大学総合文化研究科教授(表象文化論)。著書に『前衛音楽の漂流者たち〜もう一つの音楽的近代』(筑摩書房)他多数。現在『20世紀オペラ史』(仮題)を準備中。

 

 

▼現代の音楽展2014 日程

2/8(土)18:00
ヴィブラフォンのある部屋〜featuring藤本隆文〜
東京オペラシティリサイタルホール

2/28(金)19:00
協創の未来〜“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

3/12(水)19:00
弦楽オーケストラ展〜21世紀の弦楽の魅力
府中の森芸術劇場ウィーンホール

〈現代の音楽展2014〉第4夜「弦楽オーケストラ展〜21世紀の弦楽の魅力」3月12日(水)府中の森芸術劇場ウィーンホールで開催

弦楽オーケストラ展
〈現代の音楽展2014—触発と対話〉第4夜
弦楽オーケストラ展〜21世紀の弦楽の魅力
制作:金子 仁美・正門 憲也

2014年312日(水)18:30開場/19:00開演|府中の森芸術劇場ウィーンホール(京王線「東府中」駅北口より徒歩7分)

 

プロ・アマ問わず広く取り上げていただける作品の可能性を求めて—

 

佐藤 昌弘
Legend for String Orchestra
作曲2013年/初演

河内 琢夫
《イヌクシュク》弦楽のためのエスキスⅡ
作曲2008/2013年/改訂初演

近藤 浩平
弦楽オーケストラの為の組曲「地平線と太陽」作品130
作曲2012年/日本初演

増本 伎共子

作曲1994年

三宅 康弘
線香花火―弦楽合奏のための
作曲2013年/初演

ロクリアン正岡
弦楽オーケストラ曲“異次元航路”
作曲2013年/初演

 

指揮:鷹羽 弘晃

演奏:桐朋学園大学音楽学部弦楽器専攻生有志
▼コンサートマスター
横島 礼理
▼ヴァイオリン
桐原 宗生・山縣 郁音・長山 恵理子・内野 佑佳子
川上 拓人・石原 悠企・和田 泰平・美島 佑哉
▼ヴィオラ
飯 顕・山本 周・河相 美帆
▼チェロ
横田 誠治・日下部 杏奈 他
▼コントラバス
里見 幸則・小幡 淳平

 

※演奏順、出演者は変更となる場合があります。

 

■チケット(全自由席)
一般 1,500円(府中の森芸術劇場メンバーズ会員1,350円)
学生 1,000円
※学生券は日本現代音楽協会のみでの取り扱い(府中の森芸術劇場メンバーズ割引対象外)
※未就学児はご入場になれません。

チケットふちゅう
[電話受付]10:00-18:00 ※府中の森芸術劇場休館日は休業
042-333-9999

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2014@jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【共催】公益財団法人府中文化振興財団 府中の森芸術劇場
【助成】公益財団法人花王芸術・科学財団
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

 

▼現代の音楽展2014 日程

2/8(土)18:00
ヴィブラフォンのある部屋〜featuring藤本隆文〜
東京オペラシティリサイタルホール

2/28(金)19:00
協創の未来〜“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

3/6(木)19:00
世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

現音アンデパンダン展初出品を終えて〜北條美香代

現音アンデパンダン展初出品を終えて〜北條美香代

現音アンデパンダン展第2夜終演後、このブログ原稿依頼を受け、高揚感の残る中勢い余って首を縦に振ってしまい、2夜の出品者の中では、最も若輩者の私が今回ペンを取る(キーボードを叩く)ことになってしまいました。

アコーディオンさて、現音に入会した何年か前になるのですが、現在奈良在住のため、ほとんど会に参加させていただいてはおりませんでした。にもかかわらず、今回初めて参加いたしましたのは、素晴らしい新進気鋭の若手アコーディオン奏者、二人の智美さんとの出会いがきっかけになっております。バロックから現代まで何でも幅広くこなせる、日本在住の貴重なクラシックアコーディオン奏者は現在お二人いらっしゃって、そのどちらもお名前が智美さん。東京の大田智美さんと大阪の松原智美さん、お二人とも御喜美江さんの愛弟子なのですが、演奏表現は全く違って、しかもそれぞれが違った個性を持って輝いているのです。このお二人と幸運にも知り合うことが出来て、出会ってからまだ3年ほどなのですが、その魅力に取り憑かれ、もうすでにアコーディオンの曲を(私としては驚異的なのですが)3曲も書いてしまいました。

今回、アンデパンダン展で発表した作品は昨年大阪で、松原智美さんに初演していただいた「花信風」という作品なのですが、これを大田智美さんが弾いたら、どんな風に料理してくださるのだろう、という尽きない好奇心から出品することになりました。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、当日のプログラムは蒼々たるメンバー。しかも何故か私がプログラムの最後となっており、緊張感をもって3時間ほどの時間をあっという間に過ごしました。どの作品もエネルギッシュかつ個性溢れるもので、言うまでもなく演奏の完成度も高い。濃密な時間と空気がリサイタルホールを包み続けました。途中、「私の作品はこれで正解なのだろうか?」と不安にさえなってしまうこともありましたが、そこは信頼出来る東京の智美さん。私の拙い作品を独特な空気感で包み込み、全く季節外れではありましたが「花信風=春を告げる風」を会場に届けてくれました。これを機に、アコーディオンという楽器の魅力を知って、また素晴らしい作品を創作してくださる作曲家の先生方が増えただろう、と確信できた一夜となりました。

終演後、大田智美さん(右)と

終演後、大田智美さん(右)と

▼《現音・秋の音楽展2013》「アンデパンダン展」詳細はこちら

上野信一 打楽器ワークショップ 第2回「被膜楽器特集」に参加して 

左から、上野信一、松尾祐孝理事、湯浅譲二名誉会員、松平頼曉名誉会員

左から、上野信一、松尾祐孝理事、湯浅譲二名誉会員、松平頼曉名誉会員

松尾祐孝(日本現代音楽協会理事)

 9月15日は台風18号来襲の直前で、天気予報は雨に強風…という状況であった。事務局では開催中止も検討したという状況の中、私は久しぶりに国立音楽大学のキャンパスに足を運んだ。現音の行ないが良いからだろうか、上野信一氏のご人徳であろうか、時折小雨は降るものの、天候は小康状態を保ってくれた。そして、心配された聴衆(受講者)動員も開演時刻が近づくにつれて徐々に増えて、多数の国立音大の学生の他、当協会理事会のメンバーや新入会員の顔も何名が見かけるようになり、一般からの来場者も加わって、約80席が用意された会場がほどよく埋まるほどの盛況となったことは、とても喜ばしかった。
会場となった新1号館オーケストラスタジオの奥側には、上野氏所蔵の打楽器がいくつものセットになって組まれていて、いかにも打楽器のワークショップという雰囲気が漂っている中、13時の開演を迎えた。
上野信一氏のティンパニ独奏によるエリオットカーター作品のデモンストレーションで幕を開けた。続いて、この企画を上野氏と共に立ち上げられた当協会名誉会員の松平頼曉氏と湯浅譲二氏、そして何故か私にも声がかかり、打楽器の代表的な存在である所謂“太鼓”と呼ばれる被膜楽器にまつわるエピソードや考えを手短に披露することになった。松平氏は、アマチュアオケで急にティンパニを叩くことになった時に、大いに面食らいながらもそこで改めて被膜楽器の特性を思い知った経験談を、湯浅氏は論理的に持論を展開され、オケ作品における打楽器の過剰な使用に警鐘を鳴らされ、私は子供の頃の祭りの経験から太鼓好きになった想い出、等を語った。上野氏がこれらの話題を上手く拡げてくださり、楽しいオープニングトークになった。
さて、本題の打楽器ワークショップに入って行く。この日は、上野氏のお弟子さん達も大活躍してくれた。まずスネアドラム類のデモンストレーションと解説を、気鋭の若手=新野将之さんが担当。素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。その後も、上野氏ご自身や国立音大の学生や卒業生によるソロやアンサンブルも交えながら、トムトム類からボンゴ&コンガ類、更にはテフィンパニまで、おおよそ全ての被膜楽器を網羅して、また撥の選択や奏法の解説にまでも言及して、2時間15分に及ぶワークショップはお開きとなった。
チラシやホームページを通じて募集されていた「持ち込み楽譜の試演」は、残念ながら志願者が出てこなかったのか、この日は実現しなかったが、質疑応答の時間も有って、実に有意義な時間となっていた。
「覚書」を締結していただき且つ素晴らしい会場を提供していただいた国立音楽大学には、この場を借りて私からも謝意を表しておきたい。そして、このようなワークショップから触発を受けた方々が、近い将来に行われるであろう当協会と上野信一氏との協働による打楽器作品の公募に応えていただき、新鮮な作品が多数誕生することに繋がっていくことを期待したい。
このワークショップは決して単発で完結するものではなく、3回目、更にはそれ以降のイベント等に継続して発展していくものと伺っている。素晴らしいことだと思う。上野信一氏の献身的なご協力に感謝いたします。

第31回現音作曲新人賞募集概要

審査員:山内雅弘(審査員長)、金子仁美、中川俊郎

編成:ピアノ2台まで、奏者3名までのピアノ作品
演奏時間:15分以内

▼本選会
日時:2014年10月23日(木)開演時間未定
会場:東京音楽大学A館ホール
演奏:藤原亜美・菊地祐介・篠田昌伸(ピアノ)
協力:東京音楽大学

※本要項は2014年1月下旬に、当協会ウェブサイト等で発表予定