第23回朝日現代音楽賞受賞に際して〜高橋アキ

第23回朝日現代音楽賞受賞:高橋アキ

このたびは「朝日現代音楽賞」を受賞させていただくことになり、大変嬉しく思っています。

私が出来たての“現代音楽”を初めて演奏したのは、大学に入学した1963年に池辺晋一郎さんのピアノ曲を弾いた時でした。それ以後、上級生だった三枝成彰さん、内田勝人さん、平義久さん、同級の池辺さんや福士則夫さんなどの作品が出来上がると学内でよく演奏したものです。そして1968年、大学院1年の時に、石井真木さんから突然「日独現代音楽祭」で武満徹さんと篠原真さんの作品の演奏を依頼され、以来ずっと今日まで“現代音楽”をメインに演奏を続けてきました。
当時は現代音楽のコンサートというと、アメリカ文化センター後援の「クロストーク」シリーズもあり、「日独」のすぐ後にこちらでも演奏を頼まれました。その後「現音」のコンサートにも出演するようになり、1970年代には毎年のように顔を出す常連の演奏家の一人になっていました。でも最初の頃は、当然私が一番新米でしたから、ある時イイノホールの楽屋に入ろうとしたら、小学生の頃母に連れられて行った、初めてのオーケストラ演奏会でコンチェルトのソリストだった巖本眞理さんなど、錚々たる演奏家の方たちが座を占めていて、緊張のあまり中に入れず寒い外の廊下でたったひとり、じっと出番を待っていた思い出もあります。
「現音」ではいろいろな作曲家のさまざまな作品を演奏しましたけれど、実は1回だけ“指揮”をしたこともあり、懐かしい思い出のひとつです。曲は、松平頼曉さんの《What’s next?》というシアター・ピースでした。当時、私はNHKでよく劇伴の仕事をしていて、ちょっと手が足りない時に、もちろん小さな編成ですが、指揮をしたこともありました。でも、まさかコンサートで指揮することになるとは思ってもいなかったので、さすがに演奏仲間のフルートの小泉浩さんに頼んで、腕の振り方などを一から教わって本番に臨んだものです。私は左利きなので左手で棒を振ったのですが、NHKで放送された際、上浪渡さんが「あの曲は左手で振れという指示があるの?」と訝っていらしたのが可笑しかったです。

この「朝日現代音楽賞」についてはあまり詳しくなかったのですが、“競楽”コンクールの優勝者と現代音楽に携わる演奏家が交互に受賞するという仕組みになっているそうで、そのユニークな趣向は素晴らしいと思います。そして、一昨年に初めて審査を経験した“競楽”コンクールへの参加資格についても改めて読んでみると、最初に「国籍及び年令を問いません」と書かれていて、これにも感心しました。実を言いますと、受賞を知らされた時、驚くと同時に「こんな年令で頂戴してもいいのかしら?」と戸惑いもしました。でも、そういう事実を“不問”にして選んでくださった皆様に心から感謝いたします。どうもありがとうございました。

第23回朝日現代音楽賞にピアノの高橋アキさん

高橋アキ

高橋アキ

コンサートなどで現代音楽の演奏に優れた業績を示した演奏家に贈られる第23回朝日現代音楽賞(日本現代音楽協会、朝日新聞社主催、賞金50万円)の選考が24日行われ、ピアニストの高橋アキさん(69)の受賞が決まった。高橋さんは多くの新作初演や海外作品の紹介に携わり、精力的な演奏活動を展開してきた。表彰式は2014年5月31日(土)日本現代音楽協会総会に於いて行う。

第11回現代音楽演奏コンクール“競楽XI”概要

第24回「朝日現代音楽賞選考」コンクール
第11回現代音楽演奏コンクール“競楽XI”概要

日本現代音楽協会と朝日新聞社の共催により「第11回現代音楽演奏コンクール“競楽XI”」を下記の通り開催致します。これまで予選は一次・二次とありましたが、今回は1回のみとなります。

●審査委員
中川俊郎[長](作曲・日本現代音楽協会副会長)
北爪道夫(作曲・日本現代音楽協会理事)
福井とも子(作曲・日本現代音楽協会副会長)
福士則夫(作曲・日本現代音楽協会会長)
安良岡章夫(作曲・日本現代音楽協会会員)
※役職は2014年3月現在

●日程
【予選】2014年11月7日(金)〜8日(土)
【本選】2014年12月7日(日)

●会場
けやきホール

●表彰
【第1位】第24回朝日現代音楽賞 賞状・賞金50万円
【第2位】賞状・賞金10万円
【第3位】賞状・賞金5万円
以上を入賞とし、本選出場者の中から入選者数名を決定。
【聴衆賞】賞状

●申込受付期間
2014年9月16日(火)~30日(火)17時必着(郵送・配送のみ)。

●参加資格
・国籍、及び年令は問いません。過去の本コンクール第1位入賞者は今回のコンクールに参加することは出来ません。
・独奏する個人、もしくは合奏する2〜6名の団体が参加できます。独奏に伴奏者を加えること、また、合奏に指揮を加えることは出来ません。
・演奏時間は、予選は12分以内、本選は15分以上20分までとします。
・演奏曲数の制限はありませんが、本選で予選と同じ曲を演奏することは出来ません。
・演奏曲中1曲は日本人の作曲家の作品とします。全てが日本人の作品であることも可能です。

 

本要項は4月に発表予定です。現代音楽演奏のスペシャリストを目指す演奏家の皆様、どうぞ奮ってご参加下さい。

〈現代の音楽展2014〉第1夜「ヴィブラフォンのある部屋〜featuring藤本隆文〜」2月8日(土)東京オペラシティリサイタルホールで開催

プリント
〈現代の音楽展2014—触発と対話〉第1夜
ヴィブラフォンのある部屋〜featuring藤本隆文〜
制作:久田 典子

2014年28日(土)17:30開場/18:00開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

中川 俊郎
6 Doors (6 Pieces)
作曲2013年/初演
藤本 隆文(ヴィブラフォン)

※6つの小品からなるこの作品は、他の6作品(6部屋)へと案内する「扉」となって、曲頭、または曲間に1小品ずつ演奏されてゆき、最後の1小品は、演奏会を閉じる扉として演奏されます。

 

久田 典子
アンタレスが見える、夜の空につながる部屋
作曲2013年/初演
藤本 隆文(ヴィブラフォン)マッシュルーム(コンテンポラリーアニメーションダンス)

安田 謙一郎
「もし、四十歳若かったら」二つのヴィブラフォンとギター
作曲2013年/初演
藤本 隆文・安江 佐和子(ヴィブラフォン)藤元 高輝(ギター)

松平 頼曉
Wandering for Vibraphone
作曲2013年/初演
藤本 隆文(ヴィブラフォン)

中村 ありす
32.7°C for Vibraphone(with Cymbal)& Pianoforte
作曲2013年/初演
藤本 隆文(ヴィブラフォン)藪田 京子(ピアノ)TIDA(ダンス)

藤枝 守
Patterns of Plants, a Vibraphone Duo Set
piece 1: Gamelan Cherry no.3
piece 2: Hearn’s Hi-Mawari no.3
piece 3: Mangroves far away
piece 4: The Olive Branch Speaks no.4
作曲2013年/初演
藤本 隆文・安江 佐和子(ヴィブラフォン)

三枝 成彰
送れなかった手紙〜軍服の代わりに制服を着て、戦火へ飛びこんだ71人の学徒兵〜浦頂の戦闘で1950年8月11日、当時、中学3年生で命を落とした故イ・ウグン学徒兵の「送れなかった手紙」
作曲2013年/初演
秋山 愛美(指揮)露木 茂(ナレーション)藤本 隆文(ヴィブラフォン)横川 晴児(クラリネット)清水 のりこ(エレクトーン)

※演奏順は変更となる場合があります。

 

■チケット(全自由席)
前売一般 3,000円
当日一般 3,500円
学  生 1,500円
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00
03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00
東京オペラシティビル3F

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2014(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人花王芸術・科学財団
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

 

▼現代の音楽展2014 日程

2/28(金)19:00
協創の未来〜“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

3/6(木)19:00
世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

3/12(水)19:00
弦楽オーケストラ展〜21世紀の弦楽の魅力
府中の森芸術劇場ウィーンホール

〈現代の音楽展2014〉第2夜「協創の未来〜“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル」2月28日(金)東京オペラシティリサイタルホールで開催

協創の未来
〈現代の音楽展2014—触発と対話〉第2夜
現音人材育成シリーズ2013
協創の未来〜“競楽”優勝・入賞者によるコラボレーションリサイタル
制作:佐藤 昌弘

2014年228日(金)18:30開場/19:00開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

木幡 由美子
蘖(ひこばえ)〜二十絃箏と十七絃箏のための〜
作曲2013年/初演
坂本 ゆり子・吉川 由里子(箏)

橋本 信
Spirit of Water
作曲2013年/初演
増本 竜士(フルート)坂本 ゆり子・吉川 由里子(箏)

池田 悟
《ブラウン×2 運動》ギターとマリンバのための
作曲2013年/初演
山田 岳(ギター)會田 瑞樹(マリンバ)

福井 とも子
a color song III
作曲2013年
山田 岳(ギター)

国枝 春恵
“Azumahaya” for Solo Percussionist
作曲2013年/初演
會田 瑞樹(打楽器)

佐藤 昌弘
Entrance
作曲2014年/初演
間部 令子(フルート)佐藤 昌弘(ピアノ)

倉内 直子
Where We Are—for Piccolo and Toy Piano
作曲2013年/初演
間部 令子(ピッコロ)須藤 英子(トイピアノ)

久保 禎
舞桜図
作曲2012年
増本 竜士(ピッコロ)須藤 英子(ピアノ)

松平 頼曉
Dies Irae
作曲2013年/初演
増本 竜士・間部 令子(フルート)坂本 ゆり子・吉川 由里子(箏)山田 岳(ギター)會田 瑞樹(打楽器)須藤 英子(ピアノ)松尾 祐孝(指揮)

※演奏順は変更となる場合があります。

 

■チケット(全自由席)
前売一般 2,500円
当日一般 3,000円
学  生 1,500円
※学生券は日本現代音楽協会のみの取り扱いとなります。
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00
03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00
東京オペラシティビル3F

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2014@jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人花王芸術・科学財団 公益財団法人ロームミュージックファンデーション
【後援】一般社団法人日本作曲家協議会

 

 

▼現代の音楽展2014 日程

2/8(土)18:00
ヴィブラフォンのある部屋〜featuring藤本隆文〜
東京オペラシティリサイタルホール

3/6(木)19:00
世界に開く窓 山内亜希ホルンリサイタル
東京オペラシティリサイタルホール

3/12(水)19:00
弦楽オーケストラ展〜21世紀の弦楽の魅力
府中の森芸術劇場ウィーンホール