〈現音 Music of Our Time 2023〉「ペガサス・コンサートVol.V」選考結果について

 日本現代音楽協会は、現代音楽の上演に積極的な演奏家を支援すべく、音楽祭〈現音 Music of Our Time 2023〉の中で「ペガサス・コンサート・シリーズ」と銘打った、演奏家自身が企画・出演するリサイタルを2公演、募集致しました(締め切り2023年2月28日)。
 2023年3月29日、佐藤昌弘、露木正登、山本裕之、渡辺俊哉各理事が選考を行いました(オブザーバー:近藤譲理事長)。厳正なる選考の結果、以下の2企画を選出し、音楽祭において開催することとなりました(なお、下記プログラムでの作曲者名と曲名については、応募者による表記をそのまま用いています)。
 選考にあたっては、1)原則的に1945年以降に作曲された作品であること、2)3分の1以上が日本人作品であること、3)世界初演または日本初演を含むこと、という募集条件に加え、優れた演奏技能と演奏表現力を有しており、かつ、企画のコンセプトとプログラミングの創造性、独自性の豊かさ、そして、一夜の演奏会としてのまとまりを十分に備えていることを選考基準としました。
 なお、日本現代音楽協会は「ペガサス・コンサート・シリーズ」を来年度以降も〈現音 Music of Our Time〉音楽祭の中で継続開催する予定です。

 

〈現音 Music of Our Time 2023〉2023年11月30日~2024年1月7日

ペガサス・コンサート・シリーズ Vol. V 全2公演

(1) Shogirls「Sho time to say goodbye」 
2023年12月7日(木)19時開演予定|東京オペラシティ リサイタルホール
【出演】Shogirls(笙:三浦礼美・中村華子)
【特別出演】宮田まゆみ(笙)
▼演目
盤渉調 調子(雅楽古典曲)2笙, 竽
森田泰之進/ReincarnatiOn Ring 音/輪 2020(2020)2笙, iPod, Recorded sound
Jean-Patrick Besingrand/…sans feuilles à disperser(2021)笙
木下正道/graduale V 〜田島和枝さんの思い出に〜(2022)笙
藤井喬梓/Sho-Time(1992)笙, 竽
伊左治直/アサギマダラと神の少女(2018)3笙
山根明季子/Showgirls(仮題)(2023/委嘱初演)2笙
高橋久美子/syzygy~二管の笙と竽のための~(2022委嘱初演)2笙, 竽作

(2) みのりて「溶ける息/消える境」
2023年12月8日(金)19時開演予定|東京オペラシティ リサイタルホール
【出演】みのりて(メゾ・ソプラノ:小阪亜矢子、チェロ:北嶋愛季、フルート:今井貴子)
▼演目
ヘルムート・ラッヘンマン/temA(1968)Ms, fl, vc
エリック・タンギー/Le jardin des délice《快楽の園》(1996)Ms, fl, vc
ピエール・ブーレーズ/《ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌)》より〈怒る職人〉(1952)Ms, fl
坂田直樹/新作(2023委嘱初演)Ms, fl, vc
河崎純/訳詩による歌曲(仮題)(2023改訂版初演)
・明るい石たちが(詩:ツェラン)(2015)
・慈善病院の白い病室で(詩:ブレヒト)(2016)
・白く軽やかに(詩:ツェラン)(2014)
小田侑/Shade in Sustainsion for cello solo(2020)
岸野末利加/Monochromer garten VIII for Alto flute solo(2016)

現音 Music of Our Time 2023 日程(全6公演)
[1]フォーラム・コンサート第1夜|2023年11月30日(木)
[2]フォーラム・コンサート第2夜|2023年12月1日(金)
[3]ペガサス・コンサート(1) shogirls|2023年12月7日(木)
[4]ペガサス・コンサート(2) みのりて|2023年12月8日(金)
[5]第40回現音作曲新人賞本選会|2023年12月21日(木)
[6]ISCM世界音楽の日々100周年記念コンサート|2024年1月7日(日)
【会場】東京オペラシティ リサイタルホール

※上記企画内容は2023年4月現在のものであり、変更となる場合があります。

橋本晋哉チューバリサイタル3月23日Tokyo Concerts Lab.で開催!「演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ」

演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ
橋本晋哉チューバリサイタル
+ Live Streaming & Archive Viewing

2023年323日(木)18:30開場 19:00開演
Tokyo Concerts Lab.(東西線「早稲田駅」2番出口下車6分)

制作:佐藤昌弘

 

全曲新作初演
天岡寛晋/夜想曲 tub, pf ピアノ:藤田朗子
内垣亜優
/チューバッ!バッ!
前川貴雄/風鐸 tub, pf
伊藤高明/OBJECTS2357 for TUBA
高嶋みどり/Howld for Tuba
佐藤昌弘/Arietta tub, pf
中川俊郎/Twillight Midnight Serenade tub, pf

 

インターネット配信実施
ネット視聴チケット(¥1,000)をご購入の上こちらで視聴申込みを行って頂くと、リサイタル翌日から10日間、公演の録画映像をご視聴頂けます。3月22日(水)までに視聴申込みを完了した方は生配信でもご覧になれます。なお、視聴者の受信環境や、配信システムのトラブルにより、映像や音声の乱れ、公演の一時中断、途中終了の可能性があります。予めご了承ください。

 

Ticket Information

ネット視聴チケット
1,000円ネットで購入

座席チケット 全自由席 ※未就学児入場不可
一般2,500円ネットで購入
学生1,000円ネットで購入
※感染症予防対策により座席70%で開催致します。
クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、Amazon Pay、Pay-easyで購入可

電話で購入 ⇒ 03-6417-0393(日本現代音楽協会/月-金 10:00-17:00)

 

▼感染症予防対策ご協力のお願い
・発熱、咳等の症状がある場合は来場をお控えください。
・混雑を避けるため入退場時にお待ちいただく場合があります。
・入場時、ご来場者の個人情報をご記入頂きますので予めご了承ください。会場へ提供 致します。
・入場時検温を行います。37.5℃以上の発熱等の症状がある場合は入場をお断りさせ て頂きます。
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場後感染が疑われるような症状等が見受けられる場合、必要に応じてご退席頂く

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会、一般社団法人日本作曲家協議会
協力:洗足学園音楽大学

 

橋本晋哉(はしもと・しんや)チューバ、セルパン、オフィクレイド奏者。国立パリ高等音楽院第三課程修了。2002アヴァン・センヌ(フランス)第1位、第5回現代音楽演奏コンクール“競楽V”第2位。サントリー音楽財団サマーフェスティバル2008及び2010、コンポージアム2009、NHK-FM「名曲リサイタル」などにソリストとして出演。洗足学園音楽大学非常勤講師。「東京現音計画(2014年佐治敬三賞受賞)」「低音デュオ」のユニットで活動。ウェブサイト⇒ https://note.com/bashunity

アンサンブル・ルシェルシュ来日公演2月11日(土)東京オペラシティリサイタルホールで開催!

世界に開く窓 欧州のアンサンブル
(1) アンサンブル・ルシェルシュ来日公演
+ Live Streaming

2023年211日(土)18:30開場 19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール(京王新線「初台」駅直結)

企画制作:福井とも子/監修:福士則夫

 

ルシェルシュ待望の日本公演!
少しずつ日常が戻り、海外との往来が復活しつつある中、延期となっていたこの企画も動き始め、ようやくドイツからアンサンブル・ルシェルシュを迎えられることとなりました。待った甲斐あって、この間に完成したヘルムート・ラッヘンマンの最新作、ルシェルシュの為に作曲された弦楽三重奏日本初演も実現できそうです。ルシェルシュによって2022年4月に初演されて以来、既に再演と改作が何度も繰り返されているこの作品、実はルシェルシュが委嘱したのは30年以上も前のこと、まさに待望の新作の誕生となりました。第1弦楽三重奏曲(1965)から58年を経て、87歳となったラッヘンマンがついに完成させた第2弦楽三重奏曲《メ・ザディウ》。演奏時間約30分というこの大作に挑むのは、メリーズ・メリンガー(Violin)、新メンバーのソフィア・フォン・アッツィンゲン(Viola)オーサ・オーカベルク(Cello)です。作曲家本人との数十時間を超える濃密なリハーサルを経て練磨された演奏に、期待が高まります。また様々な奏法による多彩な表現が求められるマールトン・イッレスのクラリネットソロは、ルシェルシュ日本人メンバーである岡静代のまさに本領発揮となるでしょう。さらに本公演では、このドイツ屈指の団体が、彼らのレパートリーに加え、現音会員(伊藤彰、深澤倫子、森田泰之進)の新作も演奏することになっています。こちらもお楽しみに。ふたたび世界への窓を開く時、どうぞお聴き逃しなく! 国際部長:福井とも子

 

アンサンブル・ルシェルシュ ENSEMBLE RECHERCHE
岡 静代 Shizuyo Oka, clarinet
メリーズ・メリンガー Melise Mellinger, violin
ソフィア・フォン・アッツィンゲン Sofia von Atzingen, viola
オーサ・オーカベルク Åsa Åkerberg, violoncello

 

ヘルムート・ラッヘンマン
第2弦楽三重奏曲「メ・ザディウ」2021/2022 日本初演 Vn, Va, Vc

マールトン・イッレス
サイコグラムII 「レッテゴーシュ」2015 日本初演 Cl

福井とも子
ダブレット + 1 2012 演奏者推薦作品 Cl, Vn, Vc

伊藤 彰
薄墨色の技法 2022 初演 B-Cl, Vn, Va, Vc

深澤倫子
ルフレII バスクラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための 2022 初演

森田泰之進
雲に聴く 2022 初演 Cl, Vn, Vc

 ※演奏順未定

 

インターネット配信実施
ネット視聴チケット(¥2,000)をご購入の上こちらで視聴登録を行って頂くと、生配信がご視聴頂けます(アーカイブはありません)。なお、視聴者の受信環境や、配信システムのトラブルにより、映像や音声の乱れ、公演の一時中断、途中終了の可能性があります。予めご了承ください。

 

Ticket Information

座席チケット 全自由席 ※未就学児入場不可
一般3,500円ネットで購入
学生2,000円ネットで購入
当日4,000円 ⇒ 会場にて18:30より販売

ネット視聴チケット
2,000円ネットで購入 チケット購入後視聴登録が必要です。登録はこちら

クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、Amazon Pay、Pay-easyで購入可

電話で購入 ⇒ 03-6417-0393(日本現代音楽協会/月-金 10:00-17:00)

 

▼感染症予防対策ご協力のお願い
・発熱、咳等の症状がある場合は来場をお控えください。
・混雑を避けるため入退場時にお待ちいただく場合があります。
・入場時、ご来場者の個人情報をご記入頂きますので予めご了承ください。会場へ提供 致します。
・入場時検温を行います。37.5℃以上の発熱等の症状がある場合は入場をお断りさせ て頂きます。
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場後感染が疑われるような症状等が見受けられる場合、必要に応じてご退席頂く

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会

 

アンサンブル・ルシェルシュ:1985年創立以来、500を超える作品の初演を手がけてきたドイツ有数の演奏家団体である。同時代の、特に現代音楽の発展において大きな役割を担い、常に現代音楽シーンを牽引し続けてきた。8人のメンバーはそれぞれがソリストとして活躍できる実力を持っているが、また一方で、学校やセミナーなどで講師を務めるなど、指導者としての資質も備えている。演奏能力のみならず、彼らの音楽性は国内外で高く評価され、ヘルムート・ラッヘンマン、サルヴァトーレ・シャリーノ、ジェラール・グリゼィ等々の大家から若手まで、多くの作曲家がルシェルシュのために新作を書いている。古典的なものから現代に至るあらゆるスタイルの音楽に加え、1700年以前の音楽の現代における再演等、レパートリーは多岐に渡る。ダルムシュタット、ヴィッテン、ドナウエッシンゲン、ザルツブルグ、ルツェルン、プラハ、ワルシャワ等々、発足以来、世界各地の名だたる音楽祭に招待されている。発売されたCDは50枚以上あり、ドイツ批評家賞他、国際的な賞を多く受賞するなど、常に第一線を走り続けている。

LAPSアンサンブル来日公演3月2日(木)豊中市立文化芸術センター小ホールにて開催!

世界に開く窓 欧州のアンサンブル
(2) LAPSアンサンブル来日公演 —現音in関西 vol.9
+ Archive Viewing

2023年32日(木)18:30開場 19:00開演
豊中市立文化芸術センター小ホール(阪急宝塚線「曽根」駅下車徒歩5分)

企画制作:福井とも子

 

ラップトップ(ノートパソコン)とピアノによる二重奏新作上演!
日本現代音楽協会の関西会員が中心となり、毎回演奏家とコラボレートして新作を書く企画「現音in関西」の第9弾は、ベルギーのアンサンブルLAPS(ラップス)が登場する。彼らの最大の特徴は、グループ名にもあるように、Laptop(ノートパソコン)を操作するメンバー3人も、他の楽器メンバー8人と同様に舞台に立ち、共に音楽を作るというスタンスにある。ヨーロッパの様々な音楽祭等で活躍するLAPSのメンバーから今回は、ラップトップ奏者のジル・ドヌーピアニストの籾谷奈芳、そしてLAPS創設者で作曲家のクロード・ルドゥが来日する。2022年1月に彼ら3人がベルギーから行ったZoomレクチャー「初心者のためのMax/MSP」をもとに、10人の作曲家がラップトップ1台+ピアノ1台による表現の可能性に挑む。乞うご期待!! 国際部長:福井とも子

 

LAPSアンサンブル LAPS ENSEMBLE
ジル・ドヌー Gilles Doneux, laptop
籾谷奈芳 Nao Momitani, piano
クロード・ルドゥ Claude Ledoux, composer

 

宇野文夫
フルートとピアノのための二重奏曲 LAPSヴァージョン 1984/2022 初演

門脇 治
laps-lazuli 2022 公募作品 初演

杉野智彦
聴常現象II-領域外-ピアノとラップトップのための 2022 公募作品 初演

田口雅英
ピアノとラップトップの為の「時の泡沫」2022 初演

成本理香  主催者推薦作曲家
水の廻廊~ピアノとラップトップのための 2022 初演

福井とも子
nobody walks much faster than I do. 2022 初演

北條美香代
氷面鏡~ピアノとエレクトロニクスのための~ 2022 初演

増田建太
Autograph 2022 初演

南川弥生
Crystallizing…for Piano and electronics 2022 初演

諸橋玲子
Nue 2022 初演

クロード・ルドゥ
A walnut for Emi 2018/2022 改作初演

 ※演奏順未定

 

インターネット配信実施
ネット視聴チケット(¥1,000)をご購入の上こちらで視聴登録を行って頂くと、録画配信をご視聴頂けます(生配信はありません。また、一部の作品は配信されない場合があります)。なお、視聴者の受信環境や、配信システムのトラブルにより、映像や音声の乱れ、公演の一時中断、途中終了の可能性があります。予めご了承ください。

 

Ticket Information

座席チケット 全自由席 ※未就学児入場不可
一般2,500円ネットで購入
学生1,000円ネットで購入
当日3,000円 ⇒ 会場にて18:30より販売

ネット視聴チケット
1,000円ネットで購入 チケット購入後視聴登録が必要です。登録はこちら

クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、Amazon Pay、Pay-easyで購入可

電話で購入 ⇒ 03-6417-0393(日本現代音楽協会/月-金 10:00-17:00)

 

▼感染症予防対策ご協力のお願い
・発熱、咳等の症状がある場合は来場をお控えください。
・混雑を避けるため入退場時にお待ちいただく場合があります。
・入場時、ご来場者の個人情報をご記入頂きますので予めご了承ください。会場へ提供 致します。
・入場時検温を行います。37.5℃以上の発熱等の症状がある場合は入場をお断りさせ て頂きます。
・会場内ではマスクの着用をお願いします。
・入場後感染が疑われるような症状等が見受けられる場合、必要に応じてご退席頂く

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:芸術文化振興基金
後援:大阪音楽大学同窓会《幸楽会》、神戸学院大学、日本電子音楽協会、一般社団法人日本音楽作家団体協議会

 

LAPSアンサンブル:LAPS―Laptop & Acoustic Production System―は、ベルギーの音楽家たちによる比較的新しい団体である。アンプリファイされた楽器と3台のラップトップコンピュータとによる独自のアンサンブルを作りたいという思いから設立された。演奏家(伝統的な楽器)とエレクトロニクスパフォーマー(コンピュータ)との相互作用によって生み出される、新たな室内楽を創造することが当初のアイデアであった。作曲家で指揮者、そしてこのアンサンブルの設立者でもあるクロード・ルドゥと、ラップトップ・デュオKNAPPメンバーのジル・ゴベール、作曲家のジル・ドヌーらの主導により、LAPSは2013年、Ars Musica音楽祭(ベルギー)で、その活動を開始した。その後も意欲的に、さまざまな作曲家への委嘱を行っている。西洋と東洋の融合をも目指すLAPSは、2015年同楽祭において日本の作曲家の委嘱作品を特集している。ヨーロッパの音楽祭のみならず、中国などアジア各地にも招かれているLAPSであるが、日本での活動はこの演奏会が初となる。

第15回現代音楽演奏コンクール“競楽XV”第1位受賞の言葉〜島田菜摘(打楽器)

“競楽”という憧れのコンクールで第1位を頂けたことがいまだに信じられず、身の引き締まる思いです。

フリーランスの打楽器奏者にとって、現代音楽の作品に集中して取り組むのは、さまざまな面でハードルが高いことだと思います。私自身、使用楽器や練習スペースの確保が難しい環境にある身ですが、機会を見つけては、なるべく演奏したことのない作品に当たるよう心がけてきました。このたびは魅力的なコンクールに参加する機会を頂戴し、さらにこのような身に余る評価を頂き大変光栄に思います。お力添えいただきました皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。

課題曲なしのセルフプロデュースコンクールという“競楽”で自分らしい表現をするために、そして今まで挑戦したことのない作品として、『モノヴァランス IV』が最初に思い浮かびました。

本選前の意気込みでも触れましたが、この作品は素手で叩く、はじく、こする、息を吹き入れるなど、通常どおりバチを用いるのに比べてあまり大きな音の出ない奏法で構成されています。慣れない会場でこの奏法の面白さをどれだけ引き出せるかが課題でしたが、予選で初めてけやきホールを訪れた際、どんなに小さな音も新鮮さをもって客席に届けられる空間がこの作品にぴったりだと確信し、イメージを膨らませました。

また本来、譜面ではオプションとしてライティングの指定がされていますが、今回は照明での演出を行わず、一つ一つの音と動きに物語を込めて演奏することに集中しました。演奏中のドアの開閉や反響板を用いた奏法など、事務局と舞台スタッフの方々には多くのリクエストをしてしまいましたが、完璧にサポートしていただき、夢中になって演奏させていただきました。演奏するたびに新しい楽しみが生まれるこの作品を、これからも大切にしていきたいと思います。

予選では、21年に楽譜が出版されたばかりの『コナンドラム』を選曲しました。私が学んだ同志社女子大学を長年にわたって教えてくださいました山口恭範先生が1997年に作曲された、専攻生たちにとって思い入れ深い作品です。そんな“コナン”で予選を通過できたことがとても嬉しく、尊敬する先生、先輩方にお力を頂いたように感じています。

情報化が進んだこんにち、目に見えるものが全てだと感じてしまう機会が増えたように思います。現代音楽の演奏を通して、言葉にできない、時には五線譜にも表せないような思いを交わすことができると信じて、微力ながら活動を続けてまいりたいと思います。

最後になりましたが、これまでご指導くださいました先生方、審査委員の先生方、日本現代音楽協会の皆様、支えてくださいました皆様に深く感謝申し上げます。

 

▼第15回現代音楽演奏コンクール“競楽XV”審査結果はこちら