お詫びと訂正

『現音・秋の音楽展2015』のプログラム冊子P17のロクリアン正岡会員の曲目解説に編集ミスがありました。正しくは下記の赤字の通りです。作曲者並びにご迷惑をおかけした皆様にお詫びして訂正致します。

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ロクリアン正岡
念仏楽曲「時を貫く“南無阿弥陀仏”」
作曲2015 年/初演

Locrian MASAOKA
“Namu Amida Butsu that transcends
through time”
2015, premiere

高浜虚子に
「去年今年(こぞことし)貫く棒の 如きもの」
という有名な俳句がある。
私は、「時間が貫く」のではないと思う。
この世に生きる者にとって、時間は全現象共通の軌道のようなものだが、生の呪縛から解放されて望めば、時間は無限とか永遠があるからこそ生じるその影のようなものに過ぎない。
「時間が暦を貫いて行く様」と言えば表象しやすいが、そんな甘いものではない。
同様に、「音楽は時間芸術」と言われ、「一貫性のある音楽」という褒め言葉もあるが、これもまだまだ甘い。究極の音楽は、時空に先立つ阿弥陀仏と人間との一体性から直接に齎されるものである筈だ。
が、仏教の信者の方々が日々唱えておられる言語念仏「南無阿弥陀仏」が、このように音楽と統合されることは果たして可能か。いや、そもそも是か非か?はたまた、信者の方にとって、それはどうでもよいことか、あるいは切実な問題か?
なお、本会のウェブサイトに本題の引用俳句部分の徹底的分析を核とした、週刊誌仕立てでいささか狂気の匂いもする哲学的論考を掲げた。3 万字近い型破りなものだが、これほど“はた迷惑なほどに”音楽の仮面をはぎ取ってみせたものを私は知らない。人間が書いたものとはいえ、この世やご自分に退屈されている方々をも目覚めさせる勢いのこの文章、是非ご覧になられますよう!
あの、小保方晴子、中川俊郎の両天才も「まな板の上の鯉」のごとし。

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※訂正版はこちらです。

12月11日“こんせ~る・しぇ~ぬ”第2弾「NEW CHAMBER MUSIC 2015 vol.2 〜管楽器を中心に〜」

プリント

ユニークなテーマで現代音楽のいまを切り取る連続企画「こんせ~る・しぇ~ぬ」の第2弾。

 

NEW CHAMBER MUSIC 2015 vol.2 〜管楽器を中心に〜
2015年12月11日(金)18:30開場 18:45開演
ソノリウム(永福町)

正門憲也/遊戯第20番「4つのフルート」
赤石直哉/残照〜クラリネットとピアノのための〜
柳川瑞季/Dessin #2
清水 篤/Add/less〜フルートとピアノのための(2015改訂初演)
佐藤 眞/クラリネットとピアノのための「幻想曲」
桑原ゆう/ラットリング・ダークネス
佐藤昌弘/Danse Prélude
平川加恵/クラリネットとピアノのための小品
清水昭夫/Serenade for Saxophone and Piano
久行敏彦/風の詩V〜トランペットとピアノのための〜

フルート:秋元茉里・K.Quartet(秋山純子・井馬佐紀子・柳原聡美・渡部寿珠)
サックス:田尻智大・中島諒
トランペット:篠崎孝・多田将太郎・松木亜希
トロンボーン:村田厚生
ピアノ:秋山友貴・清水篤・佐藤昌弘・平川加恵・柳川瑞季

チケットお申込
2014ncm(a)gmail.com
090-5307-7293(代表:赤石直哉)

主催:NEW CHAMBER MUSIC
共催:日本現代音楽協会

第32回現音作曲新人賞受賞の言葉〜川合清裕

川合清裕

DSC_7760sこの度、第32回現音作曲新人賞を受賞致しました川合清裕と申します。このような栄誉にあずかれたことを、本当に嬉しく思います。日本の作曲コンクールの中でも屈指の歴史と権威を誇る賞で、この賞を受賞することが私の目標でした。

まだまだ未熟な私の作品に可能性を見いだし選出して下さった審査員長の金子仁美先生、審査員の鈴木純明先生、山本裕之先生。技術的に無茶な要求の多い譜面を軽々と音楽的に弾きこなし、拙作を何倍も魅力的に演奏して下さったクァルテット・レオーネの佐原敦子さん、小杉結さん、阿部哲さん、豊田庄吾さん。リハーサルから本番まで、きめ細かくサポートしてくださった日本現代音楽協会事務局の方。今回のコンクールに携わって下さった全てのスタッフの皆様。そして、聴きにいらして下さったお客様。皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

拙作は(自分で言うのもなんですが)ずいぶんアナクロニスティックな作品で、まさか受賞できるとは夢にも思いませんでした。もちろん、私の中ではより良いものを目指して作曲してはいるのですが、それは客観的に評価されることなく、自己満足に終始するものだとばかり思っていました。

今回のコンクールを終えて、現代の音楽の許容範囲の広さ、懐の深さをひしひしと感じております。私の作品から具体例を挙げますと、調性がチラっと現れたり(完全なドミナント和音まで出現します)、4楽器がずっと同じ動きをしていたり、単純な半音階が出てきたり…、少し前の現代音楽の流行から考えると随分わかりやすい、単純明快なものですが、これでも許容される。難しいことは私にはわかりませんが、多種多様な価値観のいずれもが認められうる可能性を秘めている、そのような時代なのではないか、などと考えを巡らせたりもしました。

言うまでもなく、音楽はいつの時代も自由で(稀に特殊な例外はあるが)、私の作品のような懐古趣味の音楽が一つの潮流であった時代もありますが、現代はそういう次元を超越した自由さがあるように感じます。新ロマン主義、ミニマリズム、トータルセリエリズム、偶然性、空間性、身体性、スペクトル音楽、エレクトロニクス、ノイズ、アプロプリエーション、ポップ……、その他、ありとあらゆる音楽のスタイルが出尽くした現代だからこそ、その全てに可能性が開かれている、そんな気がします。もし私の浅慮が的を射ているのであれば、今コンクール、ファイナリスト4人の四者四様の作品は、現代の音楽の在り方を象徴していたと言えるのかもしれません。私のアナクロな作風も、その時代錯誤感が逆に新鮮なのだ、と半ば自嘲気味に、しかしポジティブに考えつつ、時代の庇護も少しばかり感じつつ、今回の受賞を自信にこれからも精進してゆきます。

さて、ご依頼頂いた1,200字もそろそろ満たせたようです。ここまで長い駄文をお読み下さった皆様、ありがとうございました。とりとめのない文章となってしまいましたが、これをもって受賞の言葉とさせて頂きます。

 

▼第32回現音作曲新人賞審査結果はこちら

左から、佐原敦子(ヴァイオリン)小杉結(ヴァイオリン)豊田庄吾(チェロ)阿部哲(ヴィオラ)

左から、佐原敦子(ヴァイオリン)小杉結(ヴァイオリン)豊田庄吾(チェロ)阿部哲(ヴィオラ)

2015年度富樫賞受賞の言葉〜見澤ゆかり

見澤ゆかり

三澤福士 この度は富樫賞を受賞できましたこと、大変うれしく思っております。弦楽アンサンブルは私が最も多く書いた編成でありますので、うれしさも一入です。今回受賞できましたのも、全てのリハーサルに参加できない、という大変失礼犯したにも関わらず、素晴らしい演奏をしてくださった甲斐史子様、松岡麻衣子様、般若佳子様、宮坂拡志様。本人はもう完成でいいだろう、と思っているのに、更にアドバイスをしてくださったプロフェッサー・アンドレおよびプロフェッサー・オルブリッシュ。いつまでたっても学生をやめない私をいつも支援してくれる両親。そしていつも私のアイディアの熟成を手伝ってくれる親友のおかげです。この場を借りて感謝を捧げたいと思います。

実は、今回の受賞作である「ジャングルソナタ」にはショートバージョンがありまして、そちらはワイマール、ドレスデン、ライプツィヒ音大合同企画のため、ワイマールに送らなければなりませんでした。しかし、送らなければならない当時ドイツ・ポストがストライキをしてまして、3日では譜面が着かない危険性がありました。たまたま、ワイマールに知り合いがいたので、その方に印刷および提出をしていただいたので、事なきを得ましたが、この度の本選会のための一時帰国においてのフライトでもストライキにあいましたので、本当にストライキに好かれている曲だと感じています。

最後になりますが、ご来場いただき、聞いてくださった皆様、このような機会をもうけてくださる現音様には大変感謝しております。また、日本で曲が演奏されるよう、これからも日々精進していきます。

 

▼第32回現音作曲新人賞審査結果はこちら

左から、甲斐史子(ヴァイオリン)松岡麻衣子(ヴァイオリン)般若佳子(ヴィオラ)宮坂拡志(チェロ)

左から、甲斐史子(ヴァイオリン)松岡麻衣子(ヴァイオリン)般若佳子(ヴィオラ)宮坂拡志(チェロ)

Web版 NEW COMPOSER Vol.4

webcomposer

Vol.4  2015.10.5

 お待たせいたしました。Web版『NEW COMPOSER』第4号をお送りいたします。
第4号では〈現音・秋の音楽展2015〉の話題を中心にお伝えします。
リアルタイムに更新できるのがWeb版『NEW COMPOSER』の良いところですので、それぞれの演奏会が近づくにつれ、更に記事が更新、増殖していくかも知れません。時々チェックして頂ければ幸いです。
どうぞご覧下さい。

NEW COMPOSER編集室長 山内雅弘

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