競楽XII本選出場者紹介〜井上仁美(マリンバ)

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▼本選演奏曲
三木 稔 /マリンバの時(1968)
Ivan TREVINO/Electric Thoughts(2014)

 

コンサート楽器としての歴史が浅い打楽器にとって「現代音楽」は馴染みの深いジャンルです。そんな「現代音楽」に真正面から向き合い、楽譜を正確に、尚且つ自分なりに読み込むことの大切さを教えてくれる「競楽」で、本選に出場できますこと、心より嬉しく思います。

《マリンバの時》(三木稔)は世界的に有名なマリンバのための作品です。日本を代表するマリンバ奏者安倍圭子氏のために書かれ、ガムランの音列やリズムに影響を受けています。三木氏はマリンバの音を持続させるための「トレモロ奏法」が過剰であることを嫌い、この作品でも最低限しか使われていません。

《Electric Thoughts》(Ivan Trevino)はマリンバとCDのために書かれた作品です。電子音は伴奏としてバランスを保ちマリンバの響きを強化しており、シンプルながら美しい作品です。

マリンバという楽器の魅力を多面的に皆様にお伝えできたらと思っています。

◎プロフィール

3歳よりピアノ、13歳より打楽器を始める。東京芸術大学卒業、同大学院を修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞を受賞。これまでに、マリンバ・打楽器を藤本隆文、故岡田眞理子、神谷百子、石井喜久子の各氏に師事。2012年、第7回安倍圭子国際マリンバアカデミーを受講、選抜者によるプレミアムコンサートに出演。2014年、万里の長城杯入賞。多数の新曲初演を始め幅広い分野で演奏活動を行う他、アウトリーチ活動や吹奏楽部の指導なども精力的に行う。また、音楽療法を学び演奏活動に生かす研究を重ねている。

 

▼予選演奏曲
三善晃/リップル 独奏マリンバのための(1999)

競楽XII本選出場者紹介〜小倉美春(ピアノ)

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▼本選演奏曲
石島 正博/REQUIEM for piano solo(2011)
Karlheinz STOCKHAUSEN/Klavierstück XIV(1984)

 

この度は、競楽の本選にて、敬愛する2人の作曲家の作品を演奏させていただくこととなり、嬉しく思います。

1曲目は、私の作曲の師でもある石島正博先生の《REQUIEM for piano solo》です。東日本大震災直後に作曲され、カトリックのミサに倣い6つの部分から成っています。静厳な世界の中、いつか必ず与えられるであろう光を求めて、祈り続けます。

2曲目は、STOCKHAUSEN《Klavierstück XIV》です。ブーレーズの60歳の誕生日に際し作曲され、合唱付きの版としてオペラ《Licht》の中にも組み込まれています。全てを包み込んでしまうような壮大さに圧倒されながら、強烈な光のもとへと向かっていきます。

私にとって現代音楽は、過去と未来を繋ぎとめ、「いま、この瞬間に」存在していることを認識するためのものとなっています。本選のステージが、全ての方々にとって祈りの場になれば幸いです。

◎プロフィール

3歳より、ピアノ・ソルフェージュを始める。桐朋女子高等学校音楽科在学中、卒業演奏会等に出演。Stockhausen Festival(ミュンヘン)のピアノアカデミーに受講生として選抜され、ピエール=ロラン・エマール及びタマラ・ステファノヴィチ各氏のレッスンを受ける。桐朋学園大学主催第38回作曲作品展選出。現在桐朋学園大学音楽学部2年に在学中。ピアノを廻由美子、作曲を石島正博の各氏に師事。

 

▼予選演奏曲
Karlheinz STOCKHAUSEN/Klavierstuck(1952-1953)

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第6回「無伴奏の署名」原田真帆

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こんにちは、ヴァイオリン弾きの原田真帆です。
『卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿』第6回、大英博物館から連れてきたエジプトの猫のぬいぐるみと見つめ合いながらタイピングをしている卑弥呼がお送りいたします。卑弥呼ことヴァイオリン弾きの原田真帆です。

 

今回は「事件簿」というタイトルに似つかわしい内容を書いてみたいと思います。わたしなんぞが語るのはおこがましいのですが、今回はヴァイオリンという楽器がひとりでどこまでできるのかということを考えたいのです。

 

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松平頼曉によるレクチャー「リゲティ《Aventures》《Nouvelles Aventures》考察」11月27日(日)18:30より開催!

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1127日日18:30開演(受付:18:15)
会場:きゅりあん 4階 第2特別講習室 JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線、大井町駅 徒歩約1分

料金:1,000円(右記日本現代音楽協会に要予約)

講師:松平頼曉(日本現代音楽協会理事)

 

この2曲にはリゲティの特徴であった巨大なクラスターは殆ど現れない。12音音列のような音列が、クラスターの本質であるアモルフ(無定形態)に接近して使われている。ここに現れる音列や半音階、バルトーク作品からの引用、2曲の関係性など、日本現代音楽協会『NEW COMPOSER』Vol.12とVol.13に載せた、これらの分析に沿って、話を進めたい。

※『NEW COMPOSER Vol.12』をお持ちの方はご持参ください。当日会場で販売も行います。

 

電話で参加予約 ⇒ 03-3446-3506

E-mailで参加予約 ⇒ gen-on1930(a)jscm.net

Facebookページで参加予約

競楽XII本選出場者紹介〜安曽絢香(ピアノ)

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▼本選演奏曲
Gyorgy LIGETI/ピアノ練習曲集 第1巻(1985)より
2. Cordes a vide / 3. Touches bloquees / 4. Fanfares / 5. Arc-en-ciel
Gyorgy LIGETI/ピアノ練習曲集 第2巻(1988-94)より
8. Fern / 13. L’escalier du diable

 

「現代音楽」と聞くと、へんなもの、妙なもの、と感じられることが多いかもしれません。

実際、間違ってもわからない、ぐちゃぐちゃと言われる事が多いのも確かです。ですが、そこに美しい音、音楽、その楽器、その楽曲のもつ素敵な音、魅力がたくさん詰まっていると感じています。そこに時代やジャンルの垣根はないと思っています。

私はこの音の響きがとってもステキ、この音の動きが大好き、と思いながら演奏しています。書いてある音の1つ1つに常に真摯に向き合い、演奏できればと思っています。

本選ではリゲティのエチュードより取り上げますが、音が運ぶ多様な美しさをピアノの声を借りて表現できればと思います。その魅力が存分に伝わりますように。

◎プロフィール

国立音楽大学附属音楽高等学校、大学を経て、同大学院修士課程修了。大学院においては、リゲティを中心に研究を行う。ピアノを長谷川香織、進藤桃子、堀田万友美、近藤伸子、恩田明香、御木本澄子の各氏に、室内楽を今井顕、三木香代の各氏に師事。ダン・タイ・ソン、ミシェル・ベロフ、トーマス・ヘルの各氏等、多くの公開レッスンを受講。現在、ソロを中心に、双子デュオ、室内楽等の演奏活動を行うと共に、後進の指導にもあたっている。

 

▼予選演奏曲
福士則夫/とぎれた記憶(2000)