競楽XIII本選出場者紹介〜白小路紗季(ヴァイオリン)

▼本選演奏曲
Jörg WIDMANN/Étude VI  “Lullaby for Salome”(2010)

競楽の本選会で演奏させて頂ける事、とても嬉しく思っています。
クラリネット奏者であるJörg WIDMANNの楽曲の多くはユーモアに溢れていて、譜面には所狭しと奏法や音楽的な指示が書き込まれています。
この度演奏させていただく《Étude VI(エチュード6番)“Lullaby for Salome”》は、主題と24個のバリエーション、エピローグから成っており、キーワードは『子守唄』『オルゴール』『赤ちゃん』。WIDMANNの姪の名前から『サロメのための子守唄』と題されたこの曲は、幼い子どもの夢の中で起こっている出来事のような、幻想的な15分間の変奏曲です。
オルゴールのネジを巻く、赤ちゃんが目を覚ます、といった場面も奏者が演奏中にできる事を最大限に生かして表現を可能にしています。
会場の皆様に楽しんで頂けるような時間になれば幸いです。

◎プロフィール
桐朋女子高等学校、東京藝術大学卒業。メニューイン国際ヴァイオリンコンクールジュニア部門入賞後、ABC新人オーディションに合格。Delirium Ensembleのヴァイオリン兼ヴィオラ奏者としてCaspar Johannes Walterを始め数多くの作曲家の作品を『ワルシャワの秋』音楽祭等で初演。べルン芸術大学特別修士課程現代音楽科在籍。石川誠子、原田幸一郎、神谷美千子、漆原朝子、Tianwa Yang、Jörg-Wolfgang Jahnの各氏に師事。

▼予選演奏曲
西村 朗/ヴァイオリン独奏のためのモノローグ(1995)
Jörg WIDMANN/Étude Ⅲ(2003)

現代音楽演奏コンクール“競楽XIII”本選会12月16日(日)代々木上原けやきホールで開催!

 

第13回現代音楽演奏コンクール“競楽XIII”本選会

2018年1216日(日)13:20開場 13:30開演|けやきホール(古賀政男音楽博物館内)

入場無料!!

 

栗山 沙桜里(ピアノ) Saori KURIYAMA
Edison DENISOV/Reflets(1989)
Einojuhani RAUTAVAARA/Piano Sonata No.2 “The Fire Sermon”(1970)

吉川 裕之(クラリネット) Hiroyuki YOSHIKAWA
Paul MÉFANO/Involutive…(1959)
湯浅 譲二/クラリネット ソリテュード(1980)

鈴木 友裕(ピアノ) Tomohiro SUZUKI
金子 仁美/ある日ピアノと(1992)
Brian FERNEYHOUGH/Lemma-Icon-Epigram(1981)

白小路 紗季(ヴァイオリン) Saki SHIROKOJI
Jörg WIDMANN/Étude VI  “Lullaby for Salome”(2010)

—休憩—

山本 昌史(コントラバス) Masashi YAMAMOTO
松平 頼曉/Replacement for Contrabass(1987)
Giorgi MAKHOSHVILI/REGREPS(2014)

佐古 季暢子(マンドリン) Kyoko SAKO
近藤 譲/早春に(1993)
野田 雅巳/旋回アレグレット(2005)

上路 実早生(ピアノ) Misaki JOJI
藤倉 大/Etude II “Deepended Arc”(1998)
鈴木 純明/白蛇、境界をわたる(2008)

土橋 庸人(ギター) Tsunehito TSUCHIHASHI
高橋 悠治/メタテーゼ第2番 (1968)
Claude VIVIER/Pour guitare(1975)

—休憩—

池永 健二(打楽器) Kenji IKENAGA
Kevin VOLANS/She Who Sleeps with a Small Blanket(1985)

前田 啓太(打楽器) Keita MAEDA
松村 禎三/ヴィブラフォンのために〜三橋鷹女の俳句によせて〜(2002)

中村 栄宏(リコーダー) Hidehiro NAKAMURA
細川 俊夫/息の歌(1997)
石井 眞木/ブラック インテンション(1975)

薬師寺 典子(ソプラノ) Noriko YAKUSHIJI
Henri POUSSEUR/Mnémosyne(1968)
Luciano BERIO/Sequenza III(1965)
日野原 秀彦/箴言集とやさいたち〜藤富保男の詞と詩による〜(2015)

 

※上記の順で演奏審査を行います。演奏順は、抽選、及び舞台転換を考慮し主催者が決定したものです。

 

聴衆賞投票受付!!
当日13:20〜13:30に配布する「投票用紙」に一番素晴らしい演奏だと感じた出場者にチェックを入れ、全演奏終了後(18:10頃)投票してください。19:00頃ホール内で結果発表と審査委員長の講評を行います

 

 

審査委員
近藤 譲(作曲家・日本現代音楽協会会長)審査委員長
浅岡寿雄(音楽プロデューサー・PMF理事)
一柳 慧(作曲家)
北爪道夫(作曲家・日本現代音楽協会理事)
佐藤紀雄(ギター奏者・指揮者)

第1位:賞状・賞金30万円
第2位:賞状・賞金10万円
第3位:賞状・賞金5万円

上記入賞者の他、入選者を数組選出します。また、聴衆の投票により「聴衆賞」を決定します。入賞者及び入選者に対し、日本現代音楽協会主催の演奏会等への出演を考慮します。

現代音楽演奏コンクール“競楽(きょうがく)”とは
国籍年齢不問、課題曲無しのセルフプロデュースコンクール。楽器の種類や編成による部門分けは無く、2〜6名の団体、または個人として参加できます。1945年以降に作曲された楽曲を参加者が自由に選曲し演奏します。演奏時間は、予選12分以内、本選は15分以上20分以内とし、時間内であれば何曲でも演奏出来ます。予選・本選を通じ、少なくとも1曲は邦人作品を含むものとします。予選で演奏した曲を本選で演奏することは出来ません。

 

お問合せ 日本現代音楽協会
Tel: 03-6417-0393 E-mail: kyougaku13(a)jscm.net Web: www.jscm.net

 

◎主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
◎助成:一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
現代音楽演奏コンクール“競楽XIII”は、公益財団法人稲盛財団の支援を受けて開催するものです。

競楽XIII本選出場者紹介〜鈴木友裕(ピアノ)

▼本選演奏曲
金子 仁美/ある日ピアノと(1992)
Brian FERNEYHOUGH/Lemma-Icon-Epigram(1981)

この度は、本選にて演奏する機会を頂き、大変嬉しく思っております。本選では2作品演奏させて頂きます。
1曲目は私の作曲の師である金子仁美先生の《Un jour avec le piano(ある日ピアノと)》です。12分平均律で調律されている、つまり弦楽器のように自由に微分音を操ることができないというピアノの特性からヒントを得て作曲されました。作曲行為をしてみて初めて感じるピアノという楽器の窮屈さ、また、ピアノと作曲者との関係性が、どこか自分自身と重なるような気がします。
2曲目はBrian FERNEYHOUGH作曲の《Lemma-Icon-Epigram》です。密度の濃い伸縮性のある時間が、野生的な息の上で繰り広げられ、様々な色彩を伴った輝きとなって表れます。
人間にしかできない表現を、客席の皆様に向けたメッセージとしてお届けできればと思っております。

◎プロフィール
1995年、神奈川県生まれ。10歳よりピアノ、18歳より作曲を始める。桐朋学園大学附属子供のための音楽教室を経て、桐朋学園大学作曲専攻卒業。同研究科作曲専攻1年在籍。大学主催のStudents’ Concert、ピアノ専攻卒業演奏会に出演。高橋アキ、Ueli Wiget各氏の公開レッスンを受講。作曲を金子仁美、福士則夫、ピアノを廻由美子、室内楽を石島正博、廻由美子の各氏に師事。

▼予選演奏曲
Luciano BERIO/Sequenaza Ⅳ(1965)

競楽XIII本選出場者紹介〜吉川裕之(クラリネット)

▼本選演奏曲
Paul MÉFANO/Involutive…(1959)
湯浅 譲二/クラリネット ソリテュード(1980)

この度は競楽の本選で演奏する機会をいただき、大変嬉しく思います。無伴奏クラリネットの音楽の魅力をお伝えできたらと思います。
Paul MÉFANO作曲の《Involutive…》は、フラッター奏法の扱いが特徴的な作品です。通常暴力的になりがちなフラッター奏法を弱音から様々な使い方をしていて、よりコントラストの激しい音楽を作り出しています。また作品全体を通して弱音が多用された、繊細な作品になっています。
湯浅譲二作曲の《Clarinet Solitude》は、こちらは重音が特徴的な作品です。きれいなハーモニーが鳴る重音もあれば、刺激的な音がする重音もあり、それらが効果的に使われている、クラリネットの可能性を追求した作品になっています。
どちらも繊細な作品です。この2作品の魅力と共に、繊細かつダイナミックな、クラリネットの魅力もお伝えできたらと思います。

◎プロフィール
高校卒業後に渡仏。フランス国立リュエイユ=マルメゾン音楽院クラリネット科を卒業後、フランス国立オーベルヴィリエ・ラクールヌーヴ音楽院バスクラリネット科、室内楽科を卒業。これまでにクラリネットを松本健司、伊藤寛隆、エマニュエル・ヌヴー、ミシェル・アリニョン、フローラン・エオー、アラン・ダミアン、ヴァレリー・ゲルーの各氏に師事。2002年欧日音楽講座にて奨励賞を受賞。2007年UFAM国際音楽コンクールにて2位受賞。

▼予選演奏曲
Edison DENISSOW/Sonata for Clarinet(1972)

競楽XIII本選出場者紹介〜栗山沙桜里(ピアノ)

▼本選演奏曲
Edison DENISOV/Reflets(1989)
Einojuhani RAUTAVAARA/Piano Sonata No.2 “The Fire Sermon”(1970)

現代音楽に出会ってからいずれは出場をと思っていた競楽で、本選で演奏できる機会をいただけた事をとても嬉しく、また光栄に思っています。
1曲目はロシアの作曲家、Denisovの《Reflet》。様々なモチーフが、暗い水底から空を見上げた時に降り注いでくる光の様に色々な表情を見せ絡まりあいながら進行していきます。この作品の完成は1989年。ソ連崩壊目前の時代です。行き詰まる祖国で彼が降り注ぐ光のその先に見ていたのは果たして希望か絶望か。
2曲目はフィンランドの作曲家、Rautavaaraの作品から《ピアノソナタ第2番 The Fire Sermon(火の説法)》。釈迦による火の説法に触発された同名の詩がT. S. エリオットの“荒地”という長編詩の中にあります。しかし、Rautavaaraはこれとは意識的な繋がりはなく、良いものが崩壊し何か悪しきものが勢力を増していく構図と語っています。時代は1970年。“プラハの春”から2年後、揺れ始めた東欧に東西衝突への不安と不穏な空気が広がり出した世相を写したのでしょうか。
音楽とはその人自身の鏡ですが、同時に時代の鏡でもあります。故に、現代音楽は今を生きる私たちに、より直接的に語りかけてくるのではないかと思うのです。二人の作曲家の想いを皆様にお届けできればと思います。

◎プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科、同大学を経てパリ国立高等音楽院に進学し、修士課程を首席で卒業する。その後エコールノルマル音楽院にて1年間現代音楽の研鑽を積む。現代音楽ピアノ国際コンクール(パリ)でグランプリ及びサラベール賞を受賞。その他国内外での受賞歴多数。室内楽フェスティバル(モントリオール)で現代曲プログラムを演奏。その他フランス、日本など各地での演奏会でも積極的に現代曲を取り入れている。ピアノを今川早智子、中村順子、有賀和子、Jacques Rouvier、Hortense Cartier-Bresson、Claire Désert各氏に、現代音楽をFrançoise Thinat氏、室内楽をMichaël Hentz氏に師事。

▼予選演奏曲
佐原洸/Buffer-groove(2017-8)
Pascal DUSAPIN/Étude pour piano N° 4 “Mikado”(1998-9)