日本音楽コンクール委員会への文書再送付(2019年6月17日付)

2019年5月26日付で日本現代音楽協会が日本音楽コンクール委員会に対し送付した「抗議文」に対し、6月13日付で日本音楽コンクール事務局より下記の文書が届きました。
日本現代音楽協会は、再度日本音楽コンクール委員会に対し、以下の文書を送付いたしました。

 

2019年6月17日

日本音楽コンクール委員会 御中

特定非営利活動法人
日本現代音楽協会
理事長 近藤 讓

再度の抗議

昨年11月26日付でお送りいたしました「再回答のお願い」に対するご回答(6 月13 日付)をいただきました。しかしそのご回答では、「昨年10月30日付で回答させていただいた内容がすべてです」とのみ述べられております。本協会が「再回答のお願い」を申し上げたのは、貴コンクールからの昨年10月30日付のご回答の内容が実質的に回答拒否としか受け取れ得ないものであったからでした。しかし、今回いただいたご回答も、以前と同じ文言の繰り返しに過ぎません。
当協会が「再回答のお願い」をお送りしてから6か月以上もの長い時を経て、しかも、ご回答をいただけないことに対する本協会からの抗議(5月26日付)を受けてようやく為された今回のご回答に於いても、当方の真摯な質問と要望を単に無視して、実質的に回答拒否の姿勢を再度お示しになったことは、まことに遺憾です。
更に、今回のご回答も、以前同様、日本音楽コンクール委員会によってではなく、「職掌上」という理由を付してコンクール事務局によって為されています。貴コンクールの規約によれば、コンクールの運営は「日本音楽コンクール委員会」が行い(コンクール規約第3条)、そして、事務局はコンクールの実施のために置かれているものです(同第4条)。これらの条文から、コンクール運営の責任主体がコンクール委員会であることは明白です。本協会からの「質問と要望」及び「抗議」の内容は、正にコンクールの運営に関わることであって、コンクール実施業務についてではありませんので、運営の責任主体であるコンクール委員会にご回答をお願いした次第です。しかし、ご回答は、今回も再び事務局からのものでした。
コンクール運営の根幹に関わるような質問と要望に対して、運営の責任主体であるコンクール委員会が直接ご回答なさらずに、敢えて事務局が回答をなさるのは、どういう理由からでしょうか。運営の根幹に関わるような問題についてのコンクール委員会の意思を代理で伝えることが、事務局の職掌であるコンクール実施業務に属するものであるとは考えられません。つまり、コンクール委員会が回答の責任を避けておられると受けとらざるを得ないのです。(一方、仮に、事務局がその本来の職掌の一部としてご回答をなさっておいでなのでしたら、それは、実質的に事務局がコンクール運営の責任を担っておられるということを意味することになります。そして、その場合には、貴コンクールが、コンクール規約に基づいて公正に運営されていないのではないかという重大な疑念を生むことにもなりかねないでしょう。)
貴コンクールは、コンクールの重要な教育的機能を損ねるような変更と規模の縮小を、作曲部門のみに於いて実行なさいました。その理由を問う本協会からの質問抗議に対して、貴コンクール委員会は、コンクール運営の責任主体をはぐらかし、実質的に回答を拒む姿勢をとり続けておいでです。もし、責任ある立場の方が納得のいく理由の説明を行いたくないのであれば、貴コンクールがお取りになった措置は、作曲に対するいわれのない軽視であり差別であると言わざるを得ません。音楽文化の向上への寄与を謳う貴コンクールが、作曲を軽視し、貴コンクールのそうした姿勢に抗議する本協会の声を蔑ろにして無視し続けておられることは、単に本協会のみに止まらず日本の作曲界全体への侮辱でしかありません。日本における主要な作曲家団体の一つとして、本協会は、強い憤りをもって、ここに改めて抗議いたします。

以上

日本現代音楽協会「公募リサイタル」審査結果について

日本現代音楽協会は、現代音楽の上演に積極的な演奏家を支援すべく、〈現音 Music of Our Time 2019〉音楽祭の中で演奏家自身が企画・出演するリサイタルを「公募リサイタル」として募集していました。
5月19日協会事務局において、佐藤昌弘(審査員長)、赤石直哉、北爪道夫、渡辺俊哉各理事が、オブザーバーの近藤譲理事長の立ち合いの下で、応募全32企画の審査を行いました。
当初は2企画を選出する予定でしたが、予想を上回る応募に加え、非常に優れた内容が多いことから、さらに1企画を加え、全3公演を音楽祭において開催することとなりました。選出された公演は、以下の通りです。(なお、下記プログラムでの作曲者名と曲名については、応募者による表記をそのまま用いています。)
審査にあたり、1)原則的に1945年以降に作曲された作品であること、2)3分の1以上が日本人作品であること、3)世界初演または日本初演を含むこと、という募集条件に加え、優れた演奏技能と演奏表現力を有しており、かつ、企画のコンセプトとプログラミングの創造性、独自性の豊かさ、そして、一夜の演奏会としてのまとまりを十分に備えていることを審査基準としました。
日本現代音楽協会ではこの演奏家を公募するシリーズを“ペガサス・コンサート・シリーズ”として、来年度以降も〈現音 Music of Our Time〉音楽祭の中で継続開催していく予定です。

 

〈現音 Music of Our Time 2019〉2019年11月28日~12月19日

 

ペガサス・コンサート・シリーズ(公募リサイタル) Vol. I  No.1~3
後援:公益財団法人 サントリー芸術財団

 

(1) 染田真実子チェンバロ・リサイタル「たゆたう真珠」
2019年12月3日(火)19時開演予定|東京オペラシティリサイタルホール
【編成】 チェンバロ独奏(+一部エレクトロニクス)
▼演目
金子仁美 / 歯車~ギリシャ民謡によるA
増本伎共子 / 日々の移ろい
Jean-Patrik Besingrand / S’enfuient les ombres
金子仁美 / 歯車~ギリシャ民謡によるB
Giles Farnaby/Toy・Giles Farnaby’s Dream
向井響 / 美少女革命・転生(初演)
Ligeti György Sandor / Passacaglia ungherese
Jean-Henri d’Anglebert / Prelude en sol mineur
松宮圭太 / ダングルベール讃(改作日本初演)
[上記中、Ligetiの作品は中全音律、d’Anglebertはキルンベルガー調律、松宮は中全音律とキルンベルガー調律、そして他は平均律で演奏される。]

 

(2) 山田岳エレクトリック・ギター・リサイタル
「独奏楽器としてのエレクトリック・ギター そしてその可能性をめぐって」
2019年12月5日(木)19時開演予定|東京オペラシティリサイタルホール
【編成】 エレクトリック・ギター独奏
▼演目
モートン・フェルドマン/The possibility of new work for electric guitar
スティーヴ・ライヒ/エレクトリック・カウンターポイント
湯浅譲二/死者の驕り エレクトリック・ギターのためのプロジェクション
松平頼暁/オスティナーティ
山本裕之/中継のエレキギター
フォルカー・ハイン/なぜ、いま、(日本初演)
川島素晴/新作(初演)

 

(3) 佐藤淳一サクソフォン・リサイタル
「フランス・エレクトロニクス音楽の周辺」
2019年12月9日(月)19時開演予定|東京オペラシティリサイタルホール
【編成】 サクソフォン独奏+エレクトロニクス(電子技術:有馬純寿)
▼演目
坂田直樹/フィトリス I
田中カレン/ナイトバード
酒井健治/波と記憶の合間に-サイドA
クリスチャン・ロバ/クラウド〈第17 エチュード〉
アレクサンドロス・マルケアス/三つのウインク・リズム(日本初演)
ピエール・ジョドロフスキ/サミュエル・ベケットの最後の夢(日本初演)

 

なお、2019年12月5日に開催を予定しておりました「現代日本音楽の遺産 Vol. 1〈日本現代音楽の青春〉」は、ペガサス・コンサート・シリーズの公演に変更となりました。

日本音楽コンクール委員会への文書送付について

日本現代音楽協会は、2018年10月30日付で、日本音楽コンクール委員会に対し「日本音楽コンクール作曲部門の審査会に係る変更について弊協会の要望と質問への再回答のお願い」を送付しましたが、回答が得られませんでしたので、2019年5月26日付けで、日本音楽コンクール委員会に対し、以下の文書を送付いたしました。

 


 

2019年5月26日

日本音楽コンクール委員会 御中

特定非営利活動法人
日本現代音楽協会
理事長 近藤 讓

抗議文

昨年度からの貴コンクールにおける作曲部門の実質的な縮小に関して、本協会は昨年5月5日付で、貴委員会に質問と要望を差し上げましたことは、ご承知の通りです。それに対して、半年近く後の10月30日に、ようやく貴コンクール事務局からご回答をいただきました。
しかし、ご回答の内容は、当方が提示した貴コンクール作曲部門の諸変更の理由についての疑問に関しては何一つとして答えておらず、実質的に回答拒否と受け取らざるを得ないものでした。それを受けて、本協会から再度、11月26日付で再回答のお願いを差し上げましたが、その後現在に至るまで、貴委員会からは何の回答もいただいておりません。
10月30日付の貴事務局からのご回答には、貴コンクールが「音楽文化の向上に寄与することを目的として」いることをコンクール規約から引用したうえで、「今回の作曲部門の審査・選出方法の変更もこの趣旨に沿うものであり、詳細についてはご指摘の毎日新聞紙面[2018年3月6日東京版夕刊掲載の梅津時比古氏による署名記事]でお伝えしたことがすべてです」とありました。本協会からの要望と質問は、作曲部門の審査・選出方法の変更(特に、本選における演奏審査の廃止)が、コンクールの教育的意義を大きく損なうものであり、それが、貴コンクールが目的として謳う「音楽文化の向上」をむしろ妨げることになることを指摘して、善処を求めたものです。そして更に、その変更に関して、毎日新聞紙面で梅津時比古氏が述べられた理由説明が、まったく非論理的なものであることを指摘し、納得できる理由をお示し下さるようにお願いいたしましたが、それらのいずれにつきましても、きちんとしたご回答をいただくことができないまま現在に至っております。
昨年度からのコンクール作曲部門の審査・選出方法の変更は、実質的に、作曲部門の縮小を意味しています。そのことは、本選演奏会の取り止め、そして、審査委員の人数の大幅削減からも明らかです。しかもそうした縮小は、コンクールの他の部門においては行われず、作曲部門だけを対象としたものでした。もしそうした変更が、公に示し得る論理的な理由もなしに実施されたとすれば、それは、単に「音楽文化の向上に寄与する」という目的を裏切るものであるばかりか、作曲部門の軽視、ひいては、作曲というものに対する差別であると言わざるを得ません。
当然のことながら、音楽コンクールという公的事業を実施しておられる機関には、その事業に関して、公的な説明責任があります。ましてや、貴コンクールは、毎日新聞と日本放送協会という、日本のジャーナリズムを代表する組織の主催で行われています。公的責任の重要性を深く認識しておいでであるはずのジャーナリズムが主催する事業において、説明責任を果たせない事態が生じているとすれば、それは社会的に由々しき事態です。
本協会の真摯な要望と質問に対して、貴委員会は、これまでひたすら沈黙を守ってきました。10月30日付のご回答も、コンクールの運営組織である委員会からではなく、事務局から、謂わば、代理回答の形で為されたものでした。当方の要望から半年近くも経てからようやく為されたその回答に於いても、コンクール運営に責任をお持ちの委員会及びその代表者である委員長は、責任ある立場から回答することを避け、そして更に、当方からの再回答のお願いについては、再び半年近くを経た現在まで、無視する姿勢を貫いておいでです。こうした姿勢は、極めて無責任であり、糾弾されてしかるべきものです。
本協会は、日本における主要な作曲家団体の一つであり、「音楽文化の向上」を共に願い、それを目指して活動を展開しております。そうした団体からの真摯な要望と質問を単に無視して、説明責任を果たさず、いたずらに時間を費やすことによって問題を曖昧なまま風化させて片付けようとする貴委員会の姿勢には、強い憤りを感じざるを得ません。
貴委員会は、主催者である毎日新聞社及び日本放送協会の知見豊かな社員と、日本を代表する優れた音楽家の諸賢によって構成されていると理解しておりますが、それらの方々が、敢えて作曲に対して、理由を公に説明することもできないような不当な差別と軽視を支持なさり、実行して、それによって「音楽文化の向上」が図られるとお考えになられたことは誠に遺憾であり、本協会としてはここに強く抗議するものです。

日本現代音楽協会2019年度事業予定

日本現代音楽協会2019年度事業予定

事業部長:佐藤昌弘

日本現代音楽協会ではこれまで、年度内に〈現音・秋の音楽展〉〈現代の音楽展〉という2シーズンの演奏会シリーズを開催してまいりましたが、2019年度より〈現音 Music of Our Time〉と銘打ち、一つの音楽祭として数公演を集中開催することとなりました。

■現音 Music of Our Time 2019(全7公演)
[1]フォーラム・コンサート第1夜 2019年11月28日(木)
[2]フォーラム・コンサート第2夜 2019年11月29日(金)
[3]現音・音楽づくりワークショップVol.6 “声”のさまざまな可能性にチャレンジ!(仮)
2019年11月30日(土)
[4]公募リサイタル(1) 2019年12月3日(火)
[5]公募リサイタル(2) 2019年12月5日(木)
[6]公募リサイタル(3) 2019年12月9日(月)
[7]第36回現音作曲新人賞本選会 2019年12月18日(水)
【会場】[3]以外=東京オペラシティリサイタルホール/[3]東京音楽大学

二夜にわたる[1][2]「フォーラム・コンサート」は現音会員の自由出品をプログラムとする演奏会です。

[3]「現音・音楽づくりワークショップVol.6 ~“声”のさまざまな可能性にチャレンジ!」では、現代音楽の代表的な声楽作品と唱法についてのレクチャー・演奏と、“声”をテーマとした音楽づくりワークショップを実践します。

[4]〜[6]「公募リサイタル」は、現代音楽のレパートリーに積極的な演奏家を支援する新企画です。当協会主催公演にて自身のリサイタルを企画・出演する演奏家を広く募ります。詳しくは募集要項をご覧下さい。

[6]「第36回現音作曲新人賞本選会」は、当協会事務局長の渡辺俊哉会員が審査員長・プロデューサーを務めます。音楽における「新しさ」をテーマとし、演奏会の第1部では今、現在の新しさの表現として作曲コンクール「現音作曲新人賞」の入選作を、第2部では全く対照的な二人の作曲家 H.ラッヘンマンとM.フェルドマンの作品を取り上げ、新しさや価値観の多様性を提示するとともに、聴き手に音楽の“聴取の多様性”ということについて問いかけることを企図しています。

2019年度の当協会音楽祭〈現音 Music of Our Time 2019〉にどうぞご期待下さい。

 

 

※企画内容は2018年12月現在のものであり、変更となる場合があります。

特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)

日本現代音楽協会は、2019年4月4日(木)に特定非営利活動法人となりました。
これに伴い「会長」が「理事長」、「副会長」が「副理事長」、「会計監査役」が「監事」となりました。
役員、会員一覧はこちらをご覧ください。

 

特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)

▼住所
〒141-0031
東京都品川区西五反田7-19-6-2F

▼電話番号
03-6417-0393

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03-6417-0394

開局時間:月〜金10〜17時(祝祭日除く)