▼本選演奏曲
藤倉 大/Calling(2011)
坂東 祐大/Transform and Deforme(2014)
ソムリエに「ワインは渋い」と言う人はあまりいないと思う。「コーヒーは苦い」「スポーツは疲れる」などと言う人はそれらを知らないだろうし、別にそれらの魅力を知らなくてもよいと思っているでしょう。
同じように「現代音楽って難しい」と考える人もいます。
しかし、今まさに目の前でなにかが起きて一瞬で消えようというのですから、それらをとらえるためには、あらゆるものに対してオープンであるのが良いでしょう。
知識や習慣は時に妨げになります。「これは素晴らしい」と言われてもその言葉以上の魅力を感じないこともあれば、「あれには特別な意味がないんだよ」と言われても何かを与えてくれることもある。古典派の名作はわかったフリをしている人にとっても名作ですし、巨匠の真似事をする人がいれば、それに涙する人もいる。
これの意味はなんでしょう。
もし低い技術と定着した習慣によって可能性が広がらないのであれば、それは打破すべきです。すべてのことが許されて、すべてが可能です。
◎プロフィール
京都市立芸術大学卒業、パリ地方音楽院修了。ルッツェルン音楽祭アンサンブルのファゴット奏者としてヨーロッパ諸国での初演、京都市立芸術大学・パリ国立高等音楽院での特殊奏法のレクチャーなど現代音楽での活動に力を入れる。2014年度、京都市芸術文化特別奨励賞者。
▼予選演奏曲
坂田直樹/Antenna(2012)