第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”本選会
2020年12月13日(日)11:10開場 11:15開演|けやきホール(代々木上原)
——結果発表——
第1位 谷口 知聡(ピアノ)
第2位 山口 芽依(打楽器)
第3位 神原 颯大(ピアノ)
▼入選(本選演奏順)
Duo TOPOS(ピアノ四手)
中山 美輝(打楽器)
齋藤 里菜(マリンバ)
▼審査委員特別奨励賞
Duo TOPOS(ピアノ四手)
▼以下演奏順。全13組。2組毎に休憩約20分。聴衆賞の実施は見送ります。
▼本選演奏曲
向井響/Mechanische Huid II(2020)
Moritz EGGERT/Außer Atem(1994)
リコーダーという楽器で、音楽の異種格闘技戦ともいえる“競楽”本選の舞台に再び立つことが出来て、幸甚に存じます。リコーダーというと、多くの方は小学校で使われる教育楽器、古楽がお好きな方は17~18世紀に活躍した楽器というイメージをお持ちかと思います。
向井響さんの作品をアムステルダムの音楽祭で初演させていただいたことをきっかけに、作曲家と作品を一緒に作り上げる、という貴重な体験をさせていただきました。予選で演奏した《Vozes proibidas》、本選の1曲目で演奏する《Mechanische Huid II》はどちらもエレクトロニクスがついた作品で、この楽器のもつ限界に挑戦しながらも、これからのリコーダー現代作品において大きな可能性を指し示した作品になりました。本選2曲目の《Außer Atem》は難曲ながらもジャーマンユーモアにあふれた作品で、向井作品とは異なる方向の新しい可能性を示した人気のある作品です。
この楽器の知られざる可能性を引き出したとっておきの2曲、どうか楽しんでいただけますように!
◎プロフィール
三重県桑名市出身。東京理科大学大学院工学研究科電気工学専攻修了。リコーダーの経歴を生かしソフトバンク株式会社にエンジニアとして入社後、音楽家へ転向のため退社。岡田文化財団、三重県の助成を受け、オランダ・アムステルダム音楽院リコーダー専攻を栄誉賞付き満点首席で卒業。現在、同大学院に在学中。リコーダーをE.ボスグラーフ、J.イザック、W.v.ハウヴェ 、日置美知代、吉澤実の各氏に師事。音楽理論を土田京子氏に師事。
▼予選演奏曲
Luciano BERIO/Gesti(1965)
向井響/Vozes proibidas for sopranino recordoeor and radio(2020)
中村斉/バスリコーダーのためのムーブメント(1993)
▼本選演奏曲
Wolfgang RIHM/Klavierstück Nr.3 für zwei Spieler op.8c(1971)
渡辺俊哉/透かし織り openwork for 4 hands(2012)
この度、競楽の本選に出場できますことを大変光栄に思います。私共夫婦は、 2015年3月に連弾ユニット“Duo TOPOS”を結成しました。トポスはギリシア語で場所という意味ですが、私たちはこの言葉に以下のような思いを込めました。
音楽を演奏するとき、私たちは個々の音を生みだすだけでなく、音と音とのあいだにある無音の沈黙の間(ま)をも生み出します。そして、この沈黙の空間、場所 (トポス)において音楽に生命が吹き込まれます。この生命の原理は、連弾においては、二人の演奏者の間(あいだ)をひとつに統合する原理としても働いています。また、音には色彩がありますが、音と音との間(あわい)にはより精妙な色彩があります。
今回演奏させて頂きます二つの作品を通じて、この生命のトポスを少しでもお伝え出来れば幸いに存じます。
◎プロフィール
北海道教育大学大学院修士課程修了(寺長根ミカ)、北海道大学大学院医学研究科博士課程修了(瀧山晃弘)。第3回寝屋川市アルカスピアノコンクール、第7回三善晃ピアノコンクール、第2回パン・パシフィック現代音楽コンクールにて第1 位。第21回ピエトロ・アルジェント国際音楽コンクール(伊)第2位。第28回IBLA GRAND PRIZE国際音楽コンクール(伊)Outstanding Musicians Award並び にデニソフ賞等国内外のコンクールにて多数入賞。コンサート等を通じて魅力溢れる現代音楽作品を紹介している。
▼予選演奏曲
Edison DENISSOW/Drei Stücke für Klavier zu vier Händen Ⅰ,Ⅲ(1967)
▼本選演奏曲
山根明季子/Poppi Cue Popper Key for percussion(2012)
稲谷祐亮/《dia-Monolog/mono-Dialog》自問、渦渦渦. . . for Cajon solo(2018)
この度、“競楽”本選で演奏させていただける機会を頂き、大変光栄です。
今年の7月からプラスチック製買物袋の有料化が始まりました。袋こそ手にする機会は減りましたが、安くて便利なプラスチック製品は日常にたくさん溢れています。
山根氏の作品では、そんなプラスチックたちのかわいくて、拙くて、どこか虚しい音に、耳を澄ませます。
赤ちゃんが元気によちよち歩きをするような2ビートの行進曲に乗せて、大量生産品を演奏するという“キッチュな違和感”をお楽しみください。
稲谷氏の作品は、昨年委嘱初演をさせていただきました。
「本当の自分と、何かに耐えるために作り出したもう一人の自分。もう一人の自分でいるうちに本来の自分との間に矛盾が生まれ、どちらが本当の自分だったのか曖昧になって分からなくなる」このような感覚を演奏者の個と作曲者の個をグラデーションさせることで比喩された作品です。
自分の中の自分の全てが一つになるにはどうしたら良いか、延々と無限にループするその苦悩と浄化を感じていただければと思います。
発展途上の今の私だからこそできる、精一杯の表現を。
◎プロフィール
京都市立芸術大学音楽学部卒業。卒業演奏会に出演。相愛大学音楽専攻科修了。第21回KOBE国際音楽コンクール打楽器C部門優秀賞。平成27年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。小澤征爾音楽塾生としてオペラ・プロジェクトXIV、セイジ・オザワ松本フェスティバルに参加。いずみシンフォニエッタ大阪に2017年より参加。2019年に自身初のソロリサイタルを開催。現在は、関西をはじめとするプロオーケストラへの客演を主な活動としている。伊藤朱美子、山本毅、小森邦彦、堀内吉昌、布谷史人、クツノユキヒデ、中谷満、宮本妥子の各氏に師事。
▼予選演奏曲
小出稚子/打楽器のための 花街ギミック(2018)
▼本選演奏曲
末吉保雄/マリンバのための ミラージュ(1971)
Paul FOWLER/Michiyuki for 5-octave marimba(2002)
コロナ禍においてこれまでのような演奏会もままならなくなってしまった今年、先日の競楽予選は私にとって久々に皆様に演奏をお聴きいただける場でした。
今回、本選にて再び演奏する機会を頂き、心より嬉しく、また光栄に存じます。
1曲目に演奏するのは《マリンバのためのミラージュ》。世界的マリンバ奏者である安倍圭子氏のために書かれた作品であり、マリンバ奏者にとって欠かせないレパートリーの一つとして世界中で広く愛されています。
2曲目の《Michiyuki for 5-octave marimba》は近松門左衛門による文楽『曽根崎心中』の名場面「道行」を描いた作品です。大坂を舞台に繰り広げられる、商人・徳兵衛と遊女・お初の美しくも哀しい恋物語。その結末となるシーンを、マリンバの様々な音色と共に演じます。二人の行く末をどうぞ最後まで見届け、聴き届けてください。
◎プロフィール原稿
東京音楽大学卒業、同大学院修士課程修了。テレビ番組『24時間テレビ41愛は地球を救う』内のオーケストラ企画にて、打楽器パートの指導にあたる。第21回KOBE国際音楽コンクール 打楽器C部門 奨励賞。日本打楽器協会主催 第34回打楽器新人演奏会 優秀賞、審査員特別賞。これまでに、高橋まきの、菅原淳、神谷百子の各氏に師事。現在、東京音楽大学大学院科目等履修生に在籍。同大学教職課程講師、同大学付属高等学校吹奏楽指導助手。
▼予選演奏曲
福士則夫/樹霊 ソロ・パーカッションのための
▼本選演奏曲
Christpher DEANE/Mourning Dove Sonnet(1983)
福士則夫/ソロ・パーカッションのための グラウンド(1976)
私は高校時代、打楽器の独奏曲が大好きで積極的に勉強してきました。しかし、恥ずかしながら拍がない曲、譜面が複雑な曲(現代的な奏法や譜法を用いた作品)は毛嫌いしていました。その後、私が入学した武蔵野音楽大学は、当時は仏子山にある校舎で全学年集まっており、先輩方が練習している打楽器の独奏曲があちこち飛び交い、打楽器の演奏を聞く機会も沢山ありました。その環境もあり、現代曲がたまらなく好きになり、その魅力を多くの方に届ける事が今の私の演奏活動の目標となっています。
《嘆きバトのソネット》は、美しい鳴き声のハト科のナゲキバトをヴィブラフォンのポルタメント奏法で再現しています。さらにヴィブラフォンの現代奏法(弓を使う,フラジオ奏法など)がふんだんに使われており、作曲者ディーンのヴィブラフォンには多様な奏法があり、その魅力を伝えたいという思いが込められています。
《ソロ・パーカッションのためのグラウンド》は、作曲当時、委嘱した吉原すみれ氏が所有していた特徴的な楽器やおもちゃを面白おかしく取り入れており、作曲者福士則夫氏の陽気だけど音楽に対して繊細な性格がこの曲を通して感じることができます。
「5」が曲全体を通してテーマとなっており、突如現れたり隠れていたりしている「5」つの連打が散りばめられています。
◎プロフィール
埼玉県立芸術総合高等学校音楽科卒業。武蔵野音楽大学ヴィルトゥオーソ学科卒業。第34回日本管打楽器コンクールパーカッション部門第3位受賞。第22回松方ホール音楽賞選考会打楽器部門音楽賞受賞。大学4年次(2019年)、東京国際音楽協会助成による山口芽依パーカッション&ヴィブラフォンソロリサイタルを開催。現在、武蔵野音楽大学別科在籍。打楽器を秋田円美、吉原すみれ、ラテンパーカッションをカルロス菅野、山北健一、ジャズヴィブラフォンを山本玲子の各氏に師事。
▼予選演奏曲
Karlheinz STOCKHAUSEN/Zyklus(1959)
▼本選演奏曲
陳銀淑/ピアノエチュード第1番「ハ調」(1999)
陳銀淑/ピアノエチュード第5番「トッカータ」(2003)
西村朗/オパール 光のソナタ(1998)
初めてこのコンクールを聴きに来たのは四年前のことです。多くの演奏家の作品へのストイックな向き合い方に感動し、私もいつか出場してみたいと思っていました。そして、今回このように競楽の本選に出場することができることを大変嬉しく思っています。 学生時代に多くの同年代の作曲家に出会い、その作品を聴いたり、演奏家としても度々初演に立ち会わせていただきました。彼等と作品について直接話し合いながら音楽作りをしていく中で、多くの喜びや学びを感じ、その世界に夢中になっていきました。 私は手紙を書くのが好きですが、楽譜の中の音符一つひとつも文字のように作曲家の手紙として感じられ、それを伝えていけるような演奏家になりたいです。
今回演奏する陳銀淑の《エチュード》は、その技巧性と研ぎ澄まされた音に魅了され、ずっと弾きたいと思って憧れていた曲です。《オパール光のソナタ》は、その名の通り宝石がキラキラと光り輝く様子を、私の中にある最大限多くの音色を使って表現したいと思います。
◎プロフィール
国立音楽大学演奏学科を経て、同大学院修士課程を修了。第17回日本演奏家コンクール大学生の部第1位受賞。在学中に、大学の推薦により練木繁夫特別公開レッスン、細川俊夫公開講座 演奏ワークショップを受講。現代音楽セミナー「秋吉台の夏2018」ピアノコース修了。これまでにピアノを遠藤陽子、宮下ゆかり、中村和枝、三木香代の各氏、作曲・作曲理論を山口博史、藤井喬梓、今村央子の各氏に師事。現代音楽ピアニスト集団「ピアノのアトリエ」所属。
▼予選演奏曲
Luciano BERIO/ラウンズ(1965)
湯浅譲二/オン・ザ・キーボード(1972)
▼本選演奏曲
Karlheinz STOCKHAUSEN/Zyklus für einen Schlagzeuger(1959)
今回演奏する《Zyklus für einen Schlagzeuger》はドイツの作曲家K.シュトックハウゼンが残した、打楽器ソロの中では最も初期の作品です。
その楽譜はリングで綴じられており、演奏し始める場所、楽譜を読む向きは奏者に任されています。奏者は、皮、金属、木の素材から成り立つセットを一周し、開始した音で演奏を終わります。また、作者の提示した要素から音を選択し、順序を決定するのも奏者の役割です。
一方、主要な楽器の登場頻度、グリッサンドの音程幅、構造の曖昧さに至るまでが一曲を通して増大、減少しており、全てが円環(=zyklus)という明確な秩序で保たれています。
作者はこの曲を通して、確定的な意図と不確定な意図を結び合わせようと試みたのです。
今回私は作者に認められた最大の長さで演奏致します。たくさんの打楽器から生み出される1つ1つの音色に耳を傾け、あらゆる要素、質感を感じ取っていただけたら嬉しいです。
◎プロフィール
千葉県柏市出身。幼少の頃から打楽器、ピアノを始める。小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVIに参加。Dropout Jazz Orchestra リーダー。打楽器を竹島悟史、藤本隆文の各氏に師事。東京藝術大学打楽器科4年在学中。
▼予選演奏曲
北爪道夫/サイド・バイ・サイド 打楽器ソロのための(1989)
▼本選演奏曲
間宮芳生:ピアノ:ソナタ第2番(1973)
この度は競楽の本選で演奏できる機会をいただけた事をとても嬉しく、また光栄に思っております。
僕が初めて現代音楽に触れたのは今から11年前の12月、間宮芳生の傘寿祝賀のコンサートでした。まだ小学生でしたが、エネルギーに満ちた新しい宇宙を目の当たりにしたときの高揚感は未だに忘れられません。
とりわけ印象に残ったのが、今回演奏させていただく《ピアノ・ソナタ第2番》です。
音楽からスピリチュアルな要素を解体し、より根元的な生命現象へ生まれ変わらせようとしたこの作品。意思を持った音が周りを巻き込みながら主題を形成し多層にわたって絡み合います。
ピアノや作曲を並行して勉強してきたことで得られた、作品のルーツとなる複数の音楽形態に基づいた解釈、作曲者が意図した表現に近づくための効果的な演奏法、それらに加え当時体感した純粋な感覚を忘れずに演奏できたらと思います。
お楽しみ頂けたら幸いです。
◎プロフィール
4歳よりピアノ17歳より作曲を学ぶ。東京藝術大学附属音楽高等学校ピアノ科、東京藝術大学作曲科を経て現在同大学大学院音楽研究科修士課程作曲専攻1年。これまでに30曲以上の新作初演に携わる。第6回大阪ジュニアピアノコンクール最優秀賞。シティ・オブ・大阪シンフォニアと共演。第24回彩の国・埼玉ピアノコンクール高校生部門金賞、埼玉新聞社賞。第9回ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール課題曲特別賞。第20回日本演奏家コンクール大学生部門第2位。現在作曲を小鍛冶邦隆氏、ピアノを中井正子氏、松山元氏に師事。
▼予選演奏曲
William BOLCOM/12 Etudes for Pianoより
Book I 1.Fast, furious(1977)
Book II 5.Butterflies, hummingbirds(1980)
Book IV 10.Vers le silence(1986)
Book IV 11.Hi-jinks(1986)
▼本選演奏曲
Kevin VOLANS/She Who Sleeps With A Small Blanket(1985)
川島素晴/Tattletale α(2019)
この度は本選での演奏する機会を頂き、大変嬉しく思っております。
本選では2作品を演奏させて頂きます。
Kevin Volans作曲の《She Who Sleeps with a Small Blancket》はボンゴ、コンガ、フットの太鼓群とマリンバといった非常にシンプルな楽器構成となっています。しかしながら曲中では様々な情景が移り変わり、音の遠近感や、多用される連符が特徴的な楽曲です。
2曲目は川島素晴氏作曲の《Tattletale》です。この作品は、元々ピアノと打楽器が融合した曲の委嘱を依頼した際に、さらにヴィブラフォン版も作っていただき完成したものです。ヴィブラフォン版がα、ピアノ版がβとなっています。今回はヴィブラフォン版を演奏いたします。題名には「亀尾」をそれぞれ英語にした「タートルテール」に、同じ発音で別単語の《Tattletale》(おしゃべり)があてられています。様々な打楽器とヴィブラフォンの音型を同時演奏でリンクさせつつ、饒舌に楽想が転換されていく様子を楽しんでいただければと思います。
◎プロフィール
国立音楽大学を首席で卒業し、矢田部賞受賞。読売新人演奏会に出演。これまでにマリンバ・打楽器を加藤詢子、佐々木祥、杉山智恵子、上野信一、神谷百子の各氏に師事し研鑽を積んでいる。中国・上海で開催された、IPEA国際打楽器コンクール・マリンバ部門にて第1位並びにYAMAHA賞を受賞。第22回KOBE国際音楽コンクール大学一般部門、最優秀賞受賞。第25回日本クラシック音楽コンクール大学の部第2位(最高位)。
▼予選演奏曲
石井眞木/飛天生動III(1987)
▼本選演奏曲
Tristan Murail/Cloches d’adieu, et un sourir e… in memoriam Olivier Messiaen(1992)
権代敦彦/ピアノのための 耀く灰(2008)
この度、競楽の本選会で演奏する機会を頂きましたこと、とても嬉しく思います。
私は今回2曲演奏致します。1曲目は、フランスの作曲家 Tristan Murail の《Cloches d’adieu, et un sourir e… in memoriam Olivier Messiaen》(別離の鐘、微笑み~オリヴィエ・メシアンの追憶にです。 これは 1992年 にT.Murail の師でもあったO.Messiaen が亡くなり 、故人に対するオマージュとして書かれた短い作品です。あらゆるものに深く染み込んでいく、鐘や木々の風に揺れる音 そして祈りの声を表現できたらと思います。
2曲目は、2008 年に作曲された 権代敦彦さんの《耀く灰》です 。見てはいけない光の大爆発にはじまり、その先にある時が止まったような空間と曲を貫くCの鋭い刻みは、一瞬の光の世界を永遠に刻み続けていると感じます。この作品に出会えたことを心より感謝し 、皆様と作品の時間を共有できますことを本当に嬉しく思っております。
◎プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科を経て、現在桐朋学園大学音楽学部に在学中。ピアノを廻由美子氏に師事。これまでに、カワイ音楽振興会主催〈桐朋学園ランチタイムコンサート 2020-2021〉や銀座山野楽器主催〈銀座音大フェスティバル 2016〉などに出演。また、2016 年 JML主催日独青少年交流コンサートに出演、翌年 Jugent musiziertよりドイツに招待され、ドイツ各地で演奏する。2018年には同演奏会及びその他東京と横浜で行われた演奏会で、ドイツの演奏家と共演。これまでに室内楽を堤剛氏と松谷園子氏に師事した他、Pascal Devoyon氏、Sébastien Vichard氏のレッスンを受ける。
▼予選演奏曲
György LIGETI/ピアノ練習曲集第2巻より
8.金属(1989)
13.悪魔の階段(1993)
▼本選演奏曲
Michael TAYLOR/Rhapsody for Vibraphone and Marimba(2012)
水野修孝/日本大ダイコとティムパニーのための〈鼓動〉(1983)
デュオは最近あまり聞かなかったので難しいかな〜と思っていたのですが、本選に出られて本当に嬉しいです。
今回本選で演奏する曲はあまり同時には演奏される機会の無い曲をチョイスしてみました。
《Rhapsody for Vibraphone and Marimba》はクラシックやタンゴといったさまざまな要素を含んだ楽しい曲です。デュオですが、いろんな声部が同時進行しており、聴いている人を飽きさせない作りが魅力的でした。
《日本和太鼓とティンパニのための〈鼓動〉》はティンパニと和太鼓のデュオで、こういった主役級の楽器が2つ並ぶとよくバトルと表現されるのですが、今回は共闘、共鳴を目指していきたいです。
久しぶりに大きな音を出せる幸せを感じながら精一杯演奏したいと思います。
◎プロフィール
永野雅晴、永野仁美によるパーカッションデュオ。2017年に結成し、のちに夫婦となる。グループの名前が決まらずにうだうだしていて、ふとした事で「鶴と亀だったらどっち派か」という会話から、2人とも亀派だったのでカメハになった。最初の演奏会以来表立った活動はしていなかったが、このコロナ禍の影響で再燃し、各方面での演奏や講習会、イタリア国際Webコンテストでは2位を受賞するなど、幅広く活動している。
▼予選演奏曲
Emmanuel SEJOURNE/KHAMSIN(2015)
▼本選演奏曲
Tristan MURAIL/Unanswered Questions(1995)
Brian FERNEYHOUGH/Cassandra’s Dream Song(1970)
多久潤一朗/虹(2009)
この度は本選に出場させて頂き光栄に思います。
〝ゲンダイオンガク〟というものは非常に興味深く、音楽から何かしらの要素を取り出し拡張する事で成り立つ場合が多いです。しかしその取り出した要素は作曲時の解釈であり、譜面に起こされた後にそれは現代ではなく全て過去のものとなります。その言わば過去の芸術を当時を忠実に再現しつつ、現代を生きる私たちが何を感じるか、日々変遷する社会の中どのように曲を表現するか、その解釈がプレイヤーには求められると思います。
今回演奏する3曲はいずれも異なる国の異なる要素の曲を集めました。
スペクトル楽派と呼ばれるフランスの作曲家T.Murail の《Unanswered Questions》は倍音とグリッサンドが多く、その響きは宇宙的な神秘を思わせます。
新複雑主義とも呼ばれ、その精密さからフルート界では特に有名なイギリス人作曲家B.Ferneyhoughの名曲《Cassandra’s Dream Song》。絶対である予言と疑いかかる人々の反応という対比がよく表されている曲です。
そしてフルートのことを熟知し日々新しい可能性を生み出している、日本を代表する演奏家兼作曲家の多久潤一朗の《虹》を演奏します。
今の自分に出来る表現は何か。何を届けることが出来るか。精一杯演奏させて頂きます。
◎プロフィール
13歳よりフルートを始める。第71回全日本学生音楽コンクール全国大会入選。第19回大阪国際音楽コンクール管楽器部門Age-U第3位(フルート最高位)。第2回市川市文化振興財団・即興オーディションにて『優秀賞』を受賞。これまでに一宮シティー管弦楽団とフルート協奏曲«ごしきひわ»を共演。また学内を始め新曲初演を多数行う。フルートを周藤典子、大平記子、富久田治彦、斎藤和志に師事。名古屋市立菊里高等学校音楽科を経て東京藝術大学器楽科3年在学中。
▼予選演奏曲
Luciano BERIO/Sequenza I(1958)
Ian CLARKE/Zoom Tube(1999)
▼本選演奏曲
Kevin VOLANS/She Who Sleeps With A Small Blanket(1985)
Casey CANGELOSI/Bad Touch(2013)
この度は、本選での演奏の機会を頂き、心から感謝しております。本選では、2作品演奏いたします。
1曲目は、ケヴィン・ヴォランズ作曲の《She Who Sleeps With A Small Blanket》を演奏いたします。この曲は、1985年ザルツブルグでロビン・シュルコフスキーによって初演されました。また、曲名の「毛布にくるまり眠る彼女」は、一人で眠る、つまり恋人がいないという意味も示唆されています。僕はこの作品の中で、膜質打楽器を単なるドラミングのみでなく、スピーチするように、歌うようにも奏でたいと思っております。
2曲目は、ケーシー・カンジェローシ作曲の《Bad Touch》を演奏いたします。カンジェローシは、アメリカ出身の打楽器奏者であり、作曲家としても現在注目されています。この曲は、バックトラックに合わせて、スティック1本のみを持った奏者が様々なリズムパターンに合わせた動きを行う、視覚的要素の強いパントマイムのような作品です。
プリミティヴな要素の強い1曲目、そして機械的な、人工的な要素を持つ2曲目、全く違った性質の2曲の演奏で、聴いて下さる皆様に「何かいいな」と思っていただけましたら、大変嬉しく思います。
◎プロフィール
10歳より打楽器を、16歳よりマリンバを始める。桐朋学園大学打楽器専攻卒業。現在、同大学研究科打楽器専攻1年在籍。2020年度打楽器協会主催新人演奏会に選抜。これまでに、打楽器・マリンバを安倍圭子、藤井里佳、中村友子、野田美佳、小島光、安江佐和子、ティンパニを近藤高顯の各氏に師事。
▼予選演奏曲
末吉保雄/マリンバのための ミラージュ(1971)
—審査休憩—
18:45〜講評、結果発表、表彰式
第1位、第2位、第3位、入選、審査委員特別奨励賞の表彰を行います。聴衆賞の実施は見送ります。
競楽について——
若い演奏家および演奏団体の現代作品演奏を奨励するためのコンクール。原則的に隔年で、西暦偶数年度に開催しています。
1991年に日本現代音楽協会創立60周年事業〈東京現代音楽祭〉において「現代日本の室内楽(演奏)コンクール“競楽”」と題して発足し、第一位には、この年から本協会が朝日新聞社より寄託された「朝日現代音楽賞」が授与されました。
第5回目より独奏でのエントリーも可能となり、受賞者は現在、現代音楽演奏に欠かせぬ才能として活躍しています。
なお「朝日現代音楽賞」は、コンクールの開催されない年度には、日本現代音楽協会会員その他の推薦により選考され、2016年度を持って四半世紀に及んだその役割を終了しました。
第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”
概要
●審査委員
北爪道夫(作曲家・日本現代音楽協会理事/審査委員長)
猿谷紀郎(作曲家)
柴田 解(NHK音楽・伝統芸能番組チーフ・プロデューサー)
中川俊郎(作曲家・ピアニスト・日本現代音楽協会理事)
吉原すみれ(打楽器奏者)
※50音順
●日程
【予選】2020年11月13日(金)〜14日(土)
【本選】2020年12月13日(日)
●会場 古賀政男音楽博物館内 けやきホール(代々木上原)
●主催 日本現代音楽協会
競楽Q&A
▼Q1.審査用の楽譜は原本を提出しないといけませんか?
△A1.違法にコピーした楽譜を提出することは禁止です。原本が絶版等で入手出来ない場合は出版社にコピーの許諾を得て、許諾済みである事が証明できる書類(メールのやり取りを印刷したものや、出版社が発行した許諾書のコピー等)をコピー譜と共に提出してください。
※楽譜コピーについてはこちらを参考にしてください
▼Q2.審査用の楽譜が未出版の場合はコピー譜を提出しても良いですか?
△A2.未出版の楽譜の場合は、著作権者(作曲者や委嘱者)にコピーの許諾を得て、不法に入手した楽譜ではなく許諾済みである事が証明できる書類(メールのやり取りを印刷したものや、著作権者が発行した許諾書等)をコピー譜と共に提出してください。「コンクールで演奏する事の許諾」ではなく「楽譜をコピーする事の許諾」を得てください。権利者が無料で配布していたりフリーでダウンロードを許可している場合はその旨をメモ等で記載してください。
※楽譜コピーについてはこちらを参考にしてください
▼Q3.オンデマンド購入した楽譜の提出はどうしたら良いですか?
△A3.印刷した楽譜と共に、購入した事が証明できる書類(購入した際のメール等)を添付して下さい。
▼Q4.提出用の楽譜を注文したのですが、提出日までに届かないようです。どうしたら良いですか?
△A4.コンクール事務局に電話(03-6417-0393)でお問い合わせください。楽譜の取り寄せには時間がかかる事が多く、特に現在、海外の出版社の楽譜は数ヶ月かかる場合もありますので、早めの注文をお勧めします。
▼Q5.伴奏者を付ける事は出来ますか?
△A5.出来ません。例えばピアノ伴奏付きのクラリネットソナタを演奏する場合は、予選・本選を通してクラリネットとピアノのデュオとしてのエントリーとなります。予選・本選のどちらかだけクラリネットソロ曲を演奏する事は出来ません。
▼Q6.予選と本選で楽器を変更する事は出来ますか?
△A6.参加者と人数が変わらなければ問題ありません。予選でピアノソロ曲を演奏し本選でヴァイオリンソロ曲を演奏する、予選でフルートとピアノの二重奏を演奏し本選でピッコロとフルートの二重奏を演奏する、といった事が出来ます。
▼Q7.ピアノを2台同時に使用する事は出来ますか?
△A7.出来ません。2台ピアノによるデュオ等でエントリーする事は出来ません。ピアノ1台で連弾でエントリーする事は出来ます。
▼Q8.音響機材を使用した曲を演奏したいのですが、けやきホールにある機材を借りる事は出来ますか?
△A8.ホールの機材が正常に作動するかチェックしたりリハーサルを行う時間が無いため、原則的に全てご自身の機材を持ち込んでください。やむを得ない事情によりホールの機材を使用したい場合はコンクール事務局に電話(03-6417-0393)でお問い合わせください。ホールへの問い合わせはご遠慮ください。
▼Q9.審査結果はウェブサイトで確認出来ますか?
△A9.出来ます。但し、各審査員による採点結果はコンクール会場のみでの発表となります。会場発表の翌日以降、コンクール参加当事者がコンクール事務局に電話(03-6417-0393)でお問い合わせ頂ければ、当事者に関する採点結果のみお知らせ出来ます。
▼歴代入賞・入選者
第1位 | 2位 | 3位 | 審査委員特別奨励賞 | 入選 | 聴衆賞 | |
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競楽XIII
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白小路紗季 ヴァイオリン 受賞の言葉 |
栗山沙桜里 ピアノ |
池永健二 打楽器 薬師寺典子 ソプラノ |
土橋庸人 ギター |
鈴木友裕 ピアノ 土橋庸人 ギター 前田啓太 打楽器 中村栄宏 リコーダー |
中村栄宏 リコーダー |
競楽XII 本選 |
第25回朝日現代音楽賞 鈴木真希子 ハープ 受賞の言葉 |
小倉美春 ピアノ |
古川玄一郎 打楽器 |
永野雅晴 打楽器 |
中山加琳 打楽器 |
井上ハルカ 打楽器 |
競楽XI |
第24回朝日現代音楽賞 山澤 慧 チェロ 受賞の言葉 |
松岡麻衣子 ヴァイオリン |
本條秀慈郎 三味線 |
川村恵里佳 ピアノ 受賞の言葉 |
若林かをり フルート 田中翔一朗 ピアノ 古川玄一郎 打楽器 |
望月 豪 マンドリン 受賞の言葉 |
競楽X |
第22回朝日現代音楽賞 佐藤祐介 ピアノ 受賞の言葉 |
マクイーン時田深山 箏 若林かをり フルート/ピッコロ |
– | 原田真帆 ヴァイオリン 受賞の言葉 |
白井奈緒美 サクソフォン 安田結衣子 ピアノ 木埜下大祐 フルート |
佐藤祐介 ピアノ |
競楽IX | 第20回朝日現代音楽賞 山田 岳 ギター 受賞の言葉 |
會田瑞樹 打楽器 |
岩見玲奈 打楽器 |
木埜下大祐 フルート |
松原智美
|
岩見玲奈 打楽器 |
競楽VIII | 第18回朝日現代音楽賞 増本竜士 フルート |
坂本ゆり子・吉川由里子 二十絃箏デュオ |
田村法子 二十絃箏 |
富田真由香 打楽器 |
野尻小矢佳 打楽器 佐藤蘭子 フルート 木下大祐 フルート |
増本竜士 フルート |
競楽VII | 第16回朝日現代音楽賞 間部令子 フルート |
ピアノデュオ藤井隆史&白水芳枝 | 見崎清水 ピアノ |
木下大祐 フルート |
前田啓太 打楽器 奥田ななみ ピアノ 長谷川奈苗 ピアノ 入江要介 尺八 大久保彩子 フルート |
奥田ななみ ピアノ |
競楽VI | 第14回朝日現代音楽賞 須藤英子 ピアノ |
高野 綾 打楽器 |
清水友美 ピアノ 太田真紀 ソプラノ |
金井亜沙美 ピアノ |
iolite(Fl.中田 茜・Hp.清水梨紗) 木下大祐 フルート 多久潤一郎 フルート 櫻舞(Fl.白石法久・Fl.山内豊瑞) |
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競楽V | 第12回朝日現代音楽賞 ROSCO Vn.甲斐史子 Pf.大須賀かおり |
橋本晋哉 チューバ |
石崎陽子・和田光世Duo マリンバデュオ |
Yunbo(Perc.大嶽實穗・E-Org.江黒弘章・E-Org.田野倉雅秋) | 田野倉雅秋・重松希巳江・田中良茂トリオ Cl.Vn.Pf.トリオ CROVER(Perc.田中 綾・Perc.柿本早織・Perc.藤田一行) 間部令子 フルート 永井由比 フルート |
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競楽IV | 第10回朝日現代音楽賞 溝入敬三 コントラバス |
畑中明香 打楽器 |
永井由比 フルート |
新垣 隆・山口幸恵 Pf.Vnデュオ |
中野真理 フルート 千葉りり子 ピアノ 石崎陽子・和田光世DUO マリンバデュオ プリマ・マテリア(Fl.織田なおみ・Pf.岡野勇仁) |
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競楽III | 第6回朝日現代音楽賞 ACTIVA Fl.千葉純子 Pf.黒田亜樹 |
岡地 岳 マリンバ |
及川夕美・平子久江 Pf.Percデュオ |
− | 河合毅彦 ピアノ 河原伴子 箏 杉本顕子 ピアノ |
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競楽II | 第3回朝日現代音楽賞 DUO DOGEN Fl.木ノ脇道元 Pf.大井浩明 |
クラリネットduo(Cl.菊地秀夫・Cl.内山厚志) | 美華(メイファー)(Fl.清水理恵・箏.八木美知依) | − |
J・F・K(Perc.加藤恭子・Pf.安光伸江) 糸井・桑田Duo(Vn.糸井真紀・Pf.桑田光子) Gruppo Comodo(Fl.西川綾子・Fl.角家道子・Fl.依田朋子) |
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競楽I | 第1回朝日現代音楽賞 ムーサ弦楽四重奏団 1vn.佐々木亮 2vn.小川有紀子 va.廣狩 亮 vc.唐沢安岐奈 |
真香宗(Fl.菊池香苗・Pf.吉田宗子・Vn.糸井真紀) | 遠藤正樹・宮本典子マリンバ・デユオ | − | 大島莉紗・渡邊一正 Vn.Pf.デュオ ベネソヌス・トリオ(Fl.西村 祐・Vn.大橋希世子・Pf.稲垣 聡) ブレス・カルテット(弦楽四重奏:池田 恵・酒井菜美・金子しず子・木島 香) アヴィス(Vn.武生直子・Vn.掃部彰子・Pf.小宮 暖) |
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———- 過去の要項 ———-
第13回現代音楽演奏コンクール“競楽XII”
第25回「朝日現代音楽賞」選考コンクール
第12回現代音楽演奏コンクール“競楽XII”
第23回「朝日現代音楽賞」選考コンクール
第11回現代音楽演奏コンクール“競楽XI”
現音人材育成シリーズ2012
第21回「朝日現代音楽賞」選考コンクール
第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X” 参加要項