ご覧の皆様、はじめまして。この度「現音作曲新人賞」に入選致しました川合清裕と申します。何を書こうかいろいろ悩みましたが、結局、拙作について簡単にご説明することにしました。
題名にある「アンフォルム」とは、哲学系の用語でして、これがかなり難解な思想です。正直なところ、私自身、曲のテーマとして取り上げておきながら、その全容は把握できておりません…笑
現代音楽+哲学 なんて、それだけで拒絶反応をおこしてしまいそうですが、私がこの曲で表現したかったものは思想の難解さとは裏腹に、実にシンプル、単純明快です。
音楽は“複数の要素”によって構成されることが多いです。私は、この“複数の要素”間の関係性に着目し、何か面白いことはできないだろうか、と考えました。要素間に密接な結びつきがあるほど構築的に、逆に、要素間に何の関係も無いとなると、分裂したものになりがちです。
そこで私は、
「音楽を構成する複数の要素間に具体的な関連はこれと言って無いけれども、聴覚現象として体感した時に、なんらかのまとまりのようなものを感じる」
といったことが可能なのではないだろうか、と発想しました。
過去の巨匠たちの音楽は、楽譜上に厳密な関連性を求めたけれども、私は、聴く人の心の中に生起する“なんらかの感情”が音楽の構築性の担保となっているような状態を考えたわけです(一歩間違えれば手抜きです…笑)。
今回演奏して頂く拙作は、たくさんの要素であふれかえっていますが、個人的にはそこそこまとまってくれたのではないかな、と感じております。
しかし、それはあくまで主観。お聴き下さる皆様がどのように感じられるか、私の思惑が成功しているのかどうかは、私以外の人間に聴いて頂くまでわかりません(もっとも、私も、この文章を書いている現時点でこの曲を聴いたことはないのですが)。
どうぞ皆様、11月12日は本選会に足をお運び下さいませ。
〈現音・秋の音楽展2015〉
第32回現音作曲新人賞本選会
テーマ:弦楽四重奏
2015年11月12日(木)18:30開場/19:00開演|渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール
▼プレトーク:テーマ「弦楽四重奏の新たな可能性」18:40〜 出演:福士 則夫・南 聡
▼第一部:入選作品演奏審査
(1) 引地 誠/超流動 -superfluidity-(作曲2015年初演)
(2) 見澤 ゆかり/ジャングル – ソナタ〜ワルトシュタインへのオマージュ〜(作曲2015年初演)
(3) 川合 清裕/アンフォルムII〜弦楽四重奏のために〜(作曲2015年初演)
(4) 増田 建太/史実の花(作曲2015年初演)
▼第二部:日本現代音楽協会会員作品上演
(5) 福士 則夫/CALLING for string quartet(作曲2013年)
(6) 南 聡/第2アリア…(細胞癒合化作用前の)(作曲2015年初演)
▼講評・結果発表・表彰式 20:45頃〜
演奏:
佐原 敦子・小杉 結(ヴァイオリン)阿部 哲(ヴィオラ)豊田 庄吾(チェロ)(1)(3)(6)
甲斐 史子・松岡 麻衣子(ヴァイオリン)般若 佳子(ヴィオラ)宮坂 拡志(チェロ)(2)(4)(5)
※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順は変更となる場合があります。
チケット:全自由席 一般2,000円 学生1,000円
主催・チケット・お問合せ:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
TEL: 03-3446-3506 E-Mail: aki2015(a)jscm.net
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会
後援:一般社団法人日本作曲家協議会 一般社団法人日本音楽作家団体協議会