この度「第31回現音作曲新人賞」に入選致しました守屋祐介と申します。今回初演して頂く運びとなった作品の解説を簡単にさせて頂きます。
《2つの小品》は演奏時間は約9分の2台ピアノによる作品です。緩・急の2楽章から成るこの曲は、リズム、和音、音形などの面で2曲が強く関連性を持つよう全体を構成しました。
曲のコンセプトの中心となっているのは音の《呼応》であり、この曲は2台ピアノで、様々な時間軸、形態を持った、多層的な音の呼び掛け合いを楽しむ曲です。1曲目はゆっくりとしたテンポの静謐な音空間で2台のピアノが音の呼応を行います。その呼応は単純なものから始まり、進行に従い枝分かれし、多声化して、複雑な響きへ変容してゆきます。
2曲目は軽快かつコミカルな曲で、呼応というよりも、キャッチ・ボールをするかのように、音の投げ合いを相互に行います。後半、曲は最大限に多層化されますが、速いテンポ、大音量、複雑なリズムで繰り広げられる壮絶な音の投げ合いは、きっと聴きごたえのあるものとなるはずです。
この作品のピアノ書法における特徴は、ソフテヌートペダル(真ん中のペダル)を終始多用し、2台ともその使用に特化した独特なものになっていることです。このペダルは、ペダルを踏んだ時、押していた鍵盤のダンパーが、鍵盤から手を放してもペダルを踏んでいる間は弦に降りないようになる、という性質を持つものですが、これによって持続される和音の呼応と、普通のダンパーペダル(右のペダル)の持続による別の時間軸の和音の呼応、さらに加えて、ペダルなしのアクセント音(スタッカート、テヌート)の同居を、ピアノ2台で行うことによって生まれる奥行きのある響き、複雑な絡みあいもこの曲の聴きどころといえましょう。
演奏会への皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
〈現音・秋の音楽展2014〉
第31回現音作曲新人賞本選会
テーマ:ピアノ
2014年10月23日(木)18:00開場/18:30開演|東京音楽大学100周年記念ホール
(1) 守屋 祐介/2つの小品 (作曲2014年/初演)[編成:2Pf]
(2) 樋口 鉄平/Sanctuary for piano solo (作曲2011-2012, 2014年/初演)[編成:Pf]
(3) 山本 雄一/2台のピアノと3人の奏者の為のコスモフォニー (作曲2014年/初演)[編成:2Pf, 3players]
(4) 旭井 翔一/テクノ依存症 (作曲2014年/初演)[編成:2Pf(Pf1=4hands)]
ピアノ:菊地 裕介(2)(3)(4)・篠田 昌伸(1)(3)(4)・藤原 亜美(1)(3)(4)
【審査員】 山内 雅弘(審査員長)金子 仁美 中川 俊郎
※修学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順は変更となる場合があります。
チケット:全自由席 一般2,000円 学生1,000円
主催・チケット・お問合せ:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
TEL: 03-3446-3506 E-Mail: aki2014(a)jscm.net
後援:一般社団法人日本作曲家協議会
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会
協力:東京音楽大学