佐藤紀雄&山田岳ギターデュオリサイタル〜会員:中谷通

共に朝日現代音楽賞の受賞者でもあるギタリストの佐藤紀雄さんと山田岳さんによるコンサート「佐藤紀雄&山田岳 ギターデュオリサイタル」が、2011年10月25日(火)に東京オペラシティ近江楽堂にて行われます。このコンサートで初演していただく《2_1/64_1》ではギターの種類の選択はお任せしていたのですが、スチール弦ギターの生音で演奏する予定とのこと。以下にこの作品についてと、公演の詳細を記します。

《2_1/64_1》について:

左が440Hz、右がカスタムの388.36Hzの音叉。

左が440Hz、右がカスタムの388.36Hzの音叉。

【背景】
調的な音楽では、ある音高の振動周期を中心として、これと他の音程の振動周期が関わりを持つ。調性の本質が、周期的な現象間の関係性にあるとしたら、可聴域よりも長い周期をもつ時間現象も調的に構築することが可能といえる。そして、私たちが経験し続けている1日の周期との関係を築くこともできるはずだ。

【基準周期】
1939年に国際会議にて提案された A = 440Hz の国際基準ピッチは、後に発足したISO(国際標準化機構)によって国際規格に制定された。しかし、440という数字に具体的な根拠があるわけではなく、比率関係から成り立つ作品が参照する基準としては、どうしても信用することができなかった。この作品ではこのような周期ではなく、私たち地球上の生物がドローンや持続低音のように経験し続けている、1日の周期(約 0.000011574Hz)を基準周期とする。

388.36±0.05Hz

388.36±0.05Hz

【高次の基準】
これにより基準ピッチもまた、基準周期と整数比関係を持った相対的なピッチの一つとなる。オクターヴの比率関係を可聴域外の周期にも適用すると、1日の周期の25オクターヴ上の周期(G = 388.36Hz)がこの作品の基準ピッチに、17オクターヴ上の周期(M.M. 91)が基準テンポに、6オクターヴ上の1周期分(22分30秒)が全体の長さに定められたことになる。

【比率】
これらを基にして、ピッチやリズムなどを含めた全てのオクターヴ内の周期が、41の整数比関係(256 : 260 : 264 : 270 : 273 : 280 : 286 : 288 : 294 : 297 : 300 : 308 : 312 : 315 : 320 : 324 : 330 : 336 : 352 : 360 : 363 : 364 : 378 : 384 : 390 : 392 : 396 : 400 : 416 : 420 : 429 : 432 : 440 : 448 : 450 : 462 : 468 : 480 : 484 : 495 : 504)の中で、縦横に関わり合う。
【楽器と演奏】
特殊調弦された2本のギターは自然ハーモニクスのみで演奏され、ギター弦とフレットが接触する事は一度も無い。

 

公演チラシ

公演チラシ

▼佐藤紀雄&山田岳ギターデュオリサイタル

【日時・場所】
2011年10月25日(火)18:30会場/19:00開演
東京オペラシティ 近江楽堂

【曲目】
中谷 通:2_1/64_1 (2009)
向井 耕平:4つの詩曲 (1992)
ジャック・ボディ:アフリカン・ストリングス (2003)
スコット・ジョンソン:バワリー・ハウント (2005)
エベルト・ヴァスケス:エスパシオス・トランシトリオス (2000)

【料金】
前売2500円 当日3000円