報告:渡辺俊哉(日本現代音楽協会会員)
5月25日(土)に上野信一氏のスタジオにおいて、打楽器ワークショップが開かれた。
この企画は、これまでに作曲された打楽器作品の紹介、楽器の説明、新作公募を中心に据えることを上野信一氏が発案し、湯浅譲二・松平頼曉両現音名誉会員の賛同を得て私、渡辺俊哉がそのお手伝いをするという形で始まった。定員は30名だったが、定員を上回る申し込みがあり、このワークショップへの関心の高さが示された。
今後は、9月と12月(詳細な日時はまだ未定)にワークショップを開催し、来年の3月頃を目処に演奏会を開く予定である。今後2回のワークショップでは、作曲している曲(未完成でも構わない)やアイディアとなる素材を持ち寄り実際に演奏して音の確認をし、問題点などがあればそれについて作曲家と演奏家が、一緒に解決方法を見つけ出して行くといった内容も考えている。
会は上野信一氏、湯浅譲二氏、松平頼曉氏、私の座談会から始まったのだが、この座談会から浮かび上がったのは、作曲家と演奏家が一緒に作り上げていくことの重要性という事だった。特に打楽器の場合は非常に多くの種類と奏法があるため、それらを把握するためには演奏家の協力が欠かせない。当日湯浅譲二氏は、3種類のスーパーボールを持って来てタムタムを擦ってみて、大きさによって全く音色が違うことを実演してみせた。
対談後は、悪原至氏がフィリップ・ユレルの、上野信一氏がヤニス・クセナキスのを演奏、新野将之氏が彼のリサイタル映像(アクションを伴う楽曲)を見せることで、打楽器作品の多様性が示された。
この日のワークショップは、作曲の学生や打楽器の学生の参加者が多かった。こうした場で彼らや現音会員が知り合いになり、共に学び、新しい優れた打楽器作品が生まれてくるのであれば、この企画の意義はあったと言えるだろう。そのような機会を現音が、積極的に提供していくことは今後、益々重要になってくるのではないだろうか。