第34回現音作曲新人賞受賞の言葉〜丹羽菜月

第34回現音作曲新人賞受賞:丹羽菜月

この度、第34回現音作曲新人賞を受賞させていただきました丹羽菜月と申します。オペラシティで拙作が初演され、このような賞を頂けたことを大変嬉しく光栄に思います。

今回私は、フルートの多久潤一朗さん、チェロの豊田庄吾さん、ピアノの安田結衣子さんという素晴らしい演奏家の皆様に恵まれたことが、何より幸運だったなと思います。脈絡も起承転結もない私の作品を、入念なリハーサルによって本当に絶妙なバランスに仕上げていただきました。更に本番での何かの力が働いたかのような神がかった演奏は、いま思い出しても不思議な体験です。音が消えた瞬間、ただ単純に演奏そのものにこみ上げるものがあり、思わず涙ぐみながら舞台に上がっていました。

去年からの留学で自分に致命的に欠けている部分がより浮き彫りになり、この一年は試行錯誤を繰り返していました。ただそんな中で、今回の作品は、苦手の中にこそ好きのヒントが隠れてるんじゃないかと、逆に自分の足りない部分を誇張し、剥き出しにするように書いたので、今までと少し見方を変えられたという点では、良かったのではないかなと思います。だからこそ、今回改めて感じた改善点は多々ありましたが、それはまた次作の契機になると感じています。

審査員の南聡先生、斉木由美先生、久留智之先生とは本選後、作品はもちろんのこと様々なことをお話しさせていただく機会を頂きました。とにかくこれからも、ごまかさず丁寧に、自分の音を探すのみだなと気が引き締まりました。
結果は、これを出発点にこの先どう変わっていくか!という先生方からのエールと受け止め、誠実に、良くも悪くも今まで通りマイペースに、頑張ります。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。

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