《邦楽器について》
言うまでもないことですが、日本人だから世界に誇れるような邦楽器の魅力的な楽曲を書ける、ということは決してありません。特に、西洋芸術音楽に特化した専門教育を受けた私たちにとっては、邦楽器はむしろどこか遠い国の民族楽器のように感じるのが正直なところではないかと思います。そういう意味では、日本人にとってはピアノのほうがよっぽど身近ですね。
本作品を作曲する過程でほんの少し覗くことができた邦楽の世界は、これまで知っていた音楽の感じ方とはかなり異なり、これがカルチャーショックか!と驚きました。昨年の4月から地歌三味線を習っているのですが、どうやって歌のフレーズを覚えたらよいのか、未だによく分かりません。西洋的な「普通のメロディー」を覚える感覚では上手くいかないようです。さらにずぶずぶハマっていけそうです。だから音楽は楽しい、と思います。
《竹澤悦子さんについて》
私の地歌三味線生演奏初体験は、今回の演奏者の竹澤悦子さんによる演奏でした。曲は、劇団木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一さん作詞、野村誠さん作曲の「狸囃子」。圧倒的な存在感の声と糸の音色にグッときました。その憧れの竹澤さんに自分の曲を演奏していただける、という知らせを受けた時、信号待ちの路上でヒー!と変な声が出ました。ちなみに、私から演奏家のリクエストなどは一切していません。夢には見たけどまさかそんなことがあるなんて……。10年分くらいの幸運を使い果たしたかもしれません。
《審査について》
山本裕之さん、新垣隆さん、福井とも子さんという心をくすぐられる素晴らしい作曲家の方々に審査をしていただけるということ、とても幸せに思います。作曲家がどのような価値基準で音楽を考えているのかを知ることは、とても刺激的です。どんな結果を皆さんが出すのか、ワクワクしています。(なんて言うと生意気に映ると思うのですが。)
〈現代の音楽展2017〉
邦楽・絃楽プロジェクト
2017年3月3日[金] 18:00開場 18:30開演
渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール
テーマ:邦絃楽器
伊藤 彰/好奇心ドリブン (作曲2016年初演)
田村 法子(二十絃箏) 山田 岳(ギター) 甲斐 史子(ヴィオラ)
増田 建太/樹に窓を見る (作曲2016年初演)
吉原 佐知子(十三絃箏) 岩瀬 龍太(クラリネット)
池田 萠/硝子妄想(と、その解決) (作曲2016年初演)
竹澤 悦子(中棹三味線)
原島 拓也/極彩ドロップ No.2 (作曲2016年初演)
野澤 徹也(中棹三味線) 野澤 佐保子(十七絃箏) 多久 潤一朗(フルート)
◎審査員:山本 裕之(審査員長) 新垣 隆 福井とも子
来場者による“聴衆賞”投票実施! 第二部演奏終了後講評、審査結果発表
▼第二部 邦絃楽器へのアプローチ
■チケット 全席自由
前売一般 2,500円 前売学生 1,500円
当日 3,000円
※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。
※演奏順、曲名は変更となる場合が有ります。
日本現代音楽協会
[電話受付]月-金 10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2017(a)jscm.net ※(a)を@に変えて送信してください。
【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】一般社団法私的録音補償金管理協会(sarah)
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
【後援】一般社団法人日本音楽作家団体協議会(fca)
一般社団法人日本作曲家協議会