同一の対象を、異なる書法で描くということは可能だろうか。
私は、現在これを否定する立場にいる。複雑な概念には、その概念に見合うだけの複雑な書法を必要とするし、他者のエクリチュールには、エクリチュールそのものの他者性を考える必要があると信じている。
三年前にこの曲を書き始めたときから、これは継続したテーマであり、この曲においては時間と空間について考える必要があったのだが、フォークナーの小説において、登場人物たち各々が持っている時間や空間が出くわす時、彼の作品においては多くの場合それが暴力的な事件となって描かれる。この時彼のエクリチュールは社会的な場との関係のもとに成立する。エクリチュールを多くの場合単なる技術論としてしか語らない現在の風潮には疑問を感ぜざるを得ない。
私は私自身の未来のためにも、まず書法そのものを問い直すことから始めなければならなかった。
〈現音・秋の音楽展2014〉
第31回現音作曲新人賞本選会
テーマ:ピアノ
2014年10月23日(木)18:00開場/18:30開演|東京音楽大学100周年記念ホール
(1) 守屋 祐介/2つの小品 (作曲2014年/初演)[編成:2Pf]
(2) 樋口 鉄平/Sanctuary for piano solo (作曲2011-2012, 2014年/初演)[編成:Pf]
(3) 山本 雄一/2台のピアノと3人の奏者の為のコスモフォニー (作曲2014年/初演)[編成:2Pf, 3players]
(4) 旭井 翔一/テクノ依存症 (作曲2014年/初演)[編成:2Pf(Pf1=4hands)]
ピアノ:菊地 裕介(2)(3)(4)・篠田 昌伸(1)(3)(4)・藤原 亜美(1)(3)(4)
【審査員】 山内 雅弘(審査員長)金子 仁美 中川 俊郎
※修学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順は変更となる場合があります。
チケット:全自由席 一般2,000円 学生1,000円
主催・チケット・お問合せ:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
TEL: 03-3446-3506 E-Mail: aki2014(a)jscm.net
後援:一般社団法人日本作曲家協議会
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会
協力:東京音楽大学